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息子ができました!奥さんより先に…

いらっしゃいませ~

 楽しい時間はあっという間。

 お子ちゃま達は別れが辛くなって泣くので、おねむしてからの帰宅とした。

 「シスターこれを。」

  「これは…こんなに!だめです!」

 子袋に金貨5枚をお布施…いや、養育費だな。

 「いざって時に取っておいてください。食糧庫に隠して。病気とかあれば私たちに声かけて。」

  「…」

 「あの子たちの養育費とおもってください。私はいずれは引き取りたいと思ってます。」

 「おっさん?」

 「ただ、まだまだ、生活が安定してませんし。今後の事業…まだ構想ですが、街外にでることも多いと思いますので…」

 スキルを活かした運送業…これしか無いだろうなぁ。

  「わかりました…あの子たちには?」

 「いえ。期待させてもアレですし。それに良き縁組があれば相談したいと思います。ですのでご遠慮なく。じゃ、また来ますね」

 「おやすみ~」

  「おやすみなさい。神の御加護が貴方を照らすように…」

 …拝まないでくださいぃ!


 もうすっかり、真っ暗だ。

 時間的には、8時と言ったところか。電気のない時代と一緒だ。燃料勿体ないから、日が沈めば寝るし、昇れば起きる。 

 もちろん、魔力灯もあるが、同様に”魔力”の充填が必要だ。魔法使いに頼むか、ギルドで、魔石を購入することになる。

 ま、用事無けりゃ、とっとと、寝るに限るさ。


 「おっさん…マジ?さっきの話。」

 「う~んどうなんだろうね。」

 「まぁ、いいけどね。おっさんだし。」

 …どういう意味…よ。

  「ミッツおじさん…」

 すぅと、建物の陰から豹君が現れた。

 「っと、レッグ?君?」

 アサシンかよ…流石ネコ科。気配も音もせん…。

  「あの熊ってミッツおじさんが狩ったの?」

 「う~ん…一応?ラッキーだったよ。」

  「お、俺も冒険者になりたい!」

 ふむ。なるほど?じゃぁ、

 「なれば?」

  「まだガキだけど俺…っていいの?なっても?」

 「いいんじゃない?」

 べつに。…うん?冒険者ギルドか?…やっぱ、推奨はせん!

  「ミッツおじさんのパーティーに入れてくれますか!なんでもします!俺!」

 「う~ん。残念ながら、おいら、冒険者じゃないしぃ?」

  「へ?」

 きょとん。可愛いな。

 「商人?みたいな。ねぇトワ君」

 「そだよ~。俺たち商人ギルドに入ってるよ~。ほら。」

 と、商業ギルドの身分証を見せる。

  「そんな…」

 がっくりレッグ君。太っとい尻尾もシオシオだ。

 「今のところ不自由はないよ。身分証になるし?素材も卸せる目途たったし。直売だから高く買ってくれるよ。」

  「そ、そうなんですか!」

 「魔物倒してもランクに関係ないけど…有名になりたいの?」

  「い、いえ、みんなのために少しでも…」そか…。

 「ついてくる?」

 「おっさん?」

  「ミッツおじさんいいの。」

 「住むのはここ。依頼は当面は簡単なのを、 「おっさんだって依頼受けたこと無いじゃん。偉そ~に」 …コホン。まぁ、その。そんな感じ?シスターには?」

  「ミッツおじさんの承認待ち。」

 「ふぅ。じゃぁ、明日朝4の鐘(8時頃)に商業ギルドに集合で。」

  「はい!」


 「…いいのか?」

 「う~ん…この国じゃ獣人はアレじゃん。特に信用できないとこに預けるのもねぇ~」

 おいら、メッチャ、冒険者ギルド…嫌い!

 「そういえばそうだったな…。忘れてたよ。」

 「装備、たぶんナイフかなぁ?ある?」

 「備品はあるよ。なしてナイフ?」

 訝し気に、”収納”からナイフを出す、トワ君。

 「アサシンじゃん!」

 「勝手に暗殺者にすんなよ…」

 「…おぅ。暗殺者…よく考えたら怖えぇ字面じづらだな。」

 「…だな」

 …しみじみと夜はふけていく…。

  

 翌朝、ギルドの前に立つ青年の姿が。早いなレッグ君!もう準備万端だ!ちゃんと寝たか?

  「お、おはようございます!」

 「「おはよう」」

  「昨日、嬉しくて眠れませんでした!」

 遠足か!やっぱなぁ。

 「ちゃんと寝ないとダメだぞぉ。じゃないと、体動かんぞ。んじゃ、先に身分証つくるか!」

  「え!簡単には…俺獣人だし…」

 「冒険者ギルドなら作れるの?」

  「…わかんない…話によると…荷物持ちなら登録できるとか…」

 「で、安くこき使って、使いつぶすか?クソが!」

 「おっさん、心の声がもれてるぞ」

 「あら、失礼。まぁ、当たって砕けろ!とりあえず相談だ!」

 「砕けるのかよ…ダメだろそれじゃ。」

 だな。

 

 早速。”からんからん!”商業ギルドに突撃だ!

 「おはようございます。アポ無しなんですが…マシューさん時間取っていただけるでしょうか?」

  「はい。在席のときはいつでも通すように言われてます。どうぞこちらへ。」

 おおぅ。VIP対応か!

 

 ”こんこん”

 「ミッツ様がいらっしゃいました」

 『いいよ~入ってもらって~』

  「どうぞ」…。


 そこには書類に埋もれたマシュー女史の姿が。

 そりゃ、副ギルド長様さ。書類のとりまとめ、査定が主なる業務となるのだろう。

 お?手元のあれは…異世界のそろばん?似てるな。進方が違うのかな?

 が、少々…御汚いですよ。ちゃんと整理しながらやらないと…

 

 「いやぁ~ごめんね~計算が…くぅ!空いてるとこに座って…お茶もねぇーーーー!」

 「…大変そうですね…」

 「いやぁあ、毎日熟せば良いんだけど…溜まるよね?書類って。」

 「いや?貯めないよ普通?記憶も途切れるし?」

 「くぅっ…ちょいまってね、切りのいいとこまで…」

 「了解です。ごゆっくり…。」

 がんばれ中間管理職!その間、茶でもすすって待たせていただきましょう。うん?

 妙な視線を感じる…発信源はもちろん、書類に埋もれたマシュー女史だ。

 「…な、なんです?」

 じっとこちらを見る視線…可愛いな…って?なにを期待してる?

 「…ミッツさんたちって、高度教育受けてるよね?」

 「はて?どうだったかな?トワ君は?」

 「俺落ちこぼれで。」

 うそつけ!

 じわりじわりと視線に含まれる何かが浸み込んでくる!仕方なしか。

 「…わかりました、極秘情報とかあります?」

 「やた!検算お願い。」

 「はぁ。やりますよ…トワ君もだぞ。」

 「えええ~ん!マシューさん?これって依頼?タダ働きは嫌だぞ。俺。」

 おお!いいね!結構しっかりしてるのな。トワ君!ナイスだ!

 「くぅぅ~わかったわよ!指名依頼にします!仕事なんだからさっさとやる!」

 「へいへい。じゃやるか」

 と書類に目を通す。ふむ。ふむ。計算間違いばっかだな。掛け算、割り算だめだめだ。

 「訂正は?」

 「この赤ペンつかって」

 「「らじゃ!」」…

 

 「マシューさん…これ、不正だわ。ここんとこ。利益ありきで。着服もあるな?たぶん?」

 お!やるねぇ~トワ君!こちとら、営業マン!おじさんも頑張っちゃうよぉ~

 「なんですと!さっきみたよそれ!どれ!貸して!…ふむふむ…!…ほ、ほんとだ…最初か、ら、かぁ…ミッツさ~ぁん」

 何よ…泣いたって仕方なかろうに。まだまだ序の口よ?

 「なに?こっちも順調よ?」

 「トワ君ください!」

 「だめ。」

 おいらの生命線だぞ!何を言い出すんだ!どさくさまぎれに…ったく。…おいらじゃダメなのか!くそぉ!

 「お!こっちもだ。杜撰だなぁ。ここなんかこうした方が…」

 …頭来たから訂正してやる。こうした方が良かろうと!

 「こら!アドバイスやめ!どれどれ…あ、ああ…なるほど…ほんとだ…」

 「天下の商業ギルドもたいしたことないな!俺なら…」

 これ!それ以上言っちゃだめよ…

 「ふむふむ、かぁ~こいつもだ。水増しは清く正しく美しく!」

 …また訂正してやる。ついでに採点!45点!

 「…何よ…45点て…」

 「おっさん本職だもんな~」

 うっさいわ!水増しじゃないの調整、調整!うん?

 「レッグ暇だろ?暇なら下で…」

  「ミッツおじさん。俺も計算してもいい?」ほほぅ?

 「ん。教えてやる。いっしょにやるか。」

  「はい」

 

 で、2時間後。レッグ君…地頭いいな!九九もマスターしそうだ。いい子いい子。

 

 「す、すごい…おわった?しかも…あああ…不正がこんなに…むむぅ。」

 「ぜんぶ摘発しちゃだめですよ?赤い丸がついてるやつだけにしてね」

 総括…と言っちゃ偉そうだけど、感じたことを告げる。依頼だし?是非とも奮発してもらわないとね。

 「なんでよ!不正よ!不正!」

 ぷりぷりすんなよ。まぁ、可愛いけどぉ。

 「どうせ、気が付かなかったんでしょ?いつも通りって。」

 「うぐぅ…」

 痛恨の一撃!決まったな!

 「でだ、赤丸以外のは部署内でいろいろやりくりしてる痕跡だな。苦肉の策ってやつだ。見逃すか、予算増し増しにするか検討したら?喜ばれて効率も上がるし、マシューさんの支持もあがるぞ?」

 「書類からそこまで見えるものなの?」

 「まぁね~」

 おいら、プロだよ、プロ。あっちに付けたり、こっちに付けたり、項目増やしたり?あれやこれや…

 「よし!君たちをギルドで 「「お断りします」」 くぅううう…助けてよぉ~。ねぇ~。」

 胸をぎゅっと寄せて…むぉお!

 「…は、ハニトラは掛りません、悪しからず」

 「…なら、どもるなよ。おっさん…」

 「チっ、この前は鼻の孔ひくひくさせてたくせに…」

 舌打ちすんなよ。やっぱトラップか!

 「はぁ~。いいわよ。で今日は何?」

 やっと本題かい!

 

 「ん、この子もパーティーに入れたくて。身分証をば。」

 じぃ~っと。今まで居たのだか?すでに機密書類?も見てるぞ。

 「…その子、かっぱらいの子でしょ。」

 ”びくっ”。レッグ…

 「だめですかねぇ。いい子なんですよ。今では孤児院にいます」

 「…難しいわね。前科は無いわよ。話程度。」

 「では?」

 「後ろ盾のない、とくに”獣人族”だとね。まだまだこの国でも難しいのよ」

 「冒険者ギルドは…」

 「お勧めしないわ。知り合いのパーティに加入するのではれば良いけど。低賃金でこき使われるわよ。装備のメンテもおぼつかず…ね。最悪肉壁…」

 「おっさん顔こええよ?」

 「すいません、予想はしてましたが…」

 「現状はね。差別はなかなか。」

 「どうしたらいいんでしょうかねぇ…」

 「簡単よ?裏技。」

 「へ、どんな?」

 ほうほう。裏…いい響きやぁ。

 「養子にしちゃえば。家族で行商って。ほら、獣人を養子にするなんて…差別社会の裏を突く策ね。」

 「なるほど!」

 「獣人が商売っていいの」

 「トワ君、獣人の国だってあるんだよ。」

 「あ!忘れてた。そうだそうだ。」

 「この街だって居るわよ。獣人族の商人さん。ちゃんと商売してるわ。ギルドの庇護にいるんですもの。バカの勝手はさせないわ。で、どうする?」

 レッグの肩に手を置く。

 「どうする?おいらの子になるか?」

 がばっと顔を上げる。

 「ここだけの話、いずれは引き取るつもりだったんだ。シスターにはいってあるよ。」

  「ルルたちは…」

 「うん、みんな。でも、まだまだお金無いし、安定してないからね。それに、いい縁組があればその方がいいだろう。」

  「ルルたちはパパって…。」

 「じゃ、がっぽり稼いでみんなで暮らすか!手伝うか?」

  「父さんって呼んでいいの…」

 「ああ。あの生意気なのが兄貴だ」

 「俺おっさんの子じゃねえしぃ~」

 泣くなよぉう…おっさんも涙腺の締まりが悪いんだぞ!

 「よっしゃ!今日から御池 レッグだ!」

  「名前付けてよ…レッグってあだ名なんだ…みんなそう呼ぶから。」

 「ほんとの名前は…」

  「知らない…だから…父さん?」

 だばばばばぁ~涙腺決壊じゃ!

 「ずびぃ…よし。どうすっかなぁ、センス壊滅だし…トワ君ヒント?」

 「う~ん…おっさん、試しに言ってみ?」

 「豹人ひょうと雪夫ゆきお?とか?」

 「却下。壊滅だな…」

 「だよね…むむ。む!氷のひょうは?」

 「う~ん?豹と雹?ふむ。いいんでない?」

 「じゃ、御池 雹 だ!氷の礫。氷でも大きくなればなんでも破壊する力!こんなもん?」

 ん、魔力がながれた?絆…

  「雹。…ありがとう。父さん」

 「ってことで証明書よろしく!」

 ズビッと鼻をすすってるマシューさん。彼女も結構涙もろい?

 「はぁ、ホントに養子にするのね。びっくりだわ。」

 あんたが言ったんじゃん…

 「一応、予定だったし?こういうのは勢いも大事だし?」

 「まぁ…役所の方も私がやっておくわ。立会人私でいい?」

 「願ったり叶ったり。マシュー大明神様。良いの?」

 「今日の情報費と分析費ね。またお願いする権利も付けて?」

 「…商談成立。」

 「いい取引だったわ!証は…ん~3日後かな。もうちょいかかるかも…一応、仮証だしとく?」

 握手する。後は任せた!

 「じゃぁそういうことで…」

 「何帰ろうとしてんのよ。まだ、書類あるわよ?」

 「へ?」

 くい、っと顎を。

 「こっちの机に」

 「…」

 やられたぜ!流石商業ギルドの副ギルド長!

 「あ、これが養子縁組申請書のひな型ね。書いておいて。費用、代書代は報酬から引いておくわ」

 「へいへい。んじゃぁ、食事でる?」

 「あら、こんな時間。食事にしましょう。」

 「よろしく。肉多めでね。うち、育ちざかりが二人いるから。」

 「はいはい。」

 

 散々な目にあった…もう、夕方だし。レッグ改め、雹が息子になったのは勢いっていうか。うれしい誤算だ。予定が早まったが…まぁいいだろう。Mr.ドーテーが嫁さんの前に息子ができた。しかも尻尾モフモフの獣人だ。

 触ったら嫌われるだろうなぁ~。ゆらゆら揺れるぶっとい尻尾。ユキヒョウだもんな。

 「お~い!雹!」

  「なに?トワに、兄」

 「尻尾触っていい?モフモフやんけ!」

 それはおいらのじゃ!

  「…いいよ…軽くなら」

 「おっさん…睨むなよ…歯ぐきから血がでそうだぞ!」

 「うっさいわ!」

 

 「雹…汚い大人の話をするな…暫く孤児院にいてほしい。まだ、迎えられないんだ。お金も、住むところも。雹だけ呼んじゃうと。ね。だから暫く…」

  「わかった。話もしないよ…」

 「うん。不甲斐ない…とくに小さい子は今のままのが安全だし。」

  「うん。そうだね…」

 「ごめんな…辛いよな」

 ポムポムと頭をなでるトワ君。

 「そうだね…で、雹、武器はなに使う」

  「うん…よくわからない。」

 「そか。納得できないだろうけど。よろしくな。」

  「うん。と、父さん」

 か、かわええのぉー

 「じゃ、明日とりあえず、ギルドの前に同じ時間でいいか?」

  「うん」

 「明日は武器見にいこう。」

 ホント、不甲斐ないオヤジで…ごめんなぁ…

本日もお付き合いいただきありがとうございました。初ブックマークいただきました。嬉しいです。またのご来店をお待ちしております。

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