第21話 学園1位
第一回編集(2022/3/24)
誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。
「確認は以上でいいな。現状の問題は、この学園一位の生徒様が誰かわからないってことだ」
「誰かに聞いたら?」
俺は人見知りだから無理だけど。
「明確に決まってればそれでもいいけどな」
細かい学園の実情まではわからないか。
と、アルが何かを考え始めた。
「タダシ、お前って索敵どれだけできる?」
「索敵? できませんが?」
当たり前に言われても俺はハンターではないのだ。
お肉も上手に焼けるとは限らない。
するとまた考え込みながら、ぶつぶつと言い始めた。
「他人の源素を回復できる。だったら源素の制御は――」
他人の源素の回復。
厳密には分け与えただけなのだが、源素を使い切ったアルに使った能力もまた、昨日の晩言い詰められて教えたことだった。
「俺が言うとおりに源素を広げてみろ」
「ん? でも制限掛かって――」
「だから、少量を薄く延ばす感じだ」
いうなれば源素の超濃度空間の逆だ。
「まぁ、いいけど」
言われて、俺は適当な量の源素を広げる。
大きさで言うと俺の体より二回りくらいのおおきだろうか。
「なめてんのか」
「ええっ、言われて通りにやったのにっ!」
「まだ濃いんだよ」
言っている意味が分かりません。
「索敵で使う源素はいうなれば、水面の波紋だ。大気中にも自然の源素があるが、それに紛れ込ませるように広げる必要がある。当然、自然の源素と違いが大きければ相手にも気づかれやすい。逆に言えば、自然の源素に近づければ近づけるほど、誰にも気づかれずに相手の情報が手に入れられる」
「なんとなーく、わかるけど、それって源素を消せばよくない?」
つまりは気配を消して近づけばいいだけのこと。
「手段が違う。見える距離で尚且つ、相手が警戒していなければそれでもいい。しかも、タダシがやっている方法の精度を高めればな」
「んえ?」
「いったろ、大気にも源素は存在している。そこに空白ができれば、違和感しか残らない。だが、自然に流れる源素と自身に流れる源素を限りなく近づければそこには、違和感は生まれない。例えば、池に波紋を立ててそこに石があったとする」
「あー、波紋の形が変わればそこに石があるのがわかる」
俺がやっていたのはそのままの石。
でもその石の状態を水に近づければそこに石があることを誤魔化すことができる、
「そういうことだ」
さらに、この世界の人の索敵は遠距離でできるのか。
「とりあえずの索敵の練習として源素を薄く広げることから始めるんだ」
「あれ? それじゃあ、俺たちの存在が気づかれるんじゃ……?」
「ここはそういったことをする場だろう。当然、許可やら事前の通告が必要だろうが」
「なら、なおさら――」
「良いんだよ、それで気づくような奴を炙り出すんだからな」
優秀ゆえにか……。
「ん? アルがやればよくない?」
「っち」
あ、舌打ちしやがった。
「俺は得意じゃねぇんだよ! しかも、この手枷の所為で尚更、広げられねぇ」
なんだよ、最初からそう言えばいのに。
「まいいか。やるだけやってみよう」
今度は集中するために目を瞑る。
現状手枷の所為で源素が使える量は限られる。
だから、出来るだけ少ない量の源素を放出し、それを薄く、薄く、薄く……。
集中していく中でだんだんとアルが言っていた大気の源素を感じていく。
まるで、小さな源素の流星が無限に流れているようだ。
「(これが自然にある源素……)」
今ならわかる。
この源素の流れに体に流れる源素を合わせれば、確かに目視でない限り見つけるのは困難だろう。
くそ、これを知っていればレナとの鬼ごっこからも逃げられたかもしれない。
いや、あの時の感じからレナは索敵を使っていなかったのかも。
そうなると、どっちにしても難しいか。
「(いかんいかん)」
集中力の乱れを立て直す。
ちょっとずつ薄くしていく範囲を広げていくと、何かに薄くした源素がぶつかる。
「(お、なるほど、これはアルだな)」
これは面白い、アルの源素の流れを感じ取れた。
きっと、個々の源素を覚えれば、それだけで相手を特定することもできるのだろう。
徐々に広げていくうちに、床、壁なんかも認識していく。
要領がわかり始め、広げる速度を上げていった。
「な、お、おいっ」
アルが何かを言おうとしたが、集中しすぎて聞き取れない。
「な、なんでそこまでできるんだよ……」
薄く広げる……、薄く広げる……を早く!
「ま、まてっ!」
調子に乗った俺は一気に薄くした源素を可能な限り広げ切った。
「うげっ」
その瞬間、一気に源素から伝わる情報が頭に流れ込んできた。
その中で、一人見知った気配がにっこりと微笑み、デコピンをするように源素をはじき返した。
「ぎゃっ」
まるで目の前でデコピンをされたような錯覚に、俺はその場に転がった。
「ありえねぇ、波紋どころか、空間で索敵しやがった……、――はっ。って、やりすぎだ!」
そんなアルの声も聞いていられないほど、俺は気持ちの悪さに起き上がれない。
「しんどーい」
ぐらぐらと目の前が歪む。
「源素酔いか……、っち、考えてる暇もないっ。とりあえず、これを着けてろ!」
そう言って立ち上がれない俺の顔に何かを押し付ける。
「拝借した仮面だ、外すなよ」
なんで仮面なんてあるんだよ、って突っ込みたい。
「くるぞ」
「んなにが~」
「一位だよ!」
そして、アルも仮面を被る。
「俺が時間を稼ぐ。その間に、本を奪うことを考えろ! いいか、今俺たちは源素を自由に使えない、それだけは忘れるなよ!」
アルは走り出そうとして立ち止まる。
「あ、お前の仮面はいらないな」
何を思い立ったのか、俺につけた仮面を取り外すと、一つ頷く。
「歯を食いしばれ」
なんで? と聞き返す暇もなく。
「ふるべぇええええええええええええええっ‼」
俺は顔面をぶん殴られて吹き飛んだ。
「じゃ、仕事しろよ」
それを最後に今度こそアルが逃走していった。
その直後だった。
まるで花でも背景に従えているかのような金髪縦ロールの少女が、優雅に現れた。
ぴくぴくと手枷の所為で回復が間に合わず虫の息の俺を眺めた少女は言う。
「遅かったですわ、すでに被害者が出てしまいましたわ」
そのセリフで俺が殴られた理由を知った。
「まだ息はあるようですわね」
無慈悲な傍観に俺が言えることは一つ。
「……キャラが濃ゆい」
――だった。
あ~、11月が終わってしまう~。
活動報告書いておきます~。
誤字報告に関して書いてます~。
できるかぎりがんばります~。
引き続きお願いします~。




