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ギルドデビュー!稼ぐぜぇ!

いらっしゃいませ~

 朝、集合場所は商業ギルドから、南門屯所わきの修練場に変更。

 早速、基礎のランニング。もちろん、普通に走る。魔力使っちゃ意味ないもの。

 しかし、ランニングなんて何十年ぶりだ? 修練場の周りをぐ~るぐる。ふぅ……

 それにしても脇腹も痛くならないとは。一応、おいらも勇者ボディなのか? 転移の恩恵?

 

 細かい数値は解らんが、身体能力は確かに上がってる自覚はある。特に魔力を使った時なんか身体能力の底上げをめちゃ感じるものなぁ。スーパーマンってこんな感じなのかもしれないね。

 下世話な話、朝だってビンビンだぞ? 朝立ちなんて、それこそ何年振りか……この年になるとなかなか……たまには……(遠い目)。

 コホン。で、今は、青臭いリビドーが。見た目はともかく、若返ってる実感がある。じゃないと脱落してるね。

  

 「旦那ぁ、見た目に因らず、結構スタミナあるなぁ~」

 「ふっ。伊達にゴブリンの集団や、猪や、熊に追い回されてないさ!」

 そこ! 笑うな!

  「……なかなかに修羅場だな……旦那」

  「……ああ。よく生きてたな……」

 でしょ! 何時もおいらばかり囮を……ブツブツ。そういうのは、活きのいい若い者の仕事だろうに!

 

 走り込み後、各班での型や実戦形式になるようだ。

 

 「おう! ここに双剣使いたい坊主がいると聞いたが」

 「はい! 雹です! よろしくお願いします!」

  「ふむ。よしこっちにこい。型を教えよう」

 お! やる気100倍だなぁ。丁寧に教えてくれてるようだ。

 

 「旦那はこっちだ」

 槍や、さすまたをもった集団が……

 「こっちで型を……」

 抵抗空しく連行……ドナされる。

 「型をなぞるぞ!」

 ……

 

 ふぅ。いい汗かいたぜ! と濡れタオルで顔ふく。

 「……旦那、なに休憩してるんだ? まだだぞ」

 おふぅ……

 ビシバシ鍛えられました!

 

 「よし! 今日の調練は終わる。今日も治安維持に励むべし! おまえら、旦那に買収されるなよ!」

  「「「ははは」」」

 ……しないって。

 「じゃ、旦那たちはまた明日だな。自主練は体力作りと型なぞりだな。組手は危ないからだめだぞ」

 「わかりました。月謝は……」

 「ふむ。小金貨2枚でどうかな。来ても来なくても月2枚、どうだ?」

 「いいんですか? そんな安くて」

 「俺たちは給料の内だからな。飲み代だ」

 「大丈夫?」

 「ちゃんと指導もするし。それくらいはな」

 「では明日」

 ……

 

 「トワ君、どうだった?」

 「対人技能が上がったよ。流石衛兵。おっさん、ドナってたけどどうだったの?」

 「突く! 突く! ほ~し! だな。スキルアップしたら長刀もいいなぁ」

 「いるのかな? ツクツクボウシ。あれ、ちっこくて透明だから、レアだったんだよなぁ。」

  「いるよ。トワ兄、小さいの? 俺が知ってるのは1mくらいあるでかい虫。血を吸うとか?」

 「マジか、謎セミだな! クマゼミもっとでかいのか? ……で雹はどうだった?」

 そんなにでかいのか? なんか映画であったな、虫に襲われるの……

  「今日、初めて振ったから良く解らないや」

 「だよねぇ~当分通って技術を習得だな」

 「おっさんが何気にピンチ?」

 「うっさいわ!」

 

 …………

 

 ……


 なんだかんだで、身分証ができる日。

 一応、仮証で街はでられるが……。訓練に重点を置くことにした。ちゃんと毎日欠かさず訓練行ってたよ。なにせ、雹よりおいらの方がアレだし?

 

 この体、筋肉痛もなし! 50肩もなし! 腰痛もなし! しかも、朝ももっこり! 最高だぜ! 肝心の技能はお察しだ!

 雹は夜も型やってるようで大分上達してるようだ。

 今日も訓練してこのあとギルドに行く予定。そうしたら、本格稼働だ!

 

 訓練場にて。スルガさんや衛兵の方々と。今後、お仕事のためにお休みする日が増えると。

 「ふ~ん。配達屋かぁ。じゃ、町から出る機会もふえるなぁ」

 「ええ。出ないことには仕事になりませんし?」

 「で、旦那たち、盗賊に遭遇したらどうする?」

 盗賊……いるよなぁ。

 「な、なにを唐突に?」

 「いやね、街外に出る場合の心得さ。大事な話だ。で?」

 ジロリとスルガさんに睨まれる……

 悪いことしてないですって。……それだけ真剣な話ということだな。

 「そ、そうですねぇ、捕縛? して、衛兵さんに引き渡す……でしょうか?」

 「だめだめだ」

 大袈裟に首を振るスルガ氏。

  「うんうん」

 他の隊員の方々も。

 「? ……じゃぁどうすれば?」

 まさか……?

 「……殺! 殺すんだ。話なぞ聞くな。情無用! 速やかにな!」

 一拍置いたのち、スルガ氏の口から、予想通りの一言が発せられる。

 やっぱり……

 

 「まぁ、良く考えてみろ。旦那。捕縛したら見張りに人員が裂かれ、貴重な物資も食われる。下手して寝首を掻かれる可能性もありだ。

 しかも護衛依頼中だったら雇い主も危険に晒される。また、逃げられて旦那自身や、家族、友人に報復される可能性だってある。

 どのみち盗賊は縛り首だ。旦那達は経験してるだろ? 『鬼の剛腕』。あいつ等みたいに恨みをとんでもないとこに向けたりする。バカだからな。まぁ、あいつらはもう出てこれないだろうが……。町の外に出るなら最低限の心得だ」

 「……むぅ」

 「やつ等も街中だから抜かなかったが……抜いていたら俺が切ってたぞ」

 周りの隊員もうなずいてる。

 「まぁ、お貴族様にはできないがなぁ。お貴族様には関わるなよ。絶対」

 フラグ……? ニヤッ! とせんと! そこ!

 

 スルガ隊長のありがたい訓示を聞いてギルドに向かう。

 ふぅ…そりゃ、思うところはあるよ?

 「覚悟は決まってるんだけどなぁ。あらためて言われると……なぁ」

 「俺は……斬る! 理不尽の塊じゃん、盗賊って。斬れる。ぶった斬る! おっさんも腹くくれよ。括れないなら……お留守番だ」

 それでも一向に構わんが……てか、金も無いし? 出ざるをえん。まだまだ異世界見てないものなぁ。

  「お、俺も――斬る! チビ達もいるし。なにより”今”を取られたくない!」

 雹……こりゃ、おいらも腹括らんとなぁ。

 

 で、商業ギルドに到着~。受付に証を出し、マシューさんに取り次いでもらう。さすがのVIP待遇!すぐに通される。

 「「「おはようございます」」」

 「おはよ~。ささ、適当に座って。お茶よろしくー! で、今日は?」

 「雹の 「そうでした……」 ……だめでしたか?」

 あれれ。下向いちゃったよ……

 ……申請、ダメだったか。

 「じゃじゃぁ~ん! これです!」

 どっきり? マシューさんの手には証と封筒が。

 「これが雹君の証ね。血垂らしておいて。で、これが養子縁組証書ね。これはミッツさんがもっててね。まぁ、使うことは無いと思うけどね。これで雹君とミッツさんは親子です~」

 よかった。これで公私ともに親子だ。……こっちも”じゃじゃ~ん”なんだな。ははは。

 「お手数おかけしました」

 「パーティ登録もしておいたから、これからびしばし働いて、ギルドに貢献してね。とりあえず……」

 ばさぁっと。紐で括られた書類の束。おいおい……こんなに貯めるなよ……

 「今日も時間ある?」

 ウルウルしない!

 

 「……それって、依頼?」

 「ちっ、指名でだすわ、あ、この前のね金貨3枚でいい?」

 舌打ちすな! 美人が台無しぞ!

 「そんなに?」

 「いろいろわかったわ。参考にもなったし」

 報酬を受け取る。

 「そういえば”税”はどうなってるんですか?」

 「大概が発注側が払ってるわよ。受注票なんかも特殊な場合を除いて手取りの金額だから、バンバン受けてね」

 それなら楽だな。

 「普通の取引は品目数量で算出よ。ミッツさんたちは商売ってより、護衛や運搬代行でしょ。なので簡単よ」

 「なるほど」

 「で、今日はアドバイザーとして話を聞かせて」 

 

 皆の顔を見る。トワ君は『仕方ねぇなぁ』という表情。雹は『勉強できる!』という感じだね。

 「はいはい。承りました。では……」

 

 色々な話が出た。内部事情も。税の徴収方法や、余剰金の運用や書式の統一化など……よくわからん話も多かったが……まぁ、概ね話にはなったであろう。

 その後、夕方までみっちりお勤めし、金貨3枚もらえた。

 先日のも併せて三等分に2枚ずつだね。雹の証に入れておいた。

 半日で10万かぁ……いいのか? 不動産事情も聴いたが、購入は無理だな。工業区とかならいけるが……賃貸だろうなぁ。お金貯めないとね。明日からビシバシ働こう!

 

 …… 


 さて、今朝も張り切って訓練をこなし、商業ギルドに向かう。

 今日はマシューさんの依頼以外の公募依頼を受けるつもり。やっとこさギルドデビューだ! 一階の提示版を吟味。

 

 「さて! 初仕事だ! がんばるぞ!」

 「お~!」

  「うん!」

 そこは”お~”だぞ! 雹! まぁいい。

 「どれにするか?」

 「街中?」

 「だな、街中で探そう」

 「おっさん、これなんかどう?」

 「酒の配達かぁ。馬車ないぞ?」

 「おっさん。正確には馬車はあるけど馬がいない」

 そうでした……泥棒勇者め! 脱走するときしこたまかっぱらってきてるのだったな。

 「で、馬車何台くらいあるのよ?」

 「高級そうなのが1台、幌馬車が20台? 鎧馬車が……沢山?」

 「ぜって~ バレてるって……」

 「輸送業は街外だなぁ。やっぱ」

 聞けよ!

 「う~ん、この町? どれくらい離れてんだ? トワ君、地図ある?」

 軍需物資の中に。

 「ないな、この辺のは。買うべ」

 

 受付さんにいく。

 「すいません」

  「はい?」

 「このあたりのルート地図みたいのってあります?」

  「特産の情報があるのと、無いものがありますよ。特産のほうが高価ではありますがお勧めです」

 「両方でおいくら?」

  「小金貨4枚にないます。ギルド員以外に流通させないでくださいね」

 ふむ。海賊版もあるだろうが……まぁ正規品にしておくか。

 「はい、4枚」

  「お待ちください……と、これと……」

 

 A3くらいの本が2冊、一方はガイドブックのような感じ。もう一方は白地図だな。

 「次の……お隣の交易都市の【ティネル】はどれ位かかりますか?」

  「馬車ですと一週間くらいでしょうか」

 意外に馬車って遅いんだよな……馬の休憩や荷物の重さで。おいら達ならもう少し早く……走れば一日くらいか? 

  「ありがとうございました」

 ……

 

 「皆の衆。取り敢えず、この町と隣接する町まで走ってみない? 距離感掴むために」

 「なるほど。荷物は収納だからな。時間計るのと現地調査の下調べを兼ねてか」

 理解が早くて助かる。さすがイケメン勇者だ。もげてしまえ!

 「なんだよ、おっさん。そうだ、途中、採取とかもしようぜ? 肉とか?」

 成長期だな……

 「ふむ。試しにさっきの町にいってみるか……雹はどする?」

 「走って半日なら楽に仕事になるんだけどなぁ。」

  「うん! 行く!」

 「よし、手紙配送とかあれば受けてこ」

 「「おう!」」

  

 改めて受付に行き、受付嬢に依頼の有無を聞いたところ

  「あります! 助かります!」

 とのことなので受注。ぃよっしゃぁ!走るぞぉ!

 

 今、朝の9時頃か?

 「9時頃か?」

 「だな」

 「いくぞー! 初仕事だ!」

 「「お~」」

 GJ! 雹!

 

 門をでて走る。はしる~! はしる~! おいら達。そろそろ人目も無くなった。

 てか、なんで、俺達、南から出てんだ? 北に行くのに……。

 まぁ、誰も居ないし。結果、街中は走れないから大分時間短縮にはなったな。良しとしておこう。北に向かう街道に乗り、ひた走る。

 

 「……ふぅ、雹だいじょぶか?」

  「まだまだ余裕があります」

 まじか……おいらがいちばん遅いのか? あとはスタミナだなぁ……

 「試しに魔力いっとく?」

 「いいねぇ。試してみる価値はあるな。実験しようぜ!」

 

 おいらが熊さんやら猪さんから逃げる時に使っている戦法。身体に魔力を纏わせ、身体強化? 筋肉やらの潜在能力を引き出す! どこぞの暗殺拳みたいに! 

 もちろん、体のケアもわすれない! あべし! とはなりたくないからね! とは言うものの、筋肉を酷使することには変わらない。

 おいらも、最初の頃は筋肉痛。って、この勇者ボディ? すぐに治るけどね。

 それを他人に分けられるかの実験だ。分けるのみならず同様の効果を得られるか……成功の可否次第では大きく、ビジネスに影響が出よう! いざ!

 

 ”魔力”を練り”纏わせる”ように二人に注いでいく。都合上、”魔纏(まてん)”としておこうか。

 魔力量の増加、制御の向上で自分のみならず、複数人にもできるようになった。まだまだ増やしていきたい。

 部隊単位でできれば戦力の底上げにもなるだろう。

 

 「ふっ! ニッカド・ぱぅわぁーーーー! ”充填”!」

 「……変な掛け声すな! 電池か! ん? お、おお? 体の芯から力が湧いてくるな。これでおっさんみたいに走れるのか?」

 3人の身体がうっすらと光る…

  「父さん? こ、これは――ち、力が湧いてくる!」

 「良し! 最初はゆっくり慣らしていこう。筋肉使う事には違わないからな」

 「おう! いくぞ! 雹! 競争だ!」

  「おう!」

 ……流すって、言っただろうに……。人の話を聞けよ君達……

 

 流石、雹、ユキヒョウの獣人! 力強く地面を掴む。まさにTVで絶壁を駆け下るユキヒョウだ。ぶっとい尻尾を舵のように左右に振る。も、モフりたい……い、いかん!

 トワ君は舞うように……さすが”勇者”様。

 ちっ! こけろ! こけろぉ! こけろぉおおおぉ!

 おいら? おいらは普通だよ……ああ、一番遅いよ! 何か問題でも!

 

 「気持ちいいな! ド速いぞ! お! あそこに川がある。魚とかいるかな?」

  「帰り寄ろうよ!」

 うん。雹が行きたいならいっちゃうよ。魚食いたいし。

 「川も良いけど、コケるなよぉ! 君たち慣れてないんだから!」

 「大丈夫。俺たちゃ若い! マジで海の魚食いてーなぁー! この勢いで海行こうぜ! 海!」

 「……同感! 魚食いたいな!」

 ……

 

 ようやく石壁で囲われてる町にたどり着いた。休憩なしで走り切ったぜ! 時間は……お昼すぎたくらいか? どっぱやいな!

 「だ、だいぶ早く着いたな……」

 「おっさんの魔力ブーストのおかげだ。疲れも無いし……これは十分チートだな!」

  「うん。全然楽だった……あんなに速く、長距離走ったのに」

 「でも、ストレッチはするぞ。筋肉を労わってやらんとな」

 尊敬の眼差しの雹……思わず頭をなでちゃる! やべ、嫌われる! とおもったら、満更でもないようだ。

 スキンシップを増やしていこう。子供いないから加減解らんのだよ。おいら独身だしね。


本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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