街にキング?があらわれた!
いらっしゃいませ~
結局どんちゃん。昨日は酒盛りで終わってしまった。ま、楽しかったから良いんだけどね。
それにしても正体バンバン、バレるな。マジ考えよう。たぶんエルザさんも気づいてるね。大店の情報網で。
で、今は朝飯後、教会に向かっている。お土産のお菓子は買ったな。よしと。
「おっさん、今日は依頼うけるのか?」
「う~ん孤児院行ってから考えよ。」
が、実際問題…やばいと言えばヤバいのだ。そりゃ、食うだけなら困らないさ。トワ君の収納にたんと入っているからね。が、”風呂”文明を手放すのは…”魔の森”でキャンプしている時ならともかくね。
最悪、五右衛門風呂でも良いかぁ…と思っている自分がいる。…いかんいかん!子供らを引き取る夢もある!無職じゃ叶わぬ尊い夢だ!安定した生活を!
「おけ!ん?どうしたおっさん?お!謎肉発見!食うか?」
「あ!午前中狩りして、孤児院は午後からにするか?そうすりゃ、肉差し入れできるし。」
「お!グッドアイデア!おっさん!いいね!そうしようぜ!」
「ギルド証もあるし。むふふふふ。」
「ただ、使ってみたいとか…おっさん、ガキか!」
うっさいわ。
「次!」
南問に到着。出街の手続きだ。
「これで」
門衛さんに見せる。この前の人じゃないな。
「確認しましたお通りください。」
な、なんじゃぁ~~~入るときと雲泥の差!天と地!月と…まあいい。信用って大事だなぁ。権力か?
「おっさん、芝居しないでよかったなぁ」”げらげら”。
大笑いのトワ君…ふん、大根に言われたかないよ!
「さぁ~て、ウサギか、鹿か、猪か…。」
「狩るぜ!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~~!」
またまた追いかけられてるおっさんです。もう!今度は熊さんだ!でかいぞ!でかいぞ!おいらごとき、熊パンチ1発だ!
って、速えええ~魔力で身体能力上がってなかったら…ぶるぶる。なんとかせんと君!なにか…なにか!神よ!おいらに力をぉぉおおお!そうだぁ!一か八かだ!…よし!ここだ!
走りながら、”収納”から槍4本だす。そう!簡易槍衾だ!
物凄い速さで追いかけてくる熊さん!その眼前に急に槍の穂先が現れる!
赤信号!熊さん急には止まれなぁ~い!
”どっどどぉ!”
頭、胸、腹に3本の槍が滑り込む。うち胸に刺さった一本が背に抜ける。
その勢いのまま、熊さん転倒、10m位先で止まった。
「ぐぐぅ…」
と呻くと動かなくなった。
「はぁ、ふいぃ~★になるとこだった…」
マジで。
「やるな!おっさん!レベル上がったんじゃね?」
尻を突いて、熊を見張りながら、息を整えつつ休憩していると、両手に鉈を持ったトワ君が登場。
どこの原住民だよ?
丁度、彼とは別行動してたんだ。浅場だから大丈夫だろう…ってね。
危うく死ぬところだったわ!
「はぁ、はぁ、レベルなんぞ上がるか!はぁ、はぁ、び、びびった~こんなとこにも熊いるのね…ふぅ…別行動やめよう!うん。おいらの生のために!」
舐めてたわ!魔の森!
「…おっさん、せっかく誉めたのに。…この熊、食えるのか?」
「ふん!名誉じゃ腹の足しにもならん!熊?食えるだろう?熊鍋旨いぞ。あぁ~あ。鉄の槍ぐにゃぐにゃだ…」
「まぁ、その質量だものね。」
にしてもよくも無事だったな…
「兎獲れた?」
「ああ~5羽?あと果物みつけた。」
「じゃぁ、帰えろか」
「解体は?」
「うう…とりあえず持っていこう?肉屋さんとか?」
「おっさん…」
「なにさ。疲れたの?」
「…いや。」
いくぞ!子猫ちゃんがまってる!
街に入るのにも全く問題なかった。もちろん丁寧な対応でした。さすが!貴族区にも入れる証だ!
”コンコン”
「はい。」
「「こんにちは」」
「あらあら、ミッツさんにトワ君いらっしゃい。」
「お邪魔します。」
中に入れてもらう。
「どうですか?」
「おかげでさまで問題なく暮らせてます」
「そうですか、彼らは?」
「ふふふ。教会の補修作業をしてくれてます。ボロが目に付くとか。ふふふ。良く気の利く子達ですよ。」
「それは良かったです。」
「あ!お兄ちゃん」「あー!」
トワ君、孤児達に抱き付かれれて、わちゃわちゃになってるな。
「「ぱぱ」」
ぐっは!子猫ちゃん!やべぇ、父性が…
「…ま、まだ、先生と話すことがあるんだよ…お菓子あげるからみんなで食べておいで」
撫でたい…が、グッと我慢だ…血涙がでそうだ…変に期待させるのもね…
「「うん」」
お菓子袋を頭上に掲げ、みんなの元にもどっていった。
「そういえば名前…豹君は解るけど」
「あら?ご存知なかったの?」
「お恥ずかしい。バタバタしていて。」
反省、反省。
「レッグ君と豚耳族の子はビルック、子猫ちゃんの白い子はルル、キジトラの子はメメですよ。」
「ありがとうございます」
そのまま、厨房へ。厨房では、食事の準備を手伝う、ビルック君の姿があった。率先してやっているという。手際もまずまずだ。料理が好きなのだろう。
「やぁ!ビルック!」
「こんにちは、旦那さん。」
「ミッツだよ。ここはどう?」
「ミッツさん、はい!とても良くしてもらってます。」
うんうん。表情でわかるよ。良かった。
「ビルックは料理が得意なんですよ。食事時には手伝ってくれています。」
「それくらいしか…僕にできる事なんか…」
「良い事だよ!好きな事あるってことは、良い事だよ。自信を持ちなさい。」
「はい!僕…食べることが好きなんで…」
「だな。今は贅沢できないだろうけど…将来に生かせればいいな!」
「うん!」
「そういえば…シスター、兎取ってきたんですが…ここで処理できます?」
「ええ。大丈夫よ。私もできますよ。」
「じゃ、出すね~」
と、トワ君が”収納”から、丸々と肥えた5羽の兎をだす。…可愛いのに…鬼畜めぇ。なんちゃって。食っていくためには必要だもの。で本題の熊さんをきりだす。こいつがさばければ、食いでがあるからね。
「さすがに熊は…ダメですよね?近くの肉屋を…」
「行けますよ。裏の井戸端でなら。近所の方に手伝ってもらって。腐らせるのはもったいないし、手伝ってくれた方にお裾分けしても?」
「ええ、ご近所のお付き合いの一助になれば。」
行ける…んかい。熊。…流石だわ。異世界!
「ありがとうございます…」
目を閉じ、片膝を突いて祈りだすシスター…
…拝まないでください…
裏の井戸に3点クレーン(3本の木のやぐらね。)を設置してトワ君の収納から熊を出し、逆さに吊るす。
何とか…持つか?これ…木材が”ギシギシ”言ってるが…。
時間停止なんでホカホカ。血もドボドボ…おいらの収納?ふん!
で、シスターが近所のママ軍団と談笑しながら登場。この教会と御近所さんの関係は良好のようだ。
シスターの人ぶりが、そうさせるのだろう。
「ひやぁ~。こいつは、りっぱな熊だねぇ!」
大声で叫ぶ熊さん?いや、ご婦人だ!あれがボスだな!気配いでわかるゾ!
この辺りの井戸端会議に屯する、おばちゃん連中の中に降臨する、指導種!キングおばちゃんだ!あえてキング!クイーンじゃぁない!
「これは、良い肝もとれるよ!誰か薬屋のジジィつれてきな!さて、血抜きは…いいね。狩りたてだ!よしサーシャんとこは湯の準備!で…のとこは…」
いやぁ~仕切る、仕切る。一切合切お任せでいいだろうね。
「お手数おかけします」
一応、主催者?である、おいらが挨拶おば。
「いや!かまわないよ!今晩、熊にありつけるんだ。みんな楽しみだよ!」
”ばむばむ!”肩が…肩が砕ける!…熊パンチ?
みなさんにっこり。聞くところによると、この熊さん。高級肉の部類だそうな。まず入荷はないと。普通に狩れないよなぁ、こんなの…運がよかったね。
お?ビルック君が建物の陰から窺ってる…きっと参加したいのだろう。
「ビルック君。こっちきな。」
「…う、うん」
「いい機会だから教えてもらいな。ちゃんと言うこと聞いて手伝うんだぞ。」
「うん!」
在庫の解体ナイフ一振りを手渡し、熊…いや、井戸端会議の主殿に託す。これでよし!
おいら?現場は”でろでろ””びろんちょ”だぜぇ…。離れて待機だ!おうっぷ…
みるみる解体が進む。途中大きな容器をもった集団が現れて、”キモ””手””頭”をもっていった。あとで代金を持ってくるとのこと。薬屋さんだそうだ。
冒険者ギルド通ってないから色付けてくれるって。
『こんな新鮮なもの、まず手にはいらない!』って喜んでたよ。代金?もち教会に寄付だ。
暫く。やり切ったママ連合、配給も終わったようだ。みんなホクホク顔だな。あれ、骨ないぞ?もち、内臓もないぞう!肉片一つ。…毛皮しか残ってない。…すげえな!おばちゃ…いや!お姉さまパワーは!
「ありがとうございます!助かりましたよ。」
ほんとたすかった…
「いやいや!こちらこそ!何年ぶりの熊だか。うちのがもっと稼ぎがあればねぇ!はっはっは!鹿とかでも声かけてよ~感謝、感謝」
「うちも育ち盛りがいるから助かるよ。」
「うちには病人が…栄養付けさせられる…」
後で行ってみるか。
「また何かとれたらよろしくお願いします。」
「「「「こちらこそ!」」」」
「ミッツさん、ありがとうございます…」
「さぁ、食事の準備をしよう」
「「「はい」」」
おうおう、ビルック君もやる気マックスだな!
「シスター毛皮は?」
「ミッツさん必要でしょう」
「?いらんけど?」
「確か、ギルドでの討伐証明になるとか?」
「ああ~私たち冒険者ギルドに入ってないんですよ。商業ギルドです。使い道があればどうぞ。売っても構いませんよ。進呈します」
「ありがとうございます。鞣して敷物にします。冬場助かります。」
敷物なら猪なんかも良いだろうな。喜ばれるはずだ。
その後、粉物の補充をして、夕食の仕込み。わちゃわちゃとお子様たちと戯れる。雨漏り個所を保全して、雨どいを掃除する。なんやかんやで夕食時だ。
トワ君?歌のお兄さんみたいにイキイキしてたよ。
今夜は熊鍋だ。とろっとろに煮込まれてる。
ビルック…いい仕事してるなぁ。あちこちからも少々癖のある肉の焼ける臭いが…。ここいら一帯は熊パーティだな。
お味は…ちと臭い?獣人たちはバクバク食ってるから獣人向けなんだろう…臭みも味のうちっていうから…灰汁か?
トワ君もバクバクいってるな…いつの間に逞しく…猪に噛り付いてたか…。
うん。みんなで食べると美味しいなぁ。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。




