マシューさんに相談だ!
いらっしゃいませ~
「実際問題、家を借りたほうがいいな…」
う~ん。腕を組んで考察中…
「おっさん唐突にどうした?」
「買えれば、なお良いけど…ほら、宿代もバカにならんだろ。出先で泊まると二重になるし?」
「家だと洗濯は魔法で良しだけど、飯とか、掃除とかしないとだぜ。」
そこはほら…
「むふふ。メイドさんを雇う。ボインな。」
「…おっさん。」
「今の稼ぎじゃ厳しいかぁなぁ?」
「ギルド行ったらマシューさんに試しに聞いてみる?」
「モンスター狩って一攫千金目指すか?トワ君任せた!」
「おっさんも一緒だぞ!」
「お…おぅ。」
おいらなんぞ、足手まといにしかならんぞ?
「こんにちは。マシューさん」
「こんにちは。聞いたわよ。また冒険者ギルドと揉めたんですって?」
「まぁ。お耳が早い。はい。まさか、白昼堂々、大通りの真ん中で絡まれるとは思いもよりませんでしたよ。」
「なに?そんなバカだったの?」
「どうしても獣人を下にみるようですね。先輩の言うこと聞いて装備をよこせとか?」
「はぁ、頭、沸いてるわね。最近の冒険者ギルドは風紀が乱れすぎね。領主さまから一発お言葉をもらおうかしら?」
「領主?」
「あら?知らない?ここは商業国家ノリナ。でここら辺一帯は、アザゼリア辺境伯が治めてるのよ。」
「お貴族様いるんですね。」
「話が解るオジサマよ。紹介しようか?」
「う…ん。んむ。あまり関わりたくないですね。はっきりいって。」
「ほかの貴族とのいざこざなんかは頼れるわよ?」
「アザゼリアの…伯爵?その人避けてればいいんじゃないの?」
「トワ君…代官やら、行政官やらも領地をもってないお貴族さま、確か法衣貴族だっけ。マシューさんだってお貴族かもよ?」
「へ?」
「そうよ~トワ君。ミッツさんの言う通り。実家は大店だけど、名誉男爵でもあるわ。結構あちこちにいるわよ?法衣貴族。その子供や血族も。意外にもう知られてるかもよ?」
「へへぇ~平にお許しを」
「「はははは」ふふふふ」」
「下手すりゃ、スルガ隊長だってそうかもよ?」
「ふへぇ~」
「スルガの実際は知らないけどあり得る話よ。古い名前だし?貴族の4男5男とか?」
古い名前か…
「目立たないようにしないと…」
「そうだぞ!トワ君。」
なによ、その目は!
「…おっさんのが何気に目立ってんじゃん。あっちこちにケンカ売って…」
「だね~ミッツさん意外に有名人よ。冒険者ギルドにケンカ売って回ってるって。」
な、なんですと!
「うそ!刺されちゃう?猛省…」
「父さんは俺が守る」
「雹…いい子やぁ~」
ぱんぱんと手を打つマシューさん
「はいはい。いい子。で、今日の本題は?」くぅっ
「そうでした、どっかお安い家が無いかなぁ~と。」
「家?」
「ええ、宿代考えると、賃貸、あわよくば買えるんじゃないかと…お安ければ。」
「…あんたら、あんないいとこ泊ってるからよ…グレード的には良心的でお安いけど…普通に高級宿よ?」
「…ですよね…うすうすは感じてました。広いし、風呂もあるし。飯も旨いし。清潔だし…」
「ぜんぜん、気が付いてるよね?それ?」
「快適すぎてそのままで…」
「ミッツさんてしっかりしてるようでヌケてんのね?」
「住環境はなかなか譲れないものが…風呂とか?風呂とか、風呂」
「どれだけよ…全く。高級品ね。私だって毎日は…」
…しょうがないじゃん…日本人だもの。清潔、風呂はあたりまえじゃん!」
「ミッツさん心の声が漏れてるわよ。全然当たり前じゃないから。いい国だったのね前世界は。」
「で、いかがでしょう?どっかないでしょうか?安いのとか、安いのとか、風呂があるとか?」
「安くて、風呂付ね。私の話聞いてた?貴族のお屋敷かしら?」
「いや、こじんまりした一軒家で…」
「あるか!そんな物件!だいたい食事や掃除、洗濯とかどうすんのよ?」
「食事は私が、掃除、洗濯は魔法でチョイと。」
「こうみえて、おっさん料理上手なんだぜ!伊達に独身長くないんだぞ。」
「ぷっ!」
笑うなマシュー、うっさい!トワ、
「父さん、俺もやるよ」
うんうん。雹は良い子、良い子。
「異世界料理!一階で食堂でもやろうかぁ。夢だったんだよなぁ~ビルックと料理して、にゃん娘がウェイトレス、雹がフロアマネージャー…いいなぁ…トワは…いらん!」
「…おっさん、帰ってこ~い~」
「あら、いいわね!トワ君は私が 「はっ!やらん!」 …はいはい。」
「おっさん…」
「そうねぇ~。あるには、あるけど…」
「なになに?幽霊屋敷?テンプレキター」
おいおい。喜ぶなよぉ…お化けだぞぉ。
「てんぷれ?よくわからないけど…ゴーストは普通にいるわよ?戦場跡やら。」
「そうでした…ファンタジーでした…」
…トワ君…
「ふぁんたじ?さっきから、難しい言葉、何語?」
「いえ、気にしないでください。で、なんか問題でも?」
「ええと…なんだったかしら?そうそう、家ね。その家、広い庭があって良い家なんだけど”家妖精”がいるのよ。」
「ふむふむブラウニー?シルキー?ってやつか?」
うん、おいらも聞いたことあるな。座敷童みたいな?
「ぶら、しるきー?まぁ、”家妖精”よ。でね、その子たちが気に入らないと住めないのよ。」
「は?それは、それは。」
「住めれば、掃除とかやってくれるんで良いんだけど…なかなか受け入れられないのよ。地主さんも住めないのよ。よほど前に住んでた人との相性がよかったのか…で、100年以上?どれくらいかしら?」
「あれまぁ~。」
「100年!良く壊さずにのこってましたね。」
「だって”家妖精”よ!害もなく、住み着けば家事はやってくれるし、幸運をもたらすっていうわ。そんなのに手を出せるわけないじゃないの。祟られると思ったら…」
「ですね…」
「地主にしてみれば不幸ね。毎年税金は払わないとだし。買い手がつかないし。で、30年くらい前かなぁ?当時のギルド長に地主が泣きついてギルドが格安で買い取ったの。税金払わなくて良くなるって喜んでたそうよ。」
「私なら見世物にしたり、旅館?もいいとおもうな」
「ギルド長もそれを見越して買い取ったんだけどね。敷地にすら入れなかったわ。もちろん姿も見せないし。完全な空振りね。で、お安いってわけ。」
「挑戦者は?」
「最初の頃はいたそうよ?最近は…皆無ね。」
パラパラと書類を見るマシューさん。
「よし!いくぞおっさん!俺たちが住む!」
「決定かい…トワ君。流石勇者!」
「…いくの?」
「挑戦してみる?うまくいったら儲けものって。」
「お値段は?あと税金は?」
「10000000Kと格安よ。税金なんだけど、その家を維持する努力に使うってことと、調査に協力することを飲めれば免除になるわ。しかも購入金額の半分も還付されるのよ」
「え?さっき地主が…」
「最近よ、そうなったの。国が有用性、特殊事例と認めて、調査されることになったのよ。ほら、主人になれば調査団を入れられるし、通訳もできるでしょ。」
「なるほど…」
「ゆくゆくは家妖精にお城に住んでもらうとか考えてるんじゃない?分家とか?」クスクス。
「なるほど。確かに。」
「なぁ、マシューさん挑戦できる?俺説得するし。謎家かぁ。」
「行ってみましょうか…お金足りる?貸してもいいわよ?」
「稼ぎますよ…確か、預けてるので…それに、マシューさんに借りると後が怖い」
「さすがねぇ~」
…聞いてみるものだな!謎家か!心が躍るな!
本日はお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




