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学園一の美少女が失恋したいと泣きついてくるので困っています……  作者: 田奈から来た使者
俺と彼女の失恋作戦3
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根本的な疑問……

何故か筆が乗るので二話連続投稿。

前話含めて書きあがってそのままアップしているので誤字脱字があったらごめんなさい。後でまとめて遂行します。


いや……面白い話を書くのって難しくて辛いです……。

「か、柄木田くんっ!?」


 藤谷美沙は俺の登場にかなり驚いていた。が、すぐに俺を中に入れてくれた。


 どうやら、彼女もさっきバイトが終わって家に戻ってきたばかりのようで、リビングで一人で夕食を取っていた。家族たちはまた隣の部屋に追いやられているようだ。


 なんというか勢いでここまで来てしまったが、冷静になってみると事前に連絡なりなんなりしておけばよかったと後悔するが今更どうしようもない。


 俺は藤谷が食事が終わるのを待って彼女に本題を切り出した。


 もちろん本題というのは例のノートのことだ。


「そ、そんなことになってたんだ……」


 今日、自分の身に起こったことを洗いざらい話した俺は素直に藤谷に頭を下げた。


 頭を下げる俺に藤谷は少し驚いたように「あ、頭を上げてよ」と呟く。


「ま、まあ、もう起こったことはどうしようもないし……」


 頭を上げると藤谷は少し困ったように俺から目を逸らした。

 が、すぐに視線を俺に戻すと小さく口を開く。


「つまり、柄木田君は澄木先生に私のノートを読ませたの?」


「悪い……」


「で、澄木先生はなんて言ってたの?」


「何って……何がだよ」


「決まってるじゃん。感想よ。澄木先生は私の作品を読んでなんて言ってたの?」


「え? そ、それは……凄いって言ってたけど……」


「それホント?」


「本当だけど……それがどうかしたのか?」


 俺は藤谷の言葉の意図が理解できず首を傾げると藤谷は突然笑みを浮かべた。

 そして、


「柄木田くん、ありがとうっ!!」


 と、藤谷は俺の予想だにしない言葉を口にした。

 予想外すぎて俺がポカンと口を開いていると藤谷は俺の手を握って顔を近づけた。


「澄木先生から原稿を褒められるなんて私、もう死んでもいいぐらい嬉しいよ」


「いや、それは死のハードルが低すぎるだろっ」


「ねえねえ、柄木田くん、澄木先生ってどんな人なの? やっぱりあれだけの作品を生み出せるんだから頭がいい人なんだろうなあ」


 と、藤谷は勝手に脳内に理想の澄木紗々先生像を思い描いているが、おそらく、その理想像は実際の澄花とはかけ離れているので細かい言及は避けることにした。


「それはそうと……」


 と、そこで俺は話を元に戻す。


「とにかく、一週間以内にすみか、いや……澄木先生の原稿が上がらないと最悪、藤谷の原稿が本になってしまうかもしれないんだ……」


「つまり、一週間以内に澄木先生の原稿が上がらないと私の原稿が澄木先生の新作として書店に並ぶってこと?」


 何故か嬉しそうにそう尋ねる藤谷。


「いや、そうなんだけど……ほら、さすがにそれはまずいというかなんというか……」


「わぁ……私が澄木先生のゴーストライターになるのか……」


 必死に最悪の状況を訴える俺だが藤谷は目を輝かせてどこか遠くを見つめている。


「もしそうなったら、澄木先生には原稿料のこととか俺が間に入って交渉するから」


「いいよ原稿料なんて。私、澄木先生のゴーストライターになれるならお金なんかいらないよ」


 いや、あんたお金が必要な人間だろ……というツッコミが喉元まで出かかっていたがそれを必死に抑えて藤谷を見やる。


「ま、まあ、そういうことだから、一応、覚悟はしておいて欲しい……」


 いったい彼女にとってどっちに転がる方が望ましいのか、だんだんわからなくなってきたが、とりあえず藤谷が傷つかないでよかった。


 俺は「それじゃあそういうことだから……」と立ち上がり藤谷家をあとにしようとする。


 が、


「そういえば……」


 と、藤谷は何やら不思議そうに首を傾げる。


「どうかしたのか?」


「澄木先生は失恋をしたことがないから失恋のシーンが書けなかったのよね?」


「そうだけど……それがどうかしたのか?」


「柄木田君の話を聞く限り、澄木先生ってあんまり恋愛経験があるように思えないんだけど、失恋シーン以外は上手く書けるのはどうしてなのかしら?」


「えぇ? それは……」


 確かに言われてみればそうだ。


 俺はこれまで澄花と何度もデートをしてきたが彼女は俺のことは好きだけど男として好きかどうかはよくわからないと答えていた。


 それって澄花にとって異性を好きになるってことがどういうものかはっきりしていないってことだよな?


 にもかかわらず、澄花はこれまで恋愛小説を書いてきたし、ヒット作も何本も生み出してきた。


 考えてみれば不思議だ……。


※ ※ ※


 翌日の放課後もまた俺たちは隣町のクレープ屋にいた。

 昨日の落ち込みようを見ていただけに澄花のことが心配だったが、彼女は一晩寝れば昨日のことはすっかり忘れる天才タイプらしく、けろっとしていた。どころかクレープの話をすると「食べたいですっ!!」と嬉しそうに俺の腕にしがみついてきた。


 そして、


「えぇ……そんなこと言われてもわかんないです……」


 クレープ屋で俺は昨日藤谷に言われて抱いた疑問をそのまま澄花にぶつけてみた。

 が、澄花はクレープを一口かじると何やら困ったように眉を潜める。


「おい、そこは重要なポイントだろ。クレープなんて食ってないで真剣に考えろよ」


 そう言って澄花からクレープを取り上げる。


 すると、澄花は悲しそうな顔をして俺の持つクレープに手を伸ばす。


「あぁっ!! それ私のです。私のイチゴ大福クレープですっ!!」


「返してほしければ考えろ。ほら、早く」


 俺がそう言うと澄花は「師匠嫌いです……」と頬を膨らます。


「そもそもお前、恋愛をしたことがあんのか?」


 確かに、こいつは美少女だしモテるというのも嘘ではないだろう。けど、彼女が今まで恋愛をというものをしたことがあるのか、いささか疑問である。


 澄花はしばらく俺からクレープを奪い返そうとしていたが、リーチが足りないことが気がつくと諦めた。


「よくわかんないです……」


「よくわかんないってなんだよ……」


「わかんないものはわかんないんです……」


 よくそれでこれだけの恋愛小説が書けたものだ……。


 俺は彼女の才能に殺意すら覚えてくる……。


「誰かと付き合ったこととかないのか?」


「ないです……」


「なら誰かのことを異性として好きになったことは?」


「わかんないです……」


 そう言うとうな垂れる澄花。


 駄目だ。埒が明かない……。


「だいたい異性として人を好きになるってどういうことですか?」


 と、逆に質問をしてくる澄花。


 そんな今更過ぎる質問に俺はやや面食らったが、どうやら真剣に尋ねているようなので真面目に答える。


「それはなんというかだな……その人のことを考えると胸がドキドキするというかなんというか……」


 いざ、そんな当たり前のことを尋ねられると返答に困るしなんだか恥ずかしい。

 俺の説明で合ってるよな?


 少し不安になってきた。


「異性のことを考えて胸がドキドキしたことなんてないです……」


 と、澄花は答える。


「本当にないのか?」


 そう尋ねると澄花は黙ったまま首を横に振った。


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