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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に —新大陸編—  作者: SUGISHITA Shinya


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747 ラピスラズリの村 (4)

 翌朝、昨日に続きマリアさんとジュビアで汁物を作り、マリアさんが村人を呼びに行った。今日はそれらしく硬いパンも用意した。

 村人は総出でやって来た。爺さんは縛られて連れて来られた。


「シン様、おはようございます。昨日に続きすみません」

「今日はもうしばらくしたらラシード隊が到着しますので、鉱山は休みにしてください」

「はい」


「パンもある」

 子供達が歓声を上げる。

 思い思いに石を拾って来て腰掛けて食事となった。


 女性がシンに話しかける。

「昨日初めて腹一杯に食べました。今日もまた食事をいただき夢のようです」

「これからは食べられるようになりますよ。子供も元気に育つでしょう」


「子供にはお腹いっぱい食べさせられなくて痩せていて風邪をひいたりするとすぐ亡くなってしまった」

「これからです。本来の価値で取引されるラピスラズリがみなさんの生活を豊かにしてくれます」


 遠くからベーベー声が聞こえる。こちらに気づいたらしい。

 しばらくしてベーベーに乗った村の若者二人とラシードさん、香具師さんほか三人ほどの隊員がやって来た。


「シン様、おはようございます」

「来てくれたんだ。村の人たちです。代表はフォディオさん」


「おれは隊商をしているラシードだ。昨日ラピスラズリを村の若者から買い取った。話を聞くと小麦も日用品も不足しているというので、代金は品物にして持参した」


 荷はわざわざ見えるように積んできたらしい。ラシードさんの隊員が荷を下ろした。

 出店風に商品を並べた。


「これ全部、みなさんのものだ。小麦もこのくらいの集落なら半年は間に合うだろう。そちらでわけてくれ」

「フォディオと申します。あの石でこんなに。今までは日用品が少しもらえただけだった」


「大変いいラピスラズリだな。いままでここで取れるとは知らなかった。もし良ければ継続的に取引させていただきたい。街から近いので街に寄ったときこちらまで来よう。イヅル国に来る用事もあるから三ヶ月に一度でどうだ」

「ぜひお願いしたい」

「承知した。昼ごろまでいるから、次回必要なものは教えてくれ。持ってくる。石は大量でなくて良い。無理せずに程々に掘ってくれ。昨日の石でこれだけの品物と引き換えられる。みれば畑もないようだ。畑を作って食料を確保して腹いっぱい食べて、合間に石を掘るくらいで丁度よい。いい暮らしができるだろう」

「夢のようだ」


「爺さんもわかったな」

「お、おう。俺も村の人間だ。石は本当に大変な宝物と思えてきた。死んでも黙っている」


「爺さんもラシードさんに売るということでいいな」

「しかたあるまい。旦那の店と差がありすぎる。それから俺は村長を退く。後はおまえがやれ」

「もうそうなっている。縄はほどいてやる」


 爺さんの問題も片づいたようだ。

「朝食を一緒にどうですか」

「そうだな。いただこう」

 ラシードさん達、村の若者二人、それに爺さんも加わって朝食の続きだ。


「街は何かありましたか」

「まだ気づいていないな。早晩気づくだろう。副長と隊員100人ほどいるからどうと言うことはない。俺たちがいる間に片付けてしまおう」


「あのなんでしょうか」

「いやなに、知らないほうがいいが、今まで搾取していた店がこの村が売り先を変えたと知れば押しかけてこようとするだろうからね。悪いようにはしない。心配するな」


「あのう石があるんですが買ってもらえますか」

「いいぞ。持ってきてくれ」


 村人が家に帰って持ってきた。

「石にはランクがある。みたところ3割くらいは上、中が4割、下が3割だ。代金はどうする?砂金にするか?」

「砂金は食べられない」

「それはそうだ」


「服がいい」

 みんな服を希望のようだ。


 隊員が少し大きなテントを張り出した。

「すみません。シン様。テントの中に女物の服と下着を出しますので、ジュビアさんに手伝ってもらえないでしょうか」

「いいよ。テントの中だね。マリアさんとジュビア、手伝ってやって」

「はい」

 マリアさんとジュビアが手伝いにテントの中に入った。


 香具師が声を張り上げる。

「女性はテントの中に服を用意した。丈夫な服を取りそろえてある。ラピスラズリのおかげで新品が買えるが目立ってはいけない。状態の良い中古にしておきな。見るだけでもいいよ。今、世の中の女性の話題を独占しているオリメ商会の下着もあるよ。見たら買いたくなるぞ。これは新品だ。昼間の作業服を脱いだら旦那は目が回るぞ。今夜は大変だ。野郎は外だぞ。お嬢ちゃん、坊ちゃんの服も取りそろえてある。旦那が面倒をみるか。ダメだろうな。後でサイズが違うと奥さんに怒られる。奥さんの買い物が終わったらお子さんの服を見てもらおう」


 ラシードさんがテントから出てきた。準備は終わったのだろう。

「ラシード隊商の即売会の始まりだ。女性はテントの中へ入ってくれ」


 隊員がテントの外のテーブルの上にだるま落としを用意した。

「お嬢ちゃん、坊ちゃんはこっちだ。お母さんが買い物が終わるまで遊んでいよう。小槌で一番上のラシードおじさんが落ちないように下の積み木をたたいて外して、一番上のヒゲのラシードおじさんが転げ落ちず積み木を全部たたいて外せれば成功だ」

 隊員が子供を誘導して遊ばせる。


 男達はシートの上に並べられた服に群がる。香具師がこちらでも声を張り上げる。

「今日は作業服が中心だ。世の中の人は新品はめったに買えない。たいてい中古だ。この村はラピスラズリのおかげで新品が買えるが目立ってはいけない。中古だ。だが程度のよい中古だよ。下着もあるよ。もちろん下着は新品だ。奥さんに惚れ直されるかもしれないよ。隣の奥さんはダメだよ。いつもので我慢しておきな」


「シン様の線指輪のおかげで、今日のような不意に言われたときでも品物が出せます。大変助かっています」

「うまく利用してもらっているようで良かった」


「ラピスラズリは産地が少なく産地は隠されている。おれたちも産地を確認したのは初めてだ。ここと取引していた店はラピスラズリでいままでしこたま儲けていたろう」


『シン様、シン様。店の人がラシード隊がラピスラズリを買ったのに気がついたよ。今、そっちにならず者を連れて向かったよ。村を潰して自分で採掘するんだって』

『ありがとう。街から見えなくなったら後ろから前の人に気付かれないように滅びの草原に送ってね』

『わかったー』


「店の連中がならず者を連れて出発したそうです」

「やっぱりか。やりましょうか」


「観察ちゃんが後ろから一人づつ滅びの草原に送るから気付いたら先頭以外誰もいなくなり、先頭も滅びの草原に行っておしまいだ」

「完璧ですね」

「潰しに来るから強盗と同じだ。たちが悪い」


「店はどうしましょう」

「夜襲おう」

「わかりました。即売会が終わって村人の注文を聞いたらすぐ戻ります」


「おとたん。警備員を出す?」

「今回は警備員はなしだ。エスポーサとラシードさんにやってもらおう。店にバリアを張って殲滅、最後にエスポーサが雷を落として全焼でどうだ。証拠は残さず自然災害だ。ラシードさんは10人位部屋に集めておいてください。エスポーサが転移させます。ベーベーはいなくなると目立つから今回はなしで。僕は昼から村人の訓練を3日位やっています。店はよろしく」

「承知しました。面白そうです」


「つまんない」

「ジェナとチルドレン、警備員は村人の訓練に付き合ってくれるかな」

「うん。わかった。どこでやるの?」

「元祖滅びの草原だな。陸の訓練だけだから3日もやればいいだろう」


「先に警備員と神国に行っているね」

 ジェナとチルドレンは熱帯号と雪原号に分乗して転移していった。


 即売会は二時間で終わった。人数が少ないからもっと早く終わるかと思ったらあれもいい、こっちもいいとなかなか終わらなかったようだ。子供服もあって時間がかかった。


 即売会が終わって代金はラピスラズリで精算し、村人から次回持ってきて欲しい品物を聞いたらラシードさんたちは街に戻って行った。今日は夜の仕事があるからね。

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