たまには過去を振り返って反省しろ!
「はい、今回は経費で落としてあげるけど、次は自費で払ってもらうからね」
「あははっ、ごめんね美羽、ほんと感謝するよ」
笑いながら謝って来る優衣を見て、美羽は大きく溜息を付いた。
「あんたの感謝は本当に薄っぺらく感じるわ」
「それは美羽の心が黒いからだよ」
「あんたが言うな! というか黒いって何だ黒いって、私はそんなに悪役か!」
「けど似合いそうだよ」
「勝手に決めるな!」
「ただ今戻りました」
そこへ買出しに出かけていた皆穫が戻ってきて、荷物をとりあえず自分の机の上に置くと二人に元へと向かった。
「何かあったんですか?」
「ん〜、美羽には悪役が似合うなって話をしてたの」
「お前はまだそれを引っ張るのか。皆穫、皆穫からも何か言ってやってくれ」
「そうですね。やっぱり美羽さんには悪役より、ツインテールですよ」
『はっ?』
突飛のない皆穫の発言に美羽と優衣は声も顔も揃えて、ワケが分からないという反応を示した。
「いや、なんで私はツインテールなんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか。それは美羽さんが……ツンデレだからです」
「ちょっと待て、いつから私はそんなキャラになったんだ」
「そんなの最初っから決まってるじゃないですか。そしてツインテールはツンデレの象徴なんです。だから美羽さんにはツインテールが似合うんですよ」
「勝手に決めるな!」
「美羽の場合ツンデレっていうより、ツンツンしてるだけって感じがするけど」
「その原因のほとんどがお前のせいだろうが。うらっ、これを見てもそれが分かるだろ」
「美羽〜、そんなに顔に押し付けられても見えないよ〜」
「何ですか、それ」
美羽は優衣の顔に貼り付けていた紙を皆穫に渡した。
「領収書、箒代。なんですか、これ?」
「こいつが近所の子供達と野球をやっててね。それで箒をバット代わりにして遊んでたら箒が壊れたのよ」
「いや〜、見事に箒の芯に当たってホームランになったんだけどね。その代わりに箒が真ん中からぽっきりと折れちゃったの。やっぱり硬球だとボールの飛びが違うね」
「そういう問題じゃないでしょ」
「だから今度から軟球でやるよ」
「それも違う! あんたはこの神社の巫女でしょ。巫女なら巫女らしく巫女の仕事をしなさい!」
「う〜、ちょっと休憩ついでに野球をやってただけじゃん」
「それは休憩とは言わん、サボってるって言うんだ」
「まあまあ美羽さん、そんなに怒らなくても」
「はぁ、私だって好きで言ってる訳じゃないわよ。まあ、私も時たまなら大目に見るけど、こいつは毎日のようにサボってるから言ってるだけよ」
「じゃあ、今度から一日おきにするよ」
「それは一日おきにサボるという宣言なのか」
「あははっ、けどさ神社の仕事って結構暇じゃない。だからあんまり問題ないんじゃ」
「仕事が暇だって感じるのはあんたが仕事を覚えないだけでしょ。ウチだって地鎮祭やら結婚式やら、いろいろとやってるのよ」
「え! そうなの?」
「今までどんな仕事をしてきたんだお前は!」
「境内や本殿拝殿の掃除とか、社務所でのお守り売りとか、そんなんだけど」
「ああ、そういえばあんたそんなことばっかりだったわね」
「おおっ、だから時々ウチの神社に人が集まるのは結婚式をやっていたからか」
「今頃気付いたんかい!」
「というか優衣さん、結婚式の準備とか結構忙しいですけど、そういったこともやったことないんですか」
「えっ、う〜ん、そうだな。……おおっ、そういえば、何か美羽に今忙しいからこれやれって押し付けられることがたまにあるけど、あれそうなのかな」
「ああ、そうだよ。あれが結婚式の準備だよ」
「なるほど、そうだったんだ」
「優衣さん、今まで気付かずにやってたんですか?」
「あははっ、私は言われたことだけやってるだけだから」
「そんなんだから仕事を覚えられないんじゃなのか」
「けど、今まで大輝さんに注意されたことないよ」
「それは只単に雑用係としか見てないからじゃないか」
「なるほど、つまり私は縁の下の力持ちなんだね」
「いや、あってはいるけど。そこは悔しがるところじゃないのか」
「まあ、前向きだからいいんじゃないですか」
「そこまで前だけを見続けてどうする」
「えっ、えっと、……まあ、過去を悔やまずにすむのでは」
「せめて過去の過ちから何か反省して欲しいものだな。特にこいつは」
美羽は皆穫の方を見ながらも、親指で優衣を指差す。
「う〜、私だっていろいろと反省してるよ」
「ほう、例えば?」
「例えば、そうだね。昨日コロッケに醤油をかけちゃったから、今度からちゃんとソースか醤油かを確かめるようにしようとか。あとこの前の休日にいつもと同じように目覚ましをかけちゃったから、今度からちゃんと明日が休みか確かめるようにしてるよ」
「あんたの反省はその程度かい!」
「あの優衣さん、もう少し仕事のことで反省することはないんですか?」
「う〜ん、そうだね。ない」
「はっきりと言いやがったな、こいつ」
「優衣さ〜ん、それだとフォローできませんよ」
半泣きになる皆穫を見て、さすがの美羽も大きく溜息を付いた。そして当本人である優衣はというと、いつものように最後は笑って誤魔化すのであった。
そんなワケでお送りしました今回のみこみこ。なんといいましょうか、文章のほとんどが台詞というのも結構珍しい小説なのではないかと、最近思い始めました。
う〜ん、けど、書いてるとどうしても台詞が多くなるというか、ほとんど台詞になる。これはいいのだろうかと、最近ちょっと心配になってきた。
それでも、面白ければまあいいかと開き直ったりもします。
それではここまで読んでくださりありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
以上、なかなかみこみこのネタが出てこない葵夢幻でした。




