刹那と永遠。
いっらっしゃいませ~
ソファに向かい合って座る。”女勇者”様。
先ほど、おいらの妄想暴走の被害者だ。あの王と同じ”罪”を犯してしまった。己の身勝手な”召喚”という愚行を…
小学校高学年くらいだろうか?美少女と言えるくらい目鼻立ちがスッキリしている。その瞳には歳以上、成人の理性、知性が窺える…。ちぐはぐだ。
「お、お茶でいいかな?リンゴに似たジュースもあるけれど。」
「じゃ、ジュースを。ふ~ん。趣味の良いお部屋ね。」
美味しそうに喉を潤す少女…ふぅ。
「まず、今回、”召喚”という誘拐を行い誠に 「おじさま、もういいよ。」 し、しかし!」
「いいって、いいって。本当に。嫌ぁ~な、最低な国に居たんだ。私。あ、セツナっていうの。よろしく!」
「申し遅れましたミツルと申します。」
「ミツルさんは日本の?何時頃こちらへ?」
「この世界に来たのは大体半年…一年は経ってないよ。で、2018年日本から。」
「私は、2013年日本。しかも、飛行機事故でまとめて転移させられたの。」
「!2013年の航空機事故と言えば、成田を発って、すぐに筑波山に墜落、しかし、人体及び人のかけら一つ、血の一筋、見つからなかった航空機事故史に残る怪奇事件…。それで乗客乗員全員行方不明扱いだった…『消えた乗客』…そうか。飛行機の乗客が全員召喚されたのなら…」
「飛行機だけで墜落…山で良かったわ。町に落ちてたら大変だったわね。…そうね。私たち全員召喚されたもの。」
「それなら死者0も納得だな…」
「いいいえ。むしろ…日本で死んだ方が良かったわ。ホントくだらない国だった。攫っておいて難癖は付けるわ、奴隷扱いするわ…皆、オークションにかけられて、私たちを戦わせて代理戦争の駒扱い。乗客のほとんど、何百人も死んだわ。
怒り心頭の一人が反転…闇落ち?し、魔王になり、所属してた国と”召喚陣”を破壊して死んだの。それで、私達は地球への帰還を諦めたわ。」
「めちゃくちゃだな…無念だったんだろうな。反転って。」
「でしょうね。家族で呼ばれて、隷属命令で、己の手で皆殺したんですもの…。」
「胸糞悪い…滅びて当然だな」
「で、私はロリコン伯爵に買われて、神薬で若返ってこんな姿に…こう見えて、23?よ。あれ?もっといってたかしら?まぁ,せこいいたずら程度だったけど、今度会ったら、斬る!」
「そ、そうなんだ…隷属のこってる?相棒の勇者がいるから解除してもらえるよ。たぶん。」
「こっちの世界の勇者?てっきりミツルさんが勇者かと。」
「巻き込まれ系だよ。こんなアラヒフ、勇者として呼ばれるわけないじゃん。」
「そうだね!あははは」
”がちゃ”
「なんだよぉ、おっさん、こんな夜中に…うっさいぞ!」
頭ぼさぼさ、眠気眼のトワ君登場。
「わるい、トワ君、お、おいら、とんでもないことを… 「ト、永遠、永遠じゃん!何でここに!!」 …へ?」
「はぁ?誰だ?馴れ馴れしいガキんちょだぁ…うん?あれ?な?あぁあ!ええ!え?姉さん?刹那姉さん?うそ、生きて…」
「永遠!」
がっしと抱き会う姉弟。トワ君大泣き。だよなぁ、5年前死んだと思ってた肉親が生きてたなんて。おじさんももらい泣きだよ。
…暫く…
「はあぁ。生きててよかった?姉さん…縮んだ?」
「永遠こそ異世界に…くっそ!酒なしじゃ語れん!ミツルさん酒!」
「姉さん、ワインならあるよ。」
「出して!」
小学生くらいの子が、ラッパでぐびっぐび飲んでる…
「ぷぅはぁー!こっちのワインは美味いなぁ!」
おっさんかい!
「おっさ”べしぃ”痛てぇなーなんだよ! 「”おっさん”じゃない、ミ・ツ・ルさん。OK?」 …い、良いんだよ。俺たち戦友なんだ!なぁ!」
「ええ、ええ。そう望んだんです。おいらが、言葉普通にさせてもらうね。召喚当時、トワ君には大変お世話になりまして。途中、ミツルさんって呼んでくれたのですが…どうもしっくりこなくてね。で、おっさんに落ち着いたんですよ。」
「でも…」
「いいんですよセツナさんもおっさんでいいですよ。」
「いやいや、じゃ、おじさまで」
…なんかいいな。
その後、双方の召喚後の事柄などを話し、遅くなったので寝ることにした。姉弟で語る事もあろうと、トワ君の部屋の雹をおいらの部屋に連れてく。
その時に…
「!!!獣人いるの?うわ~うわ~か、かわいいぃ、触って良い?うわ~」
セツナさん所には異人種はいなかったらしい。ゆらゆら揺れる尻尾にくぎ付けだ!
「雹、悪いな。父さんとこで寝よう。で説明は明日するよ。」
目をこしこし。可愛いぞ!雹!
「…うん?父さん。?…わかった」
「可愛いい!永遠じゃなくていいわ!雹君?一緒に寝よう!」
おいおい…セツナさんうるさい。明日、にゃん娘見たら鼻血ふくぞ!今日は遅いし、寝ましょ。
…良かったのか、悪かったのか…まぁ、当事者のセツナ譲が喜んでいることが救いだな…が、反省…
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




