大悪党
むろん命令された側は不満たらたらである。
なにしろ、自分たちだけでは倒せない相手と思ったからこそアーベルのもとにやってきたのだ。
それなのに、その敵と戦えという命令だ。
しかも、そこに自分たちは加わらない。
「くそっ。これでは金を取られただけではないか」
「外界に戻ったら必ず奪い返してやる」
「いや。それだけでは足りない。奴らの有り金全部巻き上げてやる」
「ああ」
「だが、それもこれも生きて帰ったら、の話だ」
むろん、口を動かしているだけでは何も解決しない。
当然のように戦いを始める。
そして、同じ頃、最前線にいたアーベルたちの姿が見えなくなる。
もちろん、それは監視役の魔物から指揮官へ報告がいく。
さらに冒険者たちの退路を塞いでいる部隊からも攻撃が始まったと、転移魔法を使って連絡が届く。
目障りな奴らも戦闘に加わるために後退した。
そう判断した魔物たちは前進を開始する。
だが……。
「俺たちを甘く見るなよ」
注意深くではあるものの、着実に前進している魔物たちを見ながらアーベルは黒い笑みを浮かべる。
そして……。
比較的直線状になった場所に入ったところで、後方を振り返る。
「クロエ」
その直後、巨大な火球が発生し物凄いスピードで突進する。
むろん、魔物たちを焼きながら。
さらに、もう一撃。
そして、その直後、三人の剣士が飛び出し、どうにか生き残った者たちを狩り始める。
まさに掃討戦。
だが、そこでは終わらない。
さらに進む。
魔物たちを狩りながら。
結局、アーベルたちは前日よりも前に進んだ。
「だが、これで終わりではない。というより、宴の本番はこれからだ」




