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PHASE-1501【場の支配も巧み】

 ――本当、感心するほどに無駄がなかった。

 新人冒険者がこの場にいたならば、連携とは斯くあるべし。と、言いたくなるほどの最高の手本だった。


 一つでもタイミングがずれていれば、跳躍――足場への着地――いなしてからの反撃という一連の動きは出来なかっただろう。

 スケルトン達の動きは完璧に統率されたものだった。


 要塞トールハンマーにおける戦いで、高順氏が常山蛇勢じょうざんのだせいと言っていたけど、スケルトン達の隙のない統一された一連の動きこそが、その常山蛇勢ってことなんだろう。


 なんにせよ。


「お見事な動きと一撃でした」


「こう見えて、以外と膂力ある一撃を見舞えるのだ」

 ない筋肉を見せつけるようにモストマスキュラーに似たポージングをしてみせるルイン。

 スケルトンジョーク――なのかな……。


「実際は、相手が喘鳴するほどに疲れ果てていたから容易かっただけだ。十全ならば苦戦したことだろう」


「そうですか」

 ――十全ならば苦戦したことだろう――か。

 敗北という言葉を使用しないところからして、レベル70クラスの連中とも渡り合えるだけの実力をスケルトンルインは有していると考えていいね。


「さて、指揮官は我が振るった、たった一度の打擲で戦闘不能となった。どうするね?」

 ロングソードを肩に当てつつ、煌めく黄金の鎧を纏うルインからの問いかけ。

 眼窩に宿る緑光による凝視。

 真紅のマントを靡かせ、場を支配するかのような立ち居振る舞いは格好良かった。


「どうするもこうするもあるか! 浄化だ! 浄化っ!」

 ここで気骨ある者が気勢を上げる。

 後衛のストームトルーパーだった。

 それに続けとばかりに後続も動こうとするも、


「ぬぅ!?」

 自分たちとルインを遮るように、プロテクションによる防御壁が展開される。

 目を落とせば、接近を一切許さないとばかりに障壁を展開するピルグリム達。

 その側では後衛を守りつつも、剣を構え、いつでもマスリリースを放てる姿勢でルインとエルダーが待機。

 口頭で伝えなくとも意思疎通が完璧なスケルトンサイド。


「ぬぅぅぅぅ……」

 自分たち以上の連携の良さを目の当たりにしたからだろう。障壁で遮られている時よりも悔しそうな声が相対する方から漏れる。

 一人が漏らせばそれに続くのが結構いた。

 こっちサイドの圧に気圧されているといったところだ。


「どうするね? 不死の軍勢と戦い、無駄死にするかね? こちらとしては続けても問題ない。いかんせん貴公たちと違い、疲労するということがないからね」

 紳士的な口調の中に潜ませる恫喝。

 

 この発言に先ほど気勢を上げたストームトルーパーが翼を羽ばたかせれば――後退り。

 チラリとミルモンを見れば――、恍惚とした表情。

 つまりは相手側の負の感情が一帯に満ちているということ。

 

 ベルに続き、アンデッドの軍勢に対しても相手側は負の感情を漏らしまくっている。

 ミルモンにとって天空要塞で過ごす時間は至福そのものだ。


 それにしても、ルインの会話によるイニシアチブの取り方は上手いな。

 先生のような人心掌握術である。

 本当にスケルトンなのかと疑いたくなるね。


「さあ、どうするね?」

 再度、潜ませる恫喝。


「ぅうぅぅ……。くそ! アイルを始め、戦闘不能となった者達は連れて行かせてもらうぞ!」

 気勢を上げた者が今では部隊の代表となっているとばかりにそう言えば、


「構わんよ。こちらの拠点で多くの人質を取っているならともかく。敵地にてゾロゾロと人質を連れて行動するというのは面倒この上ないからね。――と、その決定権は我にはないな」

 眼窩に灯る緑光が俺の方へと向けられる。


「問題ないですね」

 これでここの戦闘が終わるなら有り難いからな。


「だ、そうだ。捕虜は一人で十分だろう」


「くっ! 部隊を整え終え、場所を変えて再戦させてもらうからな!」


「へいへい」

 ここは俺が軽い口調で返せば、歯を軋らせつつ、


「覚えておくがいい!」

 と、常套句を吐き捨てて倒れた者達を回収してから去っていく。



 ――。


「まったくよ……」


「生徒会長や仲間達だけ回収していったな」

 地上におりて居残り担当となってしまったラズヴァートへと問えば、


「うるせえよ。どのみち俺が残らないと交渉にならねえからな」


「聡いな」

 ルインから自己犠牲の精神――見事。と、称賛を受ける。

 アンデッドに褒められても嬉しくない! と、声を荒げて返していた。


「ともあれ、少しはあのモノクルのように人徳を積み重ねる努力もするべきでしょうね」


「くっぅぅぅぅ……」

 締めとばかりにコクリコ。

 少女に正鵠を射られれば、渋面になって唸っていた。

 反論しないのは女好き故か。女性に対しては荒げた反論はしないってところがあるのかもしれない。


「少し休息するか?」

 その間は自分たちが周囲の警戒をしておいてやろうと、50からなるアンデッドの軍勢が俺達を囲むように陣形を整えてくれる。


 お言葉に甘え、ポーションを呷って疲労を取り除きつつ、ここでも活躍のウォーターカーテンで水分を補給。

 やはりここでもコクリコは味のついた水分を欲しいと言いながら、宙空に顕現する水を渋々と飲み。雑嚢から取り出した干し肉を豪快に頬ばる。


「流石に食い過ぎだぞ。動き回って吐くなよ」


「これだけ苛烈な状況が続くのですからね。胃の中に入ると同時に消化してしまいますよ」

 強力な胃酸で何より。

 強力は胃酸同様、ここから先は強力な魔法にも期待させてもらおう。

 何たって、城門の次はいよいよ中心である要塞内部だからな。


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