幼馴染と……
紗耶香とのラブコメ特有のラッキースケベ的な回です。
女の子を可愛く書くのってホント難しい……。
家に帰ると磯崎紗耶香がいた。
どうやら回覧板を渡しに来たらしい。
用が済んだ紗耶香は家を出ようとしたのだが、そこで俺の母親から彼女を晩飯を誘われ、さらには一番風呂まで勧められた。
紗耶香も断ればいいのに、それならと俺の家の風呂に入りやがった。
「ホント、あなたってつくづく成長しないわね……」
俺は風呂上りの紗耶香と一緒に部屋で久々に格ゲーを始める。
が、昔からこの手のゲームが下手クソな俺は紗耶香のサンドバッグになっていた。
俺は必死に紗耶香に攻撃を仕掛けては見るものの、完全に動きを読まれており返り討ちに遭う。
KOの文字が画面いっぱいに表示されたと同時に俺は紗耶香を見やる。
考えてみればこんな風に紗耶香と二人でゲームをするのも久しぶりだ。そもそも彼女が俺の部屋に上がるのも一年ぶりぐらいかもしれない。
昔は部屋に紗耶香がいてもなんとも思わなかったが、今、こうやって自分の部屋に紗耶香が座っているのには何だか違和感があった。
ぶかぶかの俺のジャージを着た紗耶香の頭からはまだわずかに湯気が上がっている。ファスナーを少し下ろしているせいで、襟の隙間から彼女の豊満な胸が顔を覘かせていて妙にエロい。
幼馴染とはいえ異性の目の前でよくこんな大胆な格好ができるもんだ……。
「その獲物を品定めする目で私を見るの、やめてくれないかしら……」
と、そんな俺の心を読んだように紗耶香は画面を見つめたままそう呟いた。
「お前の目はどこについているんだよ……」
「画面にあなたのアホ面が写っているのよ」
そう言ってテレビを指さす。
ロード画面で真っ暗になったテレビには俺の顔がはっきりと反射していた。
「なるほどな……」
鼻の下を伸ばして彼女の胸元を眺めていた俺の顔を彼女ががっつり見ていたという事実に急激に顔が火照りだす。
が、紗耶香はそれ以上俺に追求はせず、またキャラクターを選ぶと俺とのバトルを再開する。
そして、また彼女のサンドバッグになっているとふと紗耶香が口を開く。
「そう言えば、この間のお弁当の件なのだけど……」
お弁当の件というのはもちろん彼女が俺にまた弁当を作ってくれるかどうかの話だろう。
この間のデート? では遊園地が閉まっていたせいで、お弁当の件は次回への持ち越しということになった。
ということで、あの日以降、俺はまだ彼女の手作り弁当を食べていない。
「この勝負であなたが私に勝てれば作ってあげてもいいわよ……」
唐突にそんなことを言う紗耶香。
「おい、そういうのはもっと早く言えよっ!!」
体力ゲージが半分以下になっている俺は慌てて彼女に攻撃を繰り出す。
が、上手くかわされ俺はまだ一撃たりとも彼女に食らわせていない。
「ちょっと難易度高すぎないか? ハンデはないのかよ」
「こんな美少女女子校生があなた如き童貞学生のために手作り弁当を毎日作ってあげるって言っているのよ。ハンデはなんて贅沢すぎるわ」
「自分で美少女とか言うなよ」
「あら、二郎は私が美少女じゃないって言うの?」
「それは……」
確かに彼女は美少女だ。それも学園でも指折りの美少女だ。
現に俺は何度も彼女が他の生徒から告白している現場を目撃しているし、俺が紗耶香と付き合っていると勘違いして俺の下駄箱に剃刀を入れる奴までいた。
けど、それを素直に認めるのは彼女に屈服したような気がして口が裂けても嫌だ。
「でも、どうしても言うなら条件次第ではハンデを上げないわけでもないわよ」
と、そこで紗耶香はそう言ってコントローラを置いた。
「条件って何だよ……」
俺は少し嫌な予感がしながらも彼女にそう尋ねる。
どうせ、彼女の出す条件何てろくなものじゃない。
「私は今から体力ゲージが一撃でKOになるぐらいまでコントローラに触れないわ」
「ほう、なかなかのハンデだな」
「でも、その代わり……」
と、そこで彼女は言葉を切って俺を見つめる。
「その代わり、私が勝ったら……なんでも一つ言うことを聞いてもらうわ……」
「なんでもって何だよ」
「なんでもはなんでもよ……」
と、何でもの中身を答えない紗耶香。
どうせ、紗耶香のことだ俺を卒業まで使いパシリにでもするつもりに違いない。
が、現状、俺が紗耶香に勝てる希望は薄い。
それに彼女の提示したハンデは相当なものだ。
何せ、体力ゲージが半分弱残ってる状態で紗耶香に一撃を食らわせるだけでいいのだ。何でもという言葉の中身が超絶気になるとはいえかなりの譲歩だ。
「わかったよ」
そう言うと俺は無防備に紗耶香に集中攻撃を食らわせて体力ゲージを下げていく。
そこで紗耶香にアイコンタクトを送ると紗耶香はコントローラを持った。
紗耶香は超絶強かった。
さっきまでのがウォーミングアップだったといわんばかりに、彼女は華麗に俺の攻撃をかわすとジャブのように俺に小刻みに攻撃を繰り返し体力ゲージを削っていく。
「やばいっ!!」
俺は必死に攻撃を繰り返すが全然、当たらない。
気がつくと俺の体力ゲージは赤く点滅し紗耶香と同じぐらいまで減っていた。
「これで終わりね」
紗耶香はそう言うと俺にトドメを刺す超必殺技を繰り出した。
そして、彼女のキャラクターが俺のキャラクターの息の根を止めようとしたその時。
バツンッ!!
と音がしてテレビが真っ暗になった。
いや、真っ暗になったのはテレビだけじゃない。部屋の照明も何もかもが消えて部屋は真っ暗になった。
「お、おい、なんだよっ!?」
俺は暗闇の中ややパニックになりながら叫ぶ。
「停電かしら……」
停電だとしたら他の家の電気も消えているはずだ。
「ちょっと見てくる」
俺はそれを確認するために立ち上がると窓の方へと歩いていこうとした。
が、
「痛っ!!」
直後、足の裏に激痛が走った。
コントローラーを踏んだ。
俺は痛さのあまり、ぴょんぴょんと飛び上がるが着地にしっぱいして足をぐねった。
俺はバランスを崩してその場に倒れこむ。
「きゃっ!!」
直後、紗耶香の悲鳴が部屋に響き渡った。
俺は紗耶香を押し倒すように倒れてしまった。
真っ暗闇の中、俺の身体と紗耶香の身体が重なり合う。
「ん、んん……」
紗耶香のそんな吐息が耳元で聞こえる。
「わ、悪い……」
俺は慌てて紗耶香から飛びのこうとする。
が、そんな俺の服を紗耶香が掴む。
「停電から復旧するまでじっとしているのが得策だわ……」
「い、いや、だけど……」
この体勢のままじっとしているのはマズい気が……。
「また、何かを踏んづけて私を押し倒すつもり?」
「それは……」
まあ、確かに、暗闇の中を動くのは危険ではある……。
俺と紗耶香の身体はぴったりと密着していた。
胸を通して紗耶香の鼓動の音が響いてくる。
彼女の鼓動は少し早くなっていた。もちろん、それは俺も同じだが……。
耳元では紗耶香の呼吸音が聞こえてくる。
「この場合、どうなるのかしら?」
と、紗耶香がそう尋ねる。
俺は一瞬、何の話か分からなかったが、すぐにゲームの勝敗の話だと気がつく。
「て、停電だしノーゲームってことでいいんじゃないか……」
あまりに近い距離に俺は顔が火照るのを感じながらそう答える。
すると、紗耶香は「命拾いしたわね」とクスっと笑った。
と、そこで視界が真っ白になった。
どうやら電気が復旧したようだ。
俺は眩しさのあまり思わず目を閉じる。
眩しさの中、俺はなんとか紗耶香から離れようと地面に手を付いて身体を起こそうとした。
のだが……。
俺が手を付いた瞬間、手のひらに何やら柔らかい物が触れた。
直後、紗耶香の「ひゃっ!!」という声が聞こえた。
徐々に目が明るさに慣れてきて俺は目を開くと何やら顔を真っ赤にして俺を見つめる紗耶香の顔が見えた。
嫌な予感がしながらも俺は右手を見やった。
俺の右手は紗耶香の胸をジャージの上から鷲摑みしていた。
「い、いや、これはなんというか……」
「い、言い訳をする前にその手を退けてくれないかしら……」
と、紗耶香は動揺したようにそう言うので俺は慌てて紗耶香の胸から手を放すと、彼女から飛びのいた。
紗耶香はゆっくりと身体を起こすと何も言わずに乱れたジャージを整える。
「わ、悪い……」
「ふ、不可抗力だから仕方がないわ……」
そう言うと紗耶香は立ち上がる。
「わ、私そろそろ帰るから……ジャージは洗ってから返すわね……」
「お、おう……」
何やら、気まずい空気が部屋を覆う。
このまま別れるのは何だか気まずいと思った俺は部屋を出ようとする紗耶香に声を掛ける。
「お、おい紗耶香……」
「な、なにかしら?」
「もしも、俺が負けていたらお前は俺に何て命令するつもりだったんだ?」
ここで紗耶香が『あなたを奴隷にするつもりだったのよ』とかなんとか適当なことを言わせてこの凍り付いた空気を少しは緩和させるつもりだった。
が、俺のそんな質問に紗耶香は明らかに動揺したように目を見開いてまた顔を赤くした。
「紗耶香?」
そんな紗耶香の挙動に俺は首を傾げる。
「そ、それは……」
と、口ごもる紗耶香。
そして、
「あ、あなたが変なことするから忘れてしまったわ」
そう言って逃げるように部屋を出て行ってしまった。
エロいことを書いていたらいつもより少し文字数が多くなってしまいました。
すみません……




