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「リヴァイアサン」解体準備と領主邸へ

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 すぐさま現れた買取責任者が慌てて対応してくれます。


「こっ、こっ、こちらを買取りですね」


「はい。こちらの牙は討伐時に折れてしまった一本ですが、全長30mの本体はどこに出します? ここで良いでしょうか?」


「お、お、お待ちください。すぐに場所を用意しますので!」


 ギルド長と相談した買取責任者が周りのギルド職員に慌てて指示を出しギルド前の広場を空けさせる。何が始まるのか興味津々の人々が人垣を作っている石畳の広場の中央に『魔法収納袋』から全長30mの「リヴァイアサン」を出す。

 一瞬で現れた「リヴァイアサン」に周りの人々が悲鳴を上げて逃げてゆくか、もしくは腰を抜かしてその場に座り込む。事情を知っていたギルド関係者は何とか留まっているが、2歩3歩と後ずさって現れた巨体を見上げ息を吞んでいる。


 そこに10騎ほどの軽装の鎧と腰に曲刀を下げ、頭にターバンを巻いた騎馬隊が到着し、一騎が持った隊旗槍の印を見ればどうやらこのポルックスの街の騎士が来たことが解る。


「この騒ぎはなんだ?! これは「リヴァイアサン」? 死んでいるのか! 誰か説明出来る者はいるか?」


 おお、「リヴァイアサン」を見ても冷静です。あの騎士やりますね。

 ギルド長がしまったという顔を一旦した後、顔を取り繕い騎士の前に走り出ます。


「騎士様、こちらは討伐された「リヴァイアサン」でございます。ギルド内に場所が無かったため、こちらの広場をお借りした次第でございます」


 本来、街中の広場に店を出したりするには出店許可と使用料の支払いが必要であるから、魔物の解体とかに使用するなら事前に話を通さなければいけなかったのを、ギルド長も買取責任者も気が動転してしまっていたのでしょう。

 まぁ、私が急に牙を出して慌てさせてしまったのは否めないので、可哀そうではありますが。


「相分かった。使用申請は事後で処理するように。して薬草を届けてくれた冒険者たちがこちらを打ち取ったということか? その者たちはどちらに?」


 なるほど領主様の方にも薬草が到着するとのお話が行っていてその関係で騎士様たちもこちらに来ていたという事でしょうか。

 騎士は周りを見渡すも、それらしき冒険者の一団が居ないので訝しげな顔をしています。

 私は姿かたちは砂漠の旅人仕様になっており、周りに馴染んでいます。

 そして騎士は人垣からは離れて「リヴァイアサン」の脇に立ち、騎士の声に周りからの視線を集めている私に気が付きます。

 馬上から見下ろして私の顔と全身を確認した騎士が話しかけてきます。


「貴方は?」


「冒険者のメリッサ・スーと申します。こちらの「リヴァイアサン」の討伐者でございます」


 騎士は眉を微かに顰めるも大きく表情を変えることはありません。

 後ろの一般騎士たちは一様に訝しんだ顔をしていますが。

 騎士は馬から降り、丁寧にこちらに騎士の礼をしてきます。


「私はこのポルックスの街の騎士隊の隊長を賜っているデクスターと申します。薬草の輸送をしてくださった冒険者の方々を領主邸にお招きするため迎えに来ました」


「解りました。ただ少々、お時間をください。いつまでもこちらに出しておいては素材としての価値が下がってしまい街の損失となってしまうでしょう」


「リヴァイアサン」の巨体を見上げてからギルド長と買取責任者の方へ顔を巡らせます。

 デクスターはブンブンと頭を縦に振る二人に目線をやった後、後ろの騎士に一言二言告げ、その騎士は騎馬で走り去ります。


「了解しました。「リヴァイアサン」の素材の売買はこの街に大きな恩恵を齎しますし、それが全身ともなればその大きは計り知れない物になります。具体的にはこの後、どのような流れに?」


「はい。血抜きはこちらで済ませていただきたいと思いますが牙、鱗、骨、胆汁、体毛、肉、内膜などはこの街で買取していただくのは四分の一を考えています」


「そんな、すべてを買取りさせてもらえないのですか?」


 ギルド長が叫びに近い言葉を上げます。


「こちらはそれでも構わないのですが、失礼ながら支払いは出来るのですか?」


 ギルド長の脇から買取責任者が耳打ちするとギルド長が「むむむ」と唸り声を上げます。


「今回、カストルの街からの依頼で私はこちらへ来ました。ですので「リヴァイアサン」の恩恵はカストルの街も受けるべきと考えます。それでも二つの街だけでは支払いは困難でしょう? 金貨何百枚、もしくは千枚の大台に乗る可能性も?」


「確かに正確な金額は今すぐ出せませんが、金貨千枚を超える可能性は十分あります」


 買取責任者が頷く。


「私はこの後、このカピトリン王国の王都へ向かう予定ですのでそちらの冒険者ギルドで残りの四分の一を買い取って貰おうと思っています。そして残りは私の母国エスクイリン王国で」


「なるほど、そちらの『マジックバッグ』はそれほどの容量と『時間停止』機能を備えているわけですな」


 デクスターが頷きながら私の腰の『袋』に一瞥くれる。

 その質問は無言でスルーする。


「それに一か所で買取販売したら供給過剰になって値崩れする危険があります。複数個所で処理した方が結果、上手く行くと思いますよ」


 ギルド長は納得したようで「うんうん」と頷いている。


「という事で血抜き作業をお願いしていいですか? その間に領主様にお会いしてきます。作業が終わる見込みが付いた段階で知らせを走らせてください。『マジックバッグ』に収めに来ます」




 用意された馬車にアレンとデクスターと一緒に乗りこむ。アレンは本拠地はカストルの街だがポルックスの街にも頻繁に来ているのでデクスターとは顔見知り程度だそうだ。


「まずいくつか確認させていただきたいことがあります」


 馬車に乗ってすぐさまデクスターから話しかけられ素直に返答して行く。

 カストルからポルックスまで一日ちょっとで着いた移動手段について、親父さんたちが「リヴァイアサン」に襲われて船が壊れていたこと、バリスタの矢で「リヴァイアサン」を倒したことなどアレンが知っている通りのことを話してゆく。

 砂嵐で飛ばされてところだけ魔法で何とかしたとして詳細は秘密としておいた。

 300mクラスの「リヴァイアサン」の事も秘密である。


「なるほど、メリッサ嬢は上級の魔法使いなのですね。この国では魔法使いは少なく余り魔法を見ることもありません」


「そうですか。それではこちらの国での『マジックアイテム』の取り扱いについてお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「? どうぞ」


「私の国では『マジックアイテム』は登録制で特に『マジックバッグ』などは王城や高位の貴族の館に入るときは事前に許可を得るか、預けるのが一般的なのですがこちらではどのような習慣となっておりますか?」


『魔法収納袋』は貴金属の盗難や逆に不審物の持ち込みに使える為、エスクイリン王国では扱いに制限がある。こちらの国ではどうなのだろうか?


「こちらでは『マジックバッグ』自体が珍しいですからそれについて特段の取り決めはないですね。王城とかでは何かあるかもしれませんが私は存じません」


「ではどうしましょう? お預けした方がよろしいですか?」


「領主邸に付きましたら家令に確認してみます。ですが貴重なものでしょう逆に預けてしまってよろしいのですか?」


「ああ、この『マジックバッグ』には使用者登録機能があって私以外使えませんので問題ありません」


 そんな話をしているうちに、白い石灰岩でできた領主邸が見えて来た。


挿絵(By みてみん)

更新頻度は不定期です。

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