会談?話は聞こう。
いらっしゃいませーいやぁ~PCが壊れるとは。すさまじい音!部品がファンに巻き込まれたと思いましたよ。予約投稿は済んでましたが。いやはや。
「ミッツ殿、会見の場をいただき感謝する。」
姫の挨拶で始まったが…
「最初に、そちら…は、テクスティリス様…ですか?」
思わず目を疑った。まるで別人だ。
確か赤みの強い金髪だったような?今は真っ白だ。しかも、覇気もなく10歳は年を取っている。周りを見渡すと姫様も側近たちもそこまではないにしろ年を取った感じだ。
書状にあった件で精神的にだいぶ追い詰められたのだろうな。
半面、なぜか親分さんだけは活き活きしてる。まさか…大暴れでストレス発散か?
「ミッツ殿、本日再会できて幸運の極み。会談嬉しくおもうよ。貴殿の危惧した通り、想像の上を行くものであった…」
トワ君も彼の変貌ぶりに驚いている。
「そうか…残念だな。」
「余罪もまだまだ多く出るだろう、教会や、一部の貴族に…いや、当家の話だったな。すまん。その前に、また街に尽力してくれたそうだね。衛兵制度の見直しも検討してるよ。」
「ミッツ殿ぉ、すまなんだぁ!機密情報漏洩。襲撃も予測してなかったと言えば、うそになる。改めてギルドとしての謝罪をする。すまなかった。」
領主様に続いて親分が頭を下げる。仕方ないって…どこにでもいるさ。
「頭上げてくださいよ、親分。まさかですよね。失脚したことすら伝わってなかったんですよ。普通なら中止でしょうに。まぁ、屑が消えて、戦利品が入る。一石二鳥ですね、いや、情報も取れるから三鳥?」
「ああ、盗賊団頭目、ギルド職員も多くの情報を持っているだろう。捕縛感謝する。」
「で、本題だが、”葬送の儀”の執行だったな?今もそのままに…?」
「ああ、現場は氷魔法使いと魔道具で維持している。」
「まず、はっきりしておこう。私にはできない。頼むならトワ君だ。勇者の力、慈しむ心の持ち主だ。トワ君が断るならこの話は終わり。他の教義の教会なりに任せることだな。」
「勇者トワ様…この度の、我が一族が犯した無念なる被害者にご慈悲を。安らかな場所に行く手助けを。どうかお力をお貸しください。」
「…俺はかまわない。ただし、”あの”教会はいらない。儀式の全てを俺が仕切るのならやるよ。」
「おお、ありがとうございます…」
「私からも礼を言う。我が国の闇の部分だ」
「…で、見返りは?哀れだから…ってタダはあるまい?そちらの撒いた種だ…」
後ろの文官共が騒がしい 「無礼な」 「名誉…」 とか。
「なんだ、後ろの連中はタダでやれと?お貴族様のご依頼だから名誉だろ、なんて思ってる?」
「「…」」
「気にしないでくれ、私の考えを聞いてはくれぬか?」
「どぞ。」
「報酬は私の命。それと金貨800枚。家宝数点といったところだな。金銭は私が今、自由に動かせる金はこれが一杯だ。家宝のリストは…」
「テクス様!それは、あまりに 「黙れ!」 …」
「ふぅ…そなた等は何も感じぬのか…今回の騒動。『ハイ』しかいわん家臣はいらぬが…同様に心がない者もいらぬ。どことなり行くがいい。餞別位はくれてやる。」
「「テクスさ 「去れ…」 …。」」
「で、どうであろうか?」
「…金と家宝、マジックバッグの一つくらいはあるだろう?あればバッグ一つでいいよ。貴殿の命?そんなものいるか!貴殿の決意?誇り?そんなものなんの供物にもならんよ。
できれば今後の人生で少しでも変えてくれればいい。その方が嬉しい。で、取り分のうち、金貨100枚で、菓子を買えるだけ買って持ってきてくれ。ジュースや、果汁も適当に。子供たちも喜ぶだろう。」
「…ああ、約束しよう…」
「本来なら、貴殿の血族共消してやろうと怒り心頭だったけど、心を削られた貴殿をみてしまうとなぁ、親父の罪だしな…」
「…すまぬ」
「お父ちゃ~ん、もっと燻製ちょうだい!」
狐っ子乱入。
「こら、ダメだっていったろ」
と雹が追いかけてくる…雹に
「貴殿にも迷惑をかけてすまぬ。」
「い、いえ…」
「ほら、トワ兄にもらっておいで。父ちゃん持ってないんよ?」
「うん。トワ兄ちょうだい!」…
「そう、今の子、先のアジトで保護した。耳と尻尾を切断され、首にひもをまかれ、机に繋がれていてな。」
「「…」」
渋い顔の領主と姫。
「テクス様、事実です。」
「そうか…」
「少しでも…商業ギルド並みに、表面だけでも獣人と付き合えるようになればいいね。今は奴隷並みだ。」
「「…」」
「場所を移そう。人の目に入らぬほうがよい。」…
「アジトで発見した、貴族の持ち物だ、なんでも、その家が買い戻すと聞いたが?」
貴族の”遺品”を前にしたガルペン殿の提案だ。是非とも交渉に応じてくれぬかと。涙腺の緩い同士の頼みだ。無下には出来まい!であるから、応じることとした。
「ああ、大概買い戻す。私が責任をもって手配しよう。買い戻し金額は相場以上を約束する。ミッツ殿が出すより面倒が少ないとおもうが…交渉事もあるしな。」
「ええ、お願いします。ここに出しますね。」
紋章のある宝飾品の数々。武器も量がある。鎧はない。たぶん鋳つぶされたのだろう。
「こ、こんなに…!…これは、ア、アミュリアの…あ、ああぁ。」
姫様のご友人だそうだ。
「しかし…これだけの不祥事…お家取り潰しじゃね?」
だね。
「い、いや、テクス殿は”南門の楔”といわれた能臣。取り潰しは回避させる。」
「ふ~ん。…それと、これが先のアジトで見つけた”事件の関係者”リストだな。」
とテクスに渡す。
「よいのか?預かる。」
「ここで観ても?」と姫様。
姫と領主殿の間に割って入る騎士。主である姫を押しのけて。
「なりませぬ。」ボソ
「ん?なにか。レリギオ?」
「”火球”!」
炎の魔法が書類を襲う!
”ぼおぉおおぅ”
一瞬で火が回り、帳面が炎に包まれる。慌てて踏み消そうにも、魔法故か、すでに消し炭だ。
「な!なにをするか!レリギオぉ!!」
烈火のごとく姫、すらりと剣を抜く。
「侯爵!」
「…これはあってはいけないもの。見たら最後、命がありませぬ…このようなとこにあったとは…」
「まさか、貴様も!関係しておるのか!」
姫の問いに
「いいえ…私は知りません、関りはありませぬ。…噂話程度でしたが。教会…が関わる闇。」
「なんてことを…」
…であれば、消し炭にする必要はない。ということは…
「…王族も関わってるな?」
”ぴく”。わずかに動揺する騎士。ビンゴだな。
「そんな訳あるまい。なにをもって…」
「そうでなければ”今”手を出す必要はない。後でテクス殿を殺して奪えばよい。今、手を出さざるを得なかったのは…姫様が目を通すといったからだ。
王族、おそらく姫様の近しい者がいるってことだ。しかも、侯爵だったか?貴卿が動くか…かなりの大物… 「いうな!黙れ!」 …当たりね。で、抜くか?」
「控えよ!レリギオ。知ってることを申せ!」
「…証拠もあるまい。私は何もしりませぬ。ミッツ殿そなたもこれ以上…」
「関わる気?無いよ?おいら、全然関係ないし?異世界人よ?俺ら。
今回も貴殿らの巻き込まれだし。
…しかし…そちらが手を出してこない限りだ。出してくるなら潰す!国だろうが、教会だろうがね。」
「ああ…そうだな。」
”勇者”の波動…味方には鼓舞となり、敵対者には威圧となる。
それを全身に食らい、一瞬で顔色が変わる騎士殿。
「…くっ…ここは引く。では姫様、暇をいただきまする。今までお世話になりました。御免。」
踵を返し、己の馬にまたがり去っていった。ここにいた”護衛”の騎士は彼の腹心なのだろう。主の姫を置いて、侯爵に続く。
「レリギオぉーー!」
…。
「…なんてことだ…折角の手がかり…をミッツ殿、テクス殿、す、すまぬ。」
「…いえ。かえって良かったのかもしれませぬ。侯爵の言う通り姫を危険に遭わせる場合も。」
「私はどうでもいい…このような不祥事。大本を質さなければ…王族が関わっているなら尚のこと」
「姫…」
志は結構だ。その正義感も大したものだ…が、
「覚悟はあるのかい?」
「み、ミッツ殿?」
「知る覚悟はあるか?と聞いている。最悪親父や兄や弟、母親が”人食い”かもしれないんだ。耐えられるか?」
「…」
「生半可じゃないぞ。目の前にいるだろ。」
姫の視線が隣にいる、領主様に移る。
「テクス殿…」
「無理は…ミッツ殿、ひょっとして確定できるのか?」
「…候補くらいはな。」
「「…」」
「お、教えてくれ…。知らなければならん!どんなことでも!最悪の結果になろうとも!例え、それが!父、母でも!」
「本当に?知ってその後どうする?」
「その後?もちろん………」
姫の紅潮していた顔色がみるみる白くなっていく…
「好奇心だけなら止めておくことですね。問いただす?告発する?国民に発表する?ここまで出来きなけりゃ、教会だか、聖王国に口封じ。暗殺されてお仕舞だ。
公表しても人食い王族の誹りを受け”国民の支持”を失う。
大元、諸悪の根源である教会から”神敵”認定で火あぶりだろうさ。
何もしないで己の胸の中に仕舞えば、素知らぬ顔で毎日”人食い”と顔を合わす…できる?姫様が思うより生易しいもんじゃぁない。」
「そ、…それでも。それでも知らねば!」
「はいよ。俺たちは知らない…わかった?」
と、本物の帳面をだす。
「「!!」」
「本物だ。テクス殿に渡す。中を確認後、姫に見せるか、見せないかはテクス殿が決める。姫は強要をしない…これが条件だ。」
「「…」」
「姫様は誓えるか?」
「誓おう」
「テクス殿は?」
「命に代えても。見せないと判断したとき、手に余る時は焼却し、墓まで持っていこう」
「その辺の判断はご自由に。では」
テクス殿に手帳を渡す。おいらはここまでよぉ~あとはどうなるか知らん。お国の事だ。
「じゃ、明後日の昼からだね。全てはトワ君が取り仕切る。例の教会は立ち入り禁止で。では失礼します」
身心を清め儀式にあたろう…
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




