4-11 熟睡してたら大惨事
ここは、SWのワイ村にある宿屋。時刻は午前8時。
あの後魔理守は、FWに戻った後、夕食を済ませたり学校の宿題を少し手をつけ、テレビを見たりして過ごし、午前0時頃に布団に入ったものの、彼の楽しい事をした日の夜は寝付けない体質なのでなかなか寝れず、色々あり2時に眠りについた。
そして、昨夜朝6時起こしてくれと、母に頼んでいたので、頼まれた通りの時刻に力ずくで起こされ、眠たそうに朝食を食べ、寝不足に朝の睡魔が合わさった状態で真理守はSWへ来た。
そして、こちらの世界の魔理守は、宿屋のフカフカの寝心地が良いベッドに横になっていた。
彼の状態と今いる状況が合わさっている以上、彼は──
「おい! 魔理沙! 起きろ!」
「ふん! ポニーテールでないにも関わらず、気持ちが良さそうに寝ているようだな!」
勝利とポニーは、昨晩FWへ戻った後、明日どちらが早くSWへ行けるか競争していたので、4時20分頃にポニー、5時丁度に勝利が宿屋の部屋で横になっていたこちらの肉体に意識を移した。
そして、6時40分頃に魔理守が来たのだが、そのまま彼は眠りについてしまったのだった。
FWからSWへ入る時、ゲーム内の体はやや光る為、魔理守が来たことは気づいたのだが、先にいた2人が彼に声をかけたものの、眠っている為反応がなかった。
宿屋のベッドの質の良さに、彼の体質について2人は知っている為、余り気にせず魔理守が自然と目覚めるのを待つことにした。
しかし、朝の7時40分頃に、あおりんからフレンドメッセージが勝利とポニーへ『まりりんに今からワイ村を見て回ろうと送っているんだけど、反応がないだよね! そっちにまりりん寝てない?』と送られて来たので彼を起こすことにした。
20分くらい声を掛けたり体を揺らしたりしているのだが、彼は一向に目覚めない。
「魔理守全然起きねぇな……叩けば起きるかもだけど、こいつを殴ったりはしたくないし……」
「うむ! それは同感だ! この男には俺も貴様も多大な恩がある! 少なくとも俺は、友人じゃなく手下になれと魔理守が言うのなら喜んでなる!」
「まぁ、こいつは絶対にそんなことは言わねぇと思うけど、俺も手下でも奴隷でもなんだってやれるよ!」
2人は過去に真理守に救われている。叩き起こすのは、その恩を仇で返すものだと思う為、力ずくで目覚めさせる気にはなれない。
「ただ、寝ていても人間の脳は完全に停止している訳じゃねぇと思うから、魔理守には悪りぃけど、この方法で目覚めてもらうか……俺もこいつに早く目覚めてもらわなねぇと、ウィンシティに行くのが遅くなるかもだしな……ごめんな、魔理守……」
勝利は申し訳なさそうに、あおりんにメッセージを送る。
3分くらいで部屋をノックする音が聞こえた。
「俺が開けてこよう!」
ポニーが部屋の鍵を開ける。
「やっほー! おはよう! しよりん! ポニー!」
「2人とも、おはよう。勝利くん。ポニーくん」
3人の部屋にあおりんと美樹がやってきた。
「じゃあ、私、まりりん起こすね!」
あおりんは、仰向けで眠っている魔理守にまたがり、顔を近づけ耳元へ声をかける。
「まーりりん! おーきて! 一緒にこの村周りにいこう!」
そう言いながら、彼女は彼の頬を撫でる。
「うぎゃーーーーー!!!!」
魔理守は先程の熟睡が嘘かのように身の危険を感じ飛び跳ねるうさぎの如く飛び起きた。
「え!? ほえ!? あっあああ、あお……ぃりん!?」
目が覚めたらもの凄い状況(魔理守基準)になっていたので、彼は頭が混乱し軽くパニックになる。
「おはよう! まりりん! 犬や猫みたいにめっちゃ寝てたね! やっぱりかわいい!」
目覚めて早々、幼馴染に凄いこと(魔理守基準)を言われている。
「あ、あぁ、よう、あおりん……」
魔理守の目はバッチリ覚めてはいるが、状況的にかわいい発言に文句を言える口が回らない。
そして、その状況を見ていた3人は、笑いを堪えている。魔理守は目の前で自分にまたがっている女の子で頭がいっぱいで気づいていない。
「まりりん! フレメセ見て!」
「あ、あぁ……」
彼女から送られてきた文章を読む。
「それじゃっ行こっか!」
あおりんはニコりと笑みを浮かべる。
「うっ、そ、そうだな……行こうか」
あおりんは、彼の上から降りて、魔理守もベッドから起き上がる。
「って、てめぇら!! 笑ってんじゃねぇよ!! 見せ物じゃねぇぞ! この野郎!!」
堪えていた笑いを少し漏らしている3人を見て、魔理守は叫び声を上げたのだった。