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さぁあ!しゅっぱつだ!陽は…のぼってる。

いらっしゃいませ~花見も明日まででしょうか。

 「「「いってきまーす!」」」

  {いってらっしゃーい}

 いいな。家庭だ!嫁さんいないけど…子だくさんだ!嫁さんいないけど!!大事なことなので2回いわせてもらいました!

 セツナっち?おいら、ロ〇コンじゃないし~。子供枠だな。その前に相手にされないって?だな!えぐえぐぅ…

 なことより、今日、エキドレアに出発だ!ワイン運ばんと!前金もらってるし。

 家の方もセツナ嬢が鎮座為されている。問題ないようだ。風呂も完成、家計もがっちりだし、肝心のお子ちゃま達も無事にセツナっちに懐いたし。最初はみんなドン引きしてたものなぁ。押しが強いからビルックなんか怯えてたくらいだし?

 

 そうそう、仕事に出る前に、一回、みんなで孤児院に。セツナっちを紹介するために行ったのだが…

 『ぱらだ~~~~~~~~いすぅ!』

 だそうな。

 

 シスターともすぐに意気投合。運営など相談にものってるとか?

 おいら達?蚊帳の外。それにしてもコミュ力あるな!セツナっち。隠居無理だろ。あれ。

 で、後顧の憂いもなくなったので出発となった次第である。

 話を戻そう。

 

 ただいま交易都市ティネルに向かって疾走中!もちろん、魔力で押して高速で移動中だ!

 「おっさん!豚だな!」

 豚て…

  「うん!父さん。行こうよ。俺あそこ好きだ!」

 myサン!わかってるよ!

 「うん、美味しいもんな!楽しみだ!豚小屋!」

  「うん!って、【豚の城亭】だよ…」

 そだったか?

 豚の城亭に思いを馳せていると、丁度、木々の多い所に立ち入ったタイミングでトワ君が停止のサインを出す。

 「ん!おっさん、あそこに何かいるぞ!」

 「停止!」

 ずざざぁー。

 「と、盗賊?」

 「いや、気配から言って魔物?かな?」

 「躱すか?」

  「見えないけど…なんだろう、変な気配がする…トワ兄、あの木のとこだよね?」

 「うん、よくわかったな!雹!オヤジを超えたぞ!」

 うっさいわ!とっくだわ!

 「全然わからんな…」

 ふん!だ。ん?あれか?凝視してるうちに、ぼんやりと…魔物自体は見えないが、光の残滓のように。魔力がみえるぞ!私にもみえるぞ!

 「待ち伏せなんだろうか?にっかどぱわ~~~~!」

  「?ん?なにすんだ?おっさん?」

 「念のためだよ。ちと、魔法ぶつけてみるか?」

 「おっさんいくの?見えてるのかよ?」

 「魔力視?なんとなくみえるわ。トカゲか?まぁ、まかせてくれたまえ!こほん。大気に満ちる氷の精霊よ 「…おっさん?精霊見えんのかよ?」 …気分だよ…」

 ジトやめい!

 「とう!」

 高速で氷の槍…矢だけど…を放つ!ふっ。

 ”ぶっしゅぅ~~~~うぅあ!”

 何もない空間から血が吹き、辺りを濡らす。

 「どでかいとかげか?」

 10mくらいあるぞ。あれ。ドラゴン?

 今や、傷の苦痛のせいか、擬態も解け、明滅するように体色変色を繰り返す。

 その姿、大きく湾曲した背、腕のように巻きつく尾。木を掴むのに適した指。何より左右別々に動く大きな目玉。

  「父さん!あれってドラゴン?」

 「カメレオンだな、たぶん?カレイどぉ 「おっさん…」 …”鑑定”。」

 …いいじゃん。バトルよ?詠唱位…距離もあるし…のたうち回るカメレオンに鑑定だ!


 ・バジリスク。ニワトリやら、王冠付きの蛇とか言われてるが、この世界では麻痺ガスを吐くカメレオンの魔物の事をいう。

 擬態し、近くを通る生物を麻痺させ捕食する。見つけるのは困難。よく気づいたな!爬虫類だから、氷は良い選択だ!ゲットだぜ!


 危険度・★★★★☆ 


 …ゲットしないよ…あんなの…それにしても、この世界の魔物って強すぎない?神様これからも見守ってください!

 

 「バジリスクだって。麻痺に注意!」

 「石化じゃなくて?」

 「こっちのは麻痺だそうだ!」

  「いってくる!」

 あ、雹! 

 

 「せあ!」

 走り込む雹!

 ”ごぐん!”

 そこに打ち出される高速の舌!雹には見えてるのだろう。寸前で躱す。その舌は雹を捕えられずに、後方の木に貼りつく。

 そして、回収される前に中ほどから、左手の短剣の一閃で斬り飛ばされる。

 ”ぐっげぇ!”

 悲痛な叫びをあげるお化けカメレオン!さらに肉薄!雹に向け再び口を開く!麻痺の息!クルリと向きを変え、顎の下方から放たれた一対の連撃が同じ場所をなぞる!

 決まったか!しかし速い…目も良いが、特筆すべきはあの身のこなし。あれだけ直角に曲がるか?普通?ユキヒョウ故か、あのぶっとい尻尾の舵。

 ”ごとぉおぉ”

 良い所に刃が入ったか、頸骨を断ち首が落ちる…強くなったのぉ~弱ってるとはいえ、倒し切るとは。うんうん…。目頭が熱くなる…。

  「トワ兄!父さん!」

 「よくやった!”収納”っと。…おっさん、何泣いてんだよ…意味判んね。」

 「…さぁ、出発だ!」


 バジリスクと会敵。と言ってもあっという間に狩ることが出来た。一応持って来たが…どうすんだ?食うのか?確かにヘビは美味しかったが…

 その後は順調に行程を熟し、夕方には到着した。速いのぉ。

 で、さっそくギルドに行く。飯食うにしても、遊ぶにしても、仕事が残ってるとエンジョイできないだろう?

 「こんにちは~」

  「はい。いらっしゃいませ!」

 前の受付嬢だ。

 「お久しぶりです。確認お願いします。」

  「はい、確認します。そうそう、【豚の城亭】すごい繁盛店になってるわよ。私も行ったけど、美味しかったわぁ。”じゅるり”あ、あら失礼。それと焼き肉店を開きたいと希望者も多いようよ?」

 ヨダレ…美人が台無しだ…

 「そんなにですか!」

  「ええ、近くを通るだけで…あの殺人的な匂いを嗅がせられたら素通りは…ムリね!っと、確認おわりましたぁ。証お願いします。」

 「はい。楽しみだなぁ。そうだ、お勧めの宿もお願いします。」

  「はい。前回は失礼しました…ここがお勧めです。」

 ギルドをでて、宿をとる。もちろん素泊まりだ。


 「父さん!はやくいこう!」

 ずんずん先を行く雹を後ろから眺める。おうおう。ホント逞しくなったなぁ。

 最初はガリガリ君のぼさぼさ野良猫って感じだったのに。

 しっかり食って、毎日鍛えてるもんな。時間があれば自ら鍛えてるのも父さんは知ってるよ。うん。

 今ではユキヒョウらしくしっかり骨太だしね。尻尾もブラッシングしてるからふさふさだ。

 「おっさん、何泣いてんだよ…今日は良く泣くなぁ…」

 「いやぁ~雹をみて、逞しくなったなぁ~って。今日の戦闘だって…」

 えぐえぐ

 「…なんか、感慨深いものがる…」

  「父さん、ありがと…」

 うんうん。

 「こんなんじゃ、おチビの嫁入りの時はたいへんだ。」

 「娘はやらん!」「「ははははは」」

 え?マジだけど?

 

 「らっしゃ~い!あ、旦那!こちらへ!」

 「まいど~久しぶりーすごい繁盛だね!」

  「ええ、旦那のおかげでさぁ、変わったエールが入ったんで、おい!飲み物、坊主は…ジュースでいいな?いいリブがあるんだあとで、出すな。」

  「うん!楽しみにしてる!」

  「あいよーあらあら、旦那、久しぶりだね!ゆっくりしてってよ。」

 「ああ、楽しませてもらうよ!」…


 「父さん、美味しいね!」”ヴァガリ、ガァリ。”

 「…雹よ、変な音してるけど大丈夫か?」

  「ん?美味しいよ!」

 「ならいい…」

 恐ろしきかな獣人族の強靭なアゴ。

 「トワ君も楽しんでる?」

 「ああ、これ、ほぼビールだよな!炭酸薄いけど…」

 「ああ、黒ビールに近いね。ローストしてんのかな?美味しいね。」

  「旦那、楽しめてるかい?」

 「ああ、タレも極上。大分研究してるね!商業ギルドでも評判だったよ。」

  「いやぁ~研究楽しくてね。まだまだ、旦那がくれたヒントも沢山あるから、いろいろやってみてるよ。」

 「今後も楽しみだね!」

 食うわ、食うわ。若者は。飯が食いたい…おっさんは!

 堪能した!お会計はタダで良いって言われたけど…こんだけ食えばね…おいら一人なら、ごちそうになったよ?少しだがおいてきたよ。多いと言っていたけど、まぁ、いいだろう。馴染みの店も少ないし…。そっと紙を渡す。

  

 「だ、旦那、これは?」

 「当分手に入らないだろうけど…ヒントの一つ」

  「…預かります」

 レシピが金になる世界、声には出さない。もち、紙には、”エルフ産の黒い調味液、醤油。茶色いペースト状の調味料、味噌。時期になると行商”と書いておいた。量、価格の問題もあるが、成功した暁にはおいらが卸してもいいもんな。今日はぐっすり寝られそうだ。旨い飯、旨い酒、言うことなしだ!

本日もお付き合いいただきありがとうございました。先日TVで令和アフロTシャツなるものが。なかなかに笑える逸品でした。またのご来店をお待ちしております。

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