馬?ああ、忘れてたわ。
いらっしゃいませ~本日二話目。ゴールデンウイーク!
宿に着いた…ふぅ。
「「「父ちゃ~ん」」」
子供たちを見たら涙が出た…そっと三人を抱きしめる。
「「父ちゃん?」」
「どうしたのぉ~」
「なんでもないさぁ~」
子供達を解放する。傍らに立つ雹も抱き締める。
「留守番ご苦労様。なんかあった?」
「と、父さん…何にも問題無しだよ。みんな、良くしてくれてるよ。あ、ファムの歯がとれた…乳歯だとおもう。」
「なんと!痛くないのかい?」
ファムの顔を覗き込む。取れた小さい歯を見せながら
「くんせい、かじってたら…とれた?」
頭を撫でくる。
「そっか、丈夫な歯が生えてくるといいなぁ」
「うん」
あの子にもこんな日常を味わわせてあげたかった…。頬を涙が伝う…もう一人の娘にも。
「おっさん。気持ちはわかるが…しっかり休憩して、今日出発だろ?」
「…もう一泊しちゃおうか…」
「「「うん!」」」
「こら!」
といいながらワンコsの頭を撫でるトワ君
「…ああ。いいと思うよ…親分に聞いてくるわ。ゆっくり休もう…今日は。」
「ありがとう…トワ君。少し横になるよ」
…横になったが…お子ちゃまが纏わりつく。何か感じたのかなぁ。おいらの心の動揺とか…わちゃわちゃ。休めん!が、お子ちゃま成分は十分充電できた。
皆を引き連れ…風呂だ!美味しいご飯を食べる。幸せだ…ファムが元気ないなぁ…歯とれたからか。
「どした?ファム?歯いたいのか?」
「…おひるねしてたら、おねーちゃんいたの。」ビクっ!
「そか…」
「おねーちゃん、いいこにするのって きえたったの」
「そうか…」
「どこいっちゃったのかなー」
「「…」」
「しんじゃったの?」
目の前が真っ黒に…
「おっさん!」
目前にトワ君の顔?ん?重い?ワンコs装着済み?
「あれ?」
「父さん…突然倒れた…」
心配げな雹。
「そか~弱っちい、父ちゃんだなぁ」
涙が噴き出る…はぁ、泣いてばっかだな…
「大丈夫だよ?父さん。ファムも解ってるよ。俺たちに死は近いんだ。人族よりずっと…」
「さ、びしいこというなよぉ~~~」
みんな抱きしめる
「さびしいこというなよ~」
号泣だ…
「おっさん落ちついたか?」
「ああ…すまないね。みんな。ご飯途中だったね。食べよう」
ちいさい茶碗を借り、ご飯をよそう。
「これはファルの分だ」
「ファル?」
「ファムのおねーさんの名前だよ。父ちゃんがつけたんだ。父ちゃんもトワ兄も会ったんだよ。ファムのことよろしくって。」
「そうなんだ。おねーちゃん。」
そっと抱きしめる
「さぁ、ご飯を食べよう!残さずにね。」
その晩はワンコsと寝た。少なくとも寂しい思いはさせまい。
…。
さぁ!出発だ。今日の朝練は、さぼってしまった…起きられなかったの!予想以上にこたえてたようだ。トワ君と雹は一汗流したようだ。ワンコsも走り込み、か?なんかやってたようだ。
朝食後、親分が居たので礼を言う。
「こちらこそさ!あのまま放置されたら…並みの儀式じゃどうにもならなかったさ。」
「ありがとうございました。」
「この街にまた来てくれることを願ってるよ。」
どうしても一拍置いてしまうな…
「…機会があれば。では!」
さて、
道すがら、雑貨屋による。
「これください」
小さい木のお椀を購入。ファルの分だ。
「そうそう、雹にはマジックバッグ渡しておくね」
「え?」
「いざって時用だ。最悪売って金にしてもいい。」
「…わかった」
「じゃあ走るか!」
「「…」」し~ん…
「おー!は?君達?」
…なによこの沈黙…雹?したり顔のトワ君。
「だろ?」
「…うん」
無念の表情の雹君…どした?
「小金貨一枚だぞ雹」
「解ってるよ…はい」
「よし!雹兄から差し入れだぁ!屋台いくぞ!」
「「「おー!」」」
おー!って…?
「なに…ゴトでしょうか?」
「父さん、馬忘れてるでしょ…」
うま?
「馬?馬がどうしたの?あんなの…!…あ、あああ!厩行かんと!」
「思い出した?父さんのおかげで金貨トワ兄に取られた。信じてたのに~」
「っ!面目ない。」
金貨賭けとったんか!すまん!気を取り直して…厩へゴー!
「すいませ~ん。馬取りにきました。」
雹とトワ君が行く。
「ん?預かってないよ。初顔だね?」
?場所違ったか?いや?
「これが預かり伝票 「雹!ステイ!渡すな!」 はい!」
”どごぉお”
手を伸ばしてきた親父の腹にトワ君が蹴りを入れる。
「ぐはぁ!な、なにを!ぼ、暴力だぁ!衛兵を呼ぶぞ!」
「いいですよ呼んでも。困るのはどっちか…いま衛兵じゃなく騎士と兵が回ってますよ。知りません?雹、アヴェルさん呼んできて。騎士さんいたら声かけて。」
「はい!」
「な、何を勝手に…」
「動くな」
槍を突き付ける
「死ぬぞ?」
「…」
「お!騎士さんだ!騎士さんちょっといいですかぁ~」
「トワ様ではないですか。ここでなにを?」
「今アヴェルさん呼んで来るから付き合ってくれます?」
「ええ、いいですよ。馬屋がなにか?」
「おまたせ父さん」
「近くに居たんだが、臭いでわかるって…俺、臭いか?旦那ぁ」
少々、不貞腐れ気味の親分さん、登場。大丈夫だって。おいらなんかもっと、加齢臭が…えぐえぐ…。笑ってる君達!いずれ君達も体力の衰えと共に感じるようになるんだぞぉ!
「ははは、大丈夫ですよ。雹、鼻いいんで。で、ご足労願ったのは…この馬屋の主人が預けた馬を引き渡してくれないんですよ。」
「…はぁあ、馬屋ぁ俺も知ってるぞぉ~金ぇ足りねぇなら、うち来いって、ギルドの若衆に伝言しただろうぅ。俺の事知らねえぇのかぁ?」
「…アヴェルの親分」
「知ってんじゃぁねえかぁ。俺の顔に泥ぉ塗ったら…どうなるかぁ知ってるよなぁあ」
「…ヘイ…知らなかったんだよ…親分の知り合いだなんて!いつも…」
「ああぁ?いつも?ひょっとしてきさまぁ、ゾルドと組んで…」
「じゃもう一回聞きますね。ここに預かり証もあります。出してください。」
「…」
「どぉしたぁ、アンだけの馬だぁ、窃盗する気なら死罪だぞ。」
「!た、助けてください!でき心で!」
「いいからぁ、だせやぁ。死ぬぞ?」
「て、転売の約束をしちまったんでぇ、貴族様に…金は渡します!ですので 「金は要らない馬を返せ。」 …貴族様だぞぉ?」
「知らん。盗人のくせに。面倒だ連れて行って良いですよね?」
「ああ、かまわん、こいつの始末はまかせいねぇ。」
「頼む。殺されちまうよぉ~」
「どっちみち処刑だ、おめぇはよぉ~」
「この先は死んでも…」
「何ぃ、強情なぁ」
「かまわん、雹、トワ君、馬呼んでみ。賢いから来るよ。たぶん。」
「疾風!」
「赤兎!」
”ずずずづづんんぅ”
お?おおぅ?建物が揺れてるぞ!
「「ひひひぃいいん」」
”どがががぁああっ””どがぉごん”
「な、何が?」
”ごががあああぁん!”
建屋爆散!親父が跳ね飛ばされて宙を舞う…死んだか?いや大丈夫そうだ。
なるほどそういうことか…
「疾風?」
トワ君に鼻先を近づける馬?なの。でかい。あの馬だ。で角?なんなん?
「こりゃぁ~すげぇバトルホースだぁ。今までこんなの見たことねえなぁ。で…」
ああ、こっちの問題はすぐにわかった…雹に体を擦り付ける、これまたでかい…
「疾風」よりでかい、足が8本の馬…
「スレイブニィル?真紅の?」
「すげえなぁ~真紅の…神獣様だぁ。これに目くらみやがったなぁ~」
「う、うちで進化したんだ権利だって!」
と、馬屋のおばさん。
「はぁ?何か特別なことしたのかい?こいつらはトワと雹からしか食い物受け取らねえだろ?」
ホント?
「多少の金銭の請求は良いが…窃盗だぁ今回のは。わかるかぁ?」
「…私ら殺されちまう頼むよ!」
「前金、全部はらって頭を下げるんだなぁ。ってか、おまえら、もう、死刑だぞぉ。馬泥棒は罪が重いのは、おめぇら、一番、重々知ってるだろうがぁ!」
「「…」」
「それに…俺がゆるさねぇ。覚悟しておけ!」
「馬屋、これはどういうことだ!其れは…わしの馬ではないか!」
貴族到着。頭わいてるのか?だれか呼びに行ってたんだな?
「これはアロン侯爵殿このようなところに?」
「良い馬がおると聞いてな。近くに来てたので買い付けた。」
「ですが、この馬は持ち主がおります。同意なき転売は窃盗になります。補償はその馬屋との話で決着を。」
「なに?諦めろと申すか!貴様は?」
「諦めるも何も…正規の持ち主はいますよ…これ以上何を?」
「その方、ワシに売れ!」
「お断りします。アヴェルさん、もういいですか?」
「ええ。」
「貴様!平民の分際で!」
「はぁ、良いですからそういうの。無礼打ちにでもします?」
「ミッツ殿」
「もう疲れました我慢も。で?此方も抵抗しますが?」
「き、き、貴様ぁ!」
「短慮で死にますよぉ侯爵。その方はテクス様の客人だぁ手ぇ出さない方がいいですよ。」
「くっ」
踵を返し人垣に消える…お貴族様。
「さぁ、見世物は終わりだ!ミッツ殿…気を付けてください。では。」
「お世話になりました。」
半壊した馬屋を後にした。
…本当に生きづらい国だ…この国は…いや、貴族制度にあるのか?
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




