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異世界だろうとのんびりと  作者: ダルマ787
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー第三巻ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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第9話 出来る事

第一回編集(2022/3/23)

誤字脱字の修正、文章の修正、文章の追加、ふりがなの追加、言い回しなど編集しました。



開始早々、監視室にいるタダシの度肝を抜いた。


「おいおい、何でもできるんかい!」


アイミは一切の手抜きをしない。


そう言わんばかりに身体を強化したのだ。


それは紛れもなくタダシが使っている技術と同じもの。


「珍しい技術ですな」


副学園長である、アスコルは顎に手をやり感想を述べる。


「ですが――」


そんな監視室の声は届かないまでも、アロフォナインは同じ感想を述べていた。


「ふ~ん、珍しい使い方をするんだな」


余裕を見せつつ、構える。


「源素の無駄使いだぜ」


空調設備はあるものの、無風に近い密室空間に風が舞い始める。


「俺の精霊の属性は『風』だ教えといてやるよ」


そういうや、大砲となった風の塊がアイミを襲う。


アイミのいた位置が爆音とともに砂埃であたりが見えなくなった。


「ま、避けるだろ、それくらい」


アルフォナインはズボンのポケットに手を突っ込み、後ろから迫るアイミの拳を避けるために屈む。


「ほらよっ!」


後ろに跳ぶや否や、予備動作のないまま風がアイミの姿を押し返した。


「きゃっ」


態勢を整え、アイミは地面に足でブレーキを掛ける。


「雑な戦い方だな、聖騎士とは呼べねぇよ!」


再び、風を起こそうとするアルフォナインの前が急激に暗くなる。


「なるほど、土の精霊かっ」


アルフォナインを囲う為の壁が四方にできると、そのまま閉じ込めに掛かった。


「少しは考えてんのな!」


ポケットから片手を出し、手のひらに空気を圧縮していく。

そして、それをそのまま天高く手を上げ放った。

最後に繋がる土の天井の脆い部分に穴が空く。


そこからヒュンとアルフォナインが飛び出す。


「空……飛んでる」


アイミは目の前に風を纏い浮遊する少年に驚きを隠せない。


「経験不足だな」


アルフォナインは特別な事はしていない。

だからこそ、アイミの零した感想にその差を口にする。


「推薦されるに値しないんじゃないか? ま、俺には関係ないけど」


獣の爪をイメージするように、アルフォナインの手が空を切り裂く。

そこから、風の刃がアイミを襲う。


風の爪がアイミに襲い掛かっている最中、アイミは深呼吸をする。

実力の差など初めから気にしていない。というよりも、そのものに興味がない。


なぜなら、


「数えきれないくらい、負けてきたよ!」


初めて誰かと一緒に旅をした。

初めは自分が何のために一緒にいるかの理由を求めた。

ただそれも意味がないと教えられた。

そして、後悔しないために必要なものを教えられた。

その度に負けてきた。


だから、この時間は、


「何一つとして無駄にしない」


最初から、勝つことを意味していない戦いは、アイミにとって成長する可能性でしかない。


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