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燃える商魂!

本日2本目。

 おはよう。

 えっほ、えっほ。と走って屯所に向っている。もちろん、屯所の朝の鍛錬に参加するために。

 清々しい朝。気持ちいいなぁ!まぁ、この歳になって、体を鍛えるようになるとはね。何せ、こっちの世界は、死に直結だしぃ…殺伐ぅ。

 定期的に型を見てもらえることは非常にありがたい。しかも、衛兵さん方と、縁が結べる!何よりだ!悪いことする予定はないがね。子供達にもプラスになるだろう。

 体力作りから、体捌き。武器の扱いまで丁寧に。

 雹も何かつかめてきたのか、元冒険者で双剣使いの…誰だっけ?忘れた。隻眼のおじさんに型を示しながら質問している。

 トワ君は相変わらずの素振りのみ。君は何を目指してんの?切り捨て御免!は勘弁な。

 ライ、カイも型に沿って振ってる。獣人は体を動かす事については呑み込みが早い。すぐにコツを掴むというか…。

 特筆はファムだ。まだ2回目?だぞ?体捌きのみとはいえ…すいすい…いや、速いけどゆっくりに見える?ゆるりゆるりだ。普段からやってるのだろうか?あとで観察だ!覚えていたら…だが。文句ある?この年になるとフっと忘れんだよ。

 「旦那、先日もらったワイン…ありゃとんでもない値段だったろ…みんなで開けて飲んだら…驚いたぞ。」

 「いえ、普通ランクのものですよ。運搬方法が良かったのかもしれませんね。」

 「運搬方法で?そんなに違うものか…」

 「ギルドで購入したんですが…なにか変化があったのかもしれませんね。」

 嘘は言ってないよ。

 「この後、街飲みでも美味しいワインが出るかもしれませんね。」

 「…そうなるといいな。美味くて安けりゃ言うことなしだ。」

 「ギルドでも、いくら品質が良くてもそうそう値上げもできないでしょ」

 「?なぜ?良いものは高く…ああ、暴動になるな…。」

 「そうそう、唯一の楽しみが取られちゃったらね。でも地下組織の資金源にならないといいな。」

 「資金源?」

 「転売で儲けるって方法。他国とか?」

 「なるほどね。まぁその辺はギルドが目を光らせてるだろう。」

 「ですね。」

 だといいけどね。

 

 鍛錬終了後、門衛の方たちと雑談。情報収集だ。その後ランニングしながら家へ戻る。ファム?…忘れたよ。なにか?さあ、食事にしよう。

 「あれ?これ、牛乳?」

 食卓に良く見慣れた白い飲み物が。

 「ヤギと鹿のミックスみたいな?変な動物の乳よ。街で見つけて購入したの。うちで放牧してるのよ。」

 セツナっちが、謎動物を仕入れて来たらしい。

 「…一昨日草原にいた?」

 「ええ。いたわよ。みんなでガヤガヤしてたから隅っこの方にでも行ってたんじゃない?業者に 『4、5日慣れさせて、たんと食わせれば搾って良か』 って言われたので、今日搾ってみたってわけ。まだ量が少ないからお子ちゃま優先ね。」

 「そいつはありがたい。カルシウムは…骨ごと肉食ってるから心配してないけど、お子ちゃまに必要な栄養も多くあるだろうからね。次は、卵か…」

 「ええ。とっても高価だし。うちで飼育できればいいんだけど。一応、行商のおじさんに頼んでんだけどね。直接買い付けに行った方が良いかもね。ゴルディアの近くの農村に沢山いるみたいなのよ。」

 ふ~ん。それは良い事だ。土地は、何とかなりそうだもんな。

 「今日、エルザさんの用事終わったら行ってみるか…」

 「いいわね。明日には帰ってこれる?」

 「たぶん?セツナっち行くの?」

 「悪い?トワと雹は留守番ね。襲わないでね お、じ、さ、ま♡」

 「…勘弁してください。」

 「あら。」

 「なわけで、エルザさんとこ行って戻ってから出発ね。トワ君ごつい馬車と結界石出しておいて…あれ?どうやって運ぶんだ?収納に入れたら死んじゃうぞ?2~30羽は欲しいもんな。…姉弟で行くか?疾風で馬車引けばそう変わらずに行けるんじゃない?」

 「…それもそうね…ニワトリ運ばないと、だもんね。トワ行くわよ。」

 「俺一人で行ってくるわ…」

 「いくわよ。こんなか弱い美少女を一人でなんて…疾風あんたの言うことしか聞かないでしょ。」

 「だから、俺一人 「私が行きたいの。お・わ・か・り。」 …」

 無駄な抵抗だぞ…セツナっち、絶対引かないぞ。

 「諦めろ…」

 「ビルックもいく?色々食べるわよ?」

 屋台荒らしは決定か

  「…僕、獣人だし」

 「関係ないわよ。邪魔するヤツは…ね」

 そう言って指を立てる…伝説の暗殺拳かよ…

  「行っても良いのなら行きたい」

 「はい。決定~おじさまいるから、ここのご飯は大丈夫ね」

 「…おっけ」

  「「父ちゃん、早く食べようよ~」はらへった」

  「ごはん」「ごはん」

 おっとそうだった!まだ『いただきます』してなかったわ!よだれで溺れちゃうな。

 「ごめん!ごめん!じゃ、食べよう」

  {いただきま~す}

  「父ちゃんこれ美味しいね。」

 口にまあるい白い輪っかをつけて子供たちが喜ぶ。

 「何か知らんけど鹿のおっぱいだよ。見たことある?」

  「うん。見た」「みた」

 「おっぱいくれるんだから、いじめちゃだめだぞ。今度あったらありがとうしような」

  {うん}

 笑顔で返事する子供達。

 素直である…

 ああ…ねじひねくれたおっさんには眩しいぜ。

 

 食後、トワ君の用事ができたので急いでエルザさんとこに行く。

 

 ”からん”

 「こんにちは。」

 「あら、早速いらしてくれて、ありがとうございます。」

 今日も別嬪さんですね!エルザさん!

 「なんでも外套を用意してくださるとか…」

 「ええ、お返事に拘わらず作ろうと。あのく 「お嬢様」 …教会とか些細な相手にお守り代わりになるとおもって。」

 あのく?…教会?くそ?くされ?まさか…な。彼女の綺麗なお口からそのような言葉が…

 「なぜ。そこまでして頂けるので?」

 「こっちの世界を楽しんでもらいたいのですわ。経緯はどうあれ。」…

 「ありがとうございます。依頼と共にお受けしたいとおもいます。」

 「そんなに畏まらないでくださいね。こっちも儲けますし?では早速、こちらへ」

 

 店の奥にお針子さんが待機しており、ぱっぱと採寸していく。オーダーメイドかぁ!

 「そういえば…ミッツさん、大変お聞きづらいのですが 「お嬢様…」 …我慢できません!ミッツ様”当たりワイン”余裕があれば分けていただけませんか?もちろんお代は払います。1瓶5でいかがでしょうか?」

 銀貨?二瓶だから小金貨1?めんどくさいな。ワインは銀貨基準か?

 「いいですよ。」

 2本だす。

 「ありがとうございます!今お金もってきますね!」

 どたどた。

 

 「…ミツゥーヤさん…とられちゃったのね?」

  「…2杯だけです。後は死守しました。いやぁ、素晴らしいワインでした…商会でかなりの量、酒類試飲してきましたが…。1,2を争うものですね…長期熟成物には敵わない点もありますが、”若さが!”フレッシュな…あたかも」

 お?おお?語りだしたぞ…さぞかし、造詣が深い様子…おいら、残念だけど良くわからんのよ…

 「あ、もう一本進呈しますよ」

  「!!し、しかし…」

 「お待たせしました。ご確認ください」

 へ?

  「!金貨?」

 「?ええ。小金貨10枚だから。」

 「銀貨じゃなく?」

 「これだけの大当たり安いものですよ」

 「ダメです。これ元はタダだったんですよ。差し上げますよそれくらい。」

 「ダメですよ商人でしょ?」

 「運搬業です。もらいすぎです。運賃で1枚で良いですよ…それでももらいすぎですよ…」

 「いやでも 「ほら、ミツゥーヤさんにも今、一本進呈したところですし…見分ける方法も…!…あ…忘れてください」 …・・・・・・。」

 しまった!焦って、ポロリと…

 ぎろりと、エルザさんに見据えられる!ぐぅ!なんだこの迫力!う、動けん!

 あたかも、蛇に睨まれた蛙の如く!

 「あるんですか?」

 「…」ぐぅ!

 「あるんですね?」

 「おっさん…」

 「…な、内緒」

 「無理だろ…おっさん。」

 「諦めるとでも?」

 「そんなに拘るものでも 「拘ります。」 …ほら、当たるという楽しみが… 「要りません。」 …ほら、おいら達貧乏人が買えなくなっちゃうじゃないですか」

 全く納得しとらんな…ま、こんな説明じゃおいらだって納得せんわ。予想以上の大金が動くようだし…

 「…一億Kでは?」

 来た!商会の経済力を生かした、お金攻撃!って

 「一億?バカですか?エルザさん」

 「…失礼な。それだけのことなんですよ。」

 「じゃ、アホですね。」

 「もう…一瓶5万ですよ。普通サイズの瓶2本分くらいありそうなので、1本3万として、1樽(225l)で250~300取れるんですよ?それだけで最低750万、一億なんて、たった14樽分ですよ、たったの。まぁ、品質に上下もあるでしょう。

 それでも14樽なんて1~2年で回収、それにビン詰めにも回せるわ。その後は利益のみになるんですよ」

 「なるほど!」

 先行投資にしては、格安だわな。

 「しかも未開封で分類できたのなら…商会で保証して大大的に売れます。オークションでいくらの値が付くことか…下手すれば1~2樽で回収よ。わかります?ミッツさん。」

 「そんなにするの?引くわぁ…」

 「貴族にとってワインはステータスですの。良いものを手に入れられれば…自慢できる一品。舞踏会なんかで振舞えば、お家の格も上がろうってことですわ。」

 「なるほどぉ。じゃ、そろそろ依頼があるんで… 「すべての違約金うちで払います」 …ギルドに迷…「除名になれば、うちが専属で雇います…いえ、役員の椅子を用意しましょう。」 …」

 絶対逃がすつもりはないらしい…

 「おっさん教えてもいいんじゃね?別に。俺たち関係ないじゃん」

 「まぁね。」

 「姉貴待ってるから帰るよ。雹は?」

  「父さんの護衛するよ」

 「おっけー。じゃ、ゴルディア行ってくるわ。エルザさんまたねぇ~」

 「!!!ゴルディア行くの?手紙頼めないかしら?店長に渡せばいいので。」

 「いいよそれくらい。鶏買いに行くんだ。卵産むやつ。そうだ!エルザさん紹介してくれる?」

 「お安い御用よ。良かったわ。そもそも紹介状無いと買えなかったわよ?鶏。ちょっと待ってってね。」

 とたとたと奥に引っ込むエルザさん。辺りを支配してた、妙な気配も霧散する…あれが、商魂と言うモノか?

 

 「ミツゥーヤさん、鶏買えないってホント?それにしても…ワインにしろ偉いことになってきたんですが…」

  「ふふふ。ミッツ様。両方本当ですよ。ワインも鶏も。卵自体、高価ですし。親鳥も高価です。村も色々手を加えてるので、なかなか村外に出したがらないのですよ。

 大手商会や商業ギルドの紹介があれば、大抵、大丈夫と思います。

 お嬢様はああ見えて、商会でも大きな発言権をもつ、根っからの商人。そうそう引きませんよ。頑固で、強 「ミツゥーヤ…下がりなさいな」 …ハイ」

 怖えぇ~

 「トワ様これを。間に合わせですがこの外套を羽織ってくださいな。」

 真っ赤な布に包まれた書状?と、赤黒い外套をわたす。

 「わかった。じゃぁおっさんいってくるわ」

 「気を付けてね。」

 「…ところで、養鶏もやるのですの?あの場所で…不思議な空間だから可能なのかな?… 「お嬢様…」 …失礼しました。卵も品薄の貴重品、良ければそれも 「これから実験です!」 …焦りましたわ。ほほほほほ」

 エルザさんの本性が…

 「それでは先ほどの件ですが…」

 …忘れるわけ…ないわなぁ。

 「ええ。お金は要りませんよべつに。」

 「いえ情報料です。」

 「では、確認後協議ということで。それと先方に”絶対迷惑”を掛けない事。これが守れないと話は無しです。」

 「先方?…わかりました約束します。」

 「お金じゃ動きませんよ。それでも?」

 「…ええ。商人の腕の見せ所です。」

 では。

 「ドワーフ族です。」

 「は?ドワーフ族?」

 「前に紹介いただいたグローヴィン師とか。良く酒盛りするんですよ一緒に。経験がある酒好きなドワーフなら見切れるそうですよ?5樽ならべて”コンコン”叩きながら一周。で2樽選んで的中!って具合です。そのあと3樽別に選んでもらいました。そのうちの1樽がこのワインですよ。エルザさんに逆紹介ですね。」

 「ま、まさに未開封…も、もしかして、未開封の樽あ、ありますか…」

 「ええ。ありますけど」

 鼻息、鼻息!!近いよ。

  「お嬢様」

 「…ふぅ。一樽譲っては頂ないでしょうか。」

 「なんなら、今度親方たちにその場で選んでもらっては。まだ未確認のワインも結構ありますし。エルザさんの方で調整していただければ。2~3日は暇してますので。」

 「確かに。じゃ、おつまみ、珍味取り寄せて伺いましょうか。久しぶりですね。グローヴィンおじさまに会うのも。挨拶するとすぐ邪魔じゃ!って追い出されちゃうんですよ。あそこ」

 「”お邪魔します”は禁句ですからね。はははは。じゃぁ、後日。お知らせいただけたら行きますよ。親方は動けないだろうけど…いい人材がいればいいですね。エルザさんの商会なら問題なく買い付けとかできそうですし。」

 「ええ。買い付け担当あたりの役職にして”あたり”と適当に数樽ひっぱれれば…商会の… 「お嬢様。」 …ええ。わかってますわ。これからもよろしくお願いいたします。ミッツさん。」

 「は、ははは…では、これで」

 エルザさんの”燃える商魂”を見た。儲かりますかぁ~~~~~!って。

本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店お待ちしております

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