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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
2章

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第51話 イベント期間終了後


「終わっちまったな、ダンジョンバトルイベント」

「結局忙しかったのは最初だけでしたね」


 俺達は〝古民家〟の中でくつろぎながら駄弁っていた。


 もちろんダンジョンマスターとそのサポート妖精は、ダンジョンコア内から出られないのでダンジョンコア内にいる。

 この〝古民家〟は36回もダンジョンバトルをやった時に得たポイントで[ガチャ]を回した際に出たもので、それをダンジョンコア内に設置したのだ。

 これのお陰でだいぶ過ごしやすくなった。


 本来であればダンジョンバトルのイベント期間中だったのでそんな暇はなかったはずなのだが、ミカゲ(仮)とのバトル以降は警戒していたにもかかわらず結局誰ともバトルせずに終わってしまい、ダンジョンコア内の居心地をよくするくらいしかしなかったのだ。


 別にダンジョンバトルはイベント期間じゃなくても申請すれば行えるそうなのだが、イベント期間を過ぎた今はダンジョンランキングの上下100位以内の相手としかバトルできなくなってしまっている。

 そのせいで申請できる相手は少なくなってしまった上に、1回バトルしてダンジョンコアを破壊するだけで、〈慈悲ポイント未実装〉の[称号]効果により[ガチャ]100回分(1万ポイント)が手に入るというのに、申請しても誰も受けてくれなかった。


 本来なら36人と戦った段階で止めるはずだったが、万の人形を操れる〝マリオネットジェネレーター〟のフィギュラス抜きでも十分通用したので、イベント期間中にあと1人か2人とやりたかったのに残念だ。


「なに当たり前の事言ってるんですか。36+1人殲滅するような心無き化け物と誰がダンジョンバトルを好き好んでするというのです」

「誰が心無き化け物だ」


 カワウソをデフォルメしたぬいぐるみみたいな見た目のマルティアが、呆れた目をこちらに向けていた。

 口に出したつもりはなかったが、つい不満が独り言となって出ていたようだ。


 ミカゲ(仮)とのバトルで手に入れたポイントが、あまりにもしょぼかったのだから仕方ない。それに加え――


「最近、人間から得られるポイントが少ないんだよ……」


 人間の負の感情を回収して手に入るポイントの入りが悪くなっていた。


「仕方がないんじゃないですか? 始めの内は社畜と呼ばれる人種の負の感情が溜まりに溜まってて凄まじかったですが、今はリピーターがほとんどで、負の感情が以前ほど溜まる前に回収してるのだと思いますよ」

「それを考えると、ダンジョンができる前はどんだけ陰鬱な感情を抱えて生きてきたんだ……」


 ダンジョンマスターになる前は社会人として働いてたから分からなくもないが。

 確か36協定をギリギリ違反しないレベルの残業を入社してからずっとやらされていたような記憶が……忘れよう。

 覚えてても全く幸せになれない記憶だ。二度と思い出したくもない。


「社畜のことはともかく、やはり負の感情を効率的に得るにはダンジョンの奥に誘い込んで恐怖させるのが一番なんだが、それは出来ないんだよな」

「マスターのダンジョン、1階層が動物とのふれあい広場みたいになってて、負の感情とは真逆の感情を生み出してますし、それ以降の階層には人が来ませんからね」

「無理やりダンジョンの奥に連れ込んで恐怖のどん底に落とした場合、せっかく人類と友好的な関係になれてるアドバンテージを捨てることになるから、下手な事ができないのも問題だ」


 そう考えると、やはりポイントを得るのは簡単な事ではない。

 神がダンジョンバトルというイベントを起こしてくれたお陰で一気にポイントを得られたが、そんな都合よくポイントが得られる機会はそうそうないだろう。


「仕方ない。[ガチャ]でも回すか」

「普通はそんな気楽な感覚で回すものじゃないんですよ」

「文句は[称号]に言ってくれ」

「その[称号]を得たのはマスターが原因でしょうが!」


 それを言われるとぐうの音も出ないが後悔はない。


 最初の[ガチャ]で初期ポイントを全てつぎ込んだのは楽しかった。

 その結果、[ガチャ]関連の[称号]、特に〈運頼みの支配者〉のポイント交換する際の消費ポイントが通常の30倍になるというデメリットが身についてしまったのと、それらの[称号]によって[ガチャ]を回すメリットの方が大きくなったため、[ガチャ]でダンジョンを創ることを余儀なくされたが。


「得てしまったものは仕方ないだろ。ただ、ポイント交換する気はないとはいえ、さすがに消費ポイントが30倍はキツ過ぎないか?」

『いや、30倍でもぬるいんじゃない? 未熟なダンジョンマスターがボクらのような強力な魔物を手に入れられるんだから、100倍でもいいくらいだよ』


 フィギュラスが〝叡智叡智テンタクル〟のテン君に乗って横から口出ししてきた。


「お前らが強力な魔物なのは認めるが、100倍はなくないか?」

『そう思ってるのはマスターだけだと思うけどね』


 ――プルプル


『テン君はそのお陰でマスターが[ガチャ]を回してここに召喚されたから、良かったと思ってるのか。まあ、キミらしくていいんじゃない?』


 ――プルル


 テン君は何も言ってないようにみえるんだが、同じ魔物だからフィギュラスには伝わるのか?


「テン君が何言ってるのか分かるのか?」

『うんにゃ。フィーリング』


 フィーリングというが、普通に意思疎通出来てるようにしか見えなかった。


『ところでさ、マスター』

「なんだ?」

『人形を作るための素材が欲しいんだけど、ダンジョンバトルのイベント期間も終わったんだし、 そろそろいいよね?』


 ダンジョンバトルは一カ月近く前の初日と翌日に行っただけだが、ダンジョンバトルのある期間はフィギュラスには人形を一から作成するのは待ってもらっていた。


「そうだな。今から[ガチャ]も回すし、もしそれで欲しい素材があったら言ってくれ」

『ありがとマスター。それじゃあ1()()()くらいかかるけど期待しててね』


 何故なら人形を一から作成する場合、フィギュラスが出現させる工房の中で1週間もの間こもりきりになってしまうらしいのだ。

 当然その間はダンジョンバトルに参加できない。


 フィギュラスが理性的なやつで助かった。

 もしそうでなければフラストレーション溜めて暴れていただろうな。




甘井の小説に興味がありましたら下記作品もよろしくお願いします。


 ・【ああ、課金してぇーー!!!】

https://ncode.syosetu.com/n5739gt/

 現代ダンジョンもので、主人公が強制的に無課金にされ、不憫な目に遭いながらも頑張ってレベルを上げる話です。

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