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地中海の風?時々賊

 お昼は予告通り。美味しいカレーライスを頂いた。

 味?もちろん絶品だ。猪肉のゴロゴロ入ったポークカレーと、豆カレーの二種類楽しめる仕様だ。ナンかライス。茹でジャガイモという組み合わせもあるらしい。

 ジャガイモに関しては是非ともカレーの具として入れたいところだわ。食堂なんかじゃ、腐りやすいから使われないそうだが。というか…お肉、ニンジン、玉ねぎ、おジャガのドロドロジャパニーズカレーが食いたい。昔のマンガじゃ、肉が少ないと貧乏人と言われたが、なぁに、現代日本!野菜の方が御高くなった物さ。

 ルーは、おせちも良いけど…じゃなく大人のジャワい奴が良い。しかも中辛。

 小麦粉でとろみをつければいいのかな…スパイス調合でも試そうかな。油分がキモとも聞いたが…さて。

 

 

 「…父さん、これは?新しい蟹ですね…お師匠様は御存じで?」

 厨房にお邪魔し、巨大花咲ガニを披露。情報収集と料理の可否について。

 鑑定で見ても”美味”だから問題ないだろう。ミディ殿とビルックへの”投資”の意味合いも込めてね。決して暇だからではない…よ。

 

 「…生の見たのは初めてだわ…トゲカニね…しかも立派…こんな大きなの。良い盾が作れるわねぇ…」

 「盾ですか?身を守る?」

 「戦闘用のよ。硬化処理してバトル・シールドにするのよぉ。盾職の”武器”としてね。軽くて粘りがあって丈夫。取り回しも良い。」

 「美味しそうな盾ですねぇ」

 「…そんな生易しい物じゃないわよぉ~う。熟練の盾職のシールドバッシュなら、金属の騎士鎧さえも穴だらけにできるわぁ。」

 「はぁ?生体素材で?」

 「ええ。それに、この大きさ…一発ね。生身で受けたら挽肉だわぁ…で、ここに出したということは?」

 「もちろん!食材として。おいらの鑑定じゃ、美味らしいし。」

 「うん…良いわぁ~最高よぉ!ミッツさん!でも本当に良いのぉ?ドネリーちゃんとか盾職、多いでしょ?」

 「何も言ってなかったし。それに、まだあるから大丈夫でしょ。」

 「もぅ…本当に出鱈目ねぇ…これ、宴で出したら、マリアさん卒倒しちゃうわねぇ。」

 「ふふふ。良いですねぇ。」

 「もう…悪い顔なんだからぁ。ふふふ。でも…ちょっと多いわねぇ。ミッツさんの宴の前に他のお客に出すのも何だしぃ…よっと、”ぴきき”残りは仕舞っておいてくださる?」

 …ぶっとい足、二本を切り取ったようだ。相変わらず見事な…腕力だ。

 「これだけあれば傾向も解るでしょう…あら?卵も期待できるわねぇ。体はそのまま焼いてもらった方がいいかしら…」

 「ええ。こいつは焼いても茹でても美味いカニですよ。そうそう、また少しですけど、新しいスパイスが入ったんです。見てもらえますか?できれば評価もいただきたい。何に似てるとか、用法もできれば。」

  「本当ですか!父さん!」

 「ええ!任せて頂戴!早速、預かってもいいかしらぁ!」

 ここはお任せで良いね。

 「はいどうぞ。あ。」

 ひったくるように新スパイスを持って行くビルック君。うん?ちゃんとお師匠様のところに持って行くのね。…お父ちゃんにもその半分でいいから気遣ってほしいなぁ。優しく持って行くとか?

 師弟揃って臭いをかいだり、舐めたり始まった。石臼も出てきたな…もうおいらごときの声は届かないだろう。そっと厨房を出る…。

 また暇になってしまった…。おおうぅ…仕事を探している自分がいる。休暇だ休暇!お休みだ!

  

 「私の使命…お気になさらず…」

 町を歩くにもカイエンどんが付いて来てくれる。ゆっくりしてもらいたいのだが…かといっておいらは弱いし。呪いもある(イベント体質。呪いいうな!(神))。一緒についてもらわないと町すら歩けないとは。少々情けないわな。とほほ…

  「では、趣味ですので。お気になさらず。」

 …お世話おかけします。

 

 

 街の外の小高い丘陵地…今まで気が付かなかったが、斜面に植えられた沢山のオレンジを発見!まだ緑だが、間違いないだろう!この辺りは日差しも強いし柑橘類の生育に適してるのだろうか。

 

 オリーブもあるといいなぁ…。

 あったよ…葉っぱがちょっと違うが、銀色の葉だ。

 黒っぽい実がたわわに実る。作業している農家に聞いたらちゃんと油も絞ってるそうだ。交渉して熟した実を分けてもらう。うちで植えるためにね。実自体もそんなに渋くなくそこそこ美味い。

 

 他にも柑橘系の木が数種、苗木を作ってる場所を紹介してもらい、少し分けてもらった。あと、珍しく食用の甘いブドウも発見。マスカットによく似た品種だ。粒が小さいが糖度が高く大変美味しい。

 

 この町はマリアさんとこやミディさん。近くの漁村に目がいっちゃうからなぁ。こういった果物が豊富にあったとは。地中海の方の農産物がそろったりして。

  

 「よくもまぁ…いろいろなものをご存じで…」

 「まぁねぇ。それだけ”豊か”な国だったんだよ。前の国は。自宅に居ながら世界中…大陸を越えてほしいものが手に入ったからねぇ。」

  「よほど、この世界より”魔法の国”ですなぁ。」

 確かに。

 「…視点を変えると、本当にそうだね。まぁ、魔法じゃなく、科学だけどね。」

  「しかし、この辺りは”平和”ですなぁ…」

 「どうかな…海からの魔物なんかも見ないといけないだろうし…」

  「…盗賊も…ですね。」

 

 カイエンどんの視線の先。わらわらと…盗賊が現れた!その数、13…15か?

  「見ていたぜぇ~旦那ぁ。それ、マジックバッグだろう?」

  「いいなぁ~いいなぁ~俺たちにくれよぉ~」

  「アンタだろ?今噂になってる”真珠拾い”の一行って?」

 「はぁ。何でこう…何処にでもいるんだ?盗賊って。なんでだ?カイエンどん?」

  「さて。思った以上に情報が走ってるのでしょうか?」

  「けけけ、そりゃぁ、海で”真珠拾い”ができる魔道具を持った、大金持って俺らから”逃げ回ってる”のがアンタだろう?」

  「そうそう。アンタらにゃあ、人質になってもらって、その”魔除けの魔道具”も頂くつもりだよ。」

 「はぁ。そんな魔道具なんてないぞ?自力だ。しかも逃げ回ってるつもりも無いが?」 

  「信じらんねぇなぁ。お・じ・さ・ん。」

 …まぁ、説得力無いわな。弱そうなおっさんだしぃ。

  

 「怪我したくはないだろう?おじさん。大人しく…!な!?」

 …あ。

 あ~あ。今、喋ってるやつ以外の首から千本が生えてら。死んでんのか?いや、動いてる?生きてるのか?

  「な!お前ら!どこから!ひぃ!な! ”ぷすり” ぐ…うぅ…う…」

 ずい!と喉の一点。そこに躊躇なく千本を刺しこむ…。ぅうう…敵ながら痛そう…

 「はい。お終めぇ。しっかし、面白い話ですなぁ。魔道具ですってぇ?」

 「お師さん、面白くないって…でも変な話が回ってるな。この国内つけ狙われるなぁ。」

 「なぁに。指一本触らせませんて。」

 「…情報操作でどうにかすんじゃないの?そういう時て?」

 「ほ!若いの良い訓練になりますので。」

 …訓練じゃねぇよ…。おいらは囮かい!

 「…で、こいつらは?」

 「そうですねぇ。うちでもいろいろと調べたいことがありますので…しばらく生かしておきましょうか。くくく。」

  {!…!}

 「調べるにしたって…てか、人増えてね?」

 斥候隊…10人はいるな…。若いのも混ざる。

 「へぇ。手ぇ空いてるの呼んでますんで。イベント体質とやら期待してますぜぇ。では。おい!さっさと荷台に積んじまいねぇ!」

  {はっ!}

 悪人とはいえ哀れなもんだ。動けない賊たちが荷台にドンドン乗せられる。最後、ばさりと帆布が被せられる…。最後にチラと覗いた、怯え、引き攣った賊達の顔。…そんな目で見なさんな。

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