1話目『START GAME』
その朝、世界から人が消えた。
……正確には。
俺がいる街から、人間だけが消えていた。
「……静かすぎる」
通学路を歩きながら、俺は周囲を見渡した。
いつもなら聞こえるはずの車の音。
学校へ向かう生徒の声。
店から流れる音楽。
全部がない。
なのに、街は動いている。
信号は変わる。
時計は進む。
コンビニのドアも開く。
まるで……
人間だけが最初から存在しなかったみたいに。
「何が起きてるんだよ……」
スマホを取り出した。
連絡を確認する。
通知はゼロ。
電話をかける。
――接続できません。
嫌な予感がした。
その瞬間。
スマホが震えた。
画面に、見覚えのないアプリが表示されている。
黒い背景。
白い文字。
『TAG GAME』
「……いつ入った?」
消そうとする。
しかし、削除のボタンはない。
代わりに画面が切り替わった。
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【PLAYER認証開始】
【対象者を確認】
—【12名】
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「12人……?」
俺以外にもいる。
誰かが、このゲームに巻き込まれている。
次の瞬間。
街中のスピーカーから音が響いた。
ザザ……。
『TAG GAMEへようこそ』
低い声。
感情がない。
『あなたたちは選ばれた12人のプレイヤーです』
『現在地はGAME AREA 01』
『脱出方法は存在します』
少しだけ希望が見えた。
しかし。
次の言葉で、その希望は潰えた。
『ただし』
『7つのTAGを回収しなければなりません』
『そして……』
一瞬、音声が途切れる。
『プレイヤー同士を完全に信用してはいけません』
画面に新しい文字が出る。
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【0番目のルール】
【このゲームには、嘘をつくプレイヤーが存在する】
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「……嘘をつく?」
意味が分からない。
誰が?
何のために?
その時。
遠くから声が聞こえた。
「おい!」
振り向く。
そこには、一人の少年が立っていた。
「お前も、この変なゲームに巻き込まれたのか?」
俺は頷いた。
「……俺だけじゃなかったんだな」
その直後。
別の場所からも人が現れる。
一人。
また一人。
気づけば、俺の周りは11人の人で囲まれていた。
知らない人間。
知らない能力。
知らない目的。
でも共通していることが一つだけあった。
全員のスマホに、同じ画面が表示されている。
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【PLAYER 12名】
【START GAMEまで残り】
【10】
【9】
【8】
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誰も動けなかった。
「これ……本当にゲームなのか?」
誰かが呟く。
【3】
【2】
【1】
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その瞬間。
街全体の景色が変わった。
空が暗く染まる。
建物の壁に巨大な文字が浮かび上がる。
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『TAG GAME、START』
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そして。
12人の前に、初めての選択肢が現れた。
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【初期能力を選択してください】
【TELEPORT】
【CHRONO STOP】
【STEALTH】
【UNKNOWN】
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俺は画面を見る。
最後の一つ。
【UNKNOWN】
それだけが、説明なしで存在していた。
誰かが言った。
「……この中に、選ばれた人間がいる」
その瞬間。
遠くのビルの屋上に。
白い仮面の存在が立っていた。
こちらを見ている。
スマホに表示される。
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【管理者 TAKER】
【プレイヤー監視開始】
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12人のゲームが始まった。
でも。
誰も知らなかった。
このゲームの本当の目的が……
「生き残ること」ではないことを。




