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エピローグ

  エピローグ 少女への応報



 ふかふかなベッドの上。

 声が聞こえる。愛おしい声だ。

「大丈夫か?」

 頬をぺちぺちと叩かれる。腫れないように手を抜いているのが見え見えだ。

 面白いから、寝たふりをしてみよう。

 軽く寝息を立ててみて、本当に寝ているのだと信じ込ませる。

「まだ起きないのか、見て欲しいものがあるのに」

 淋しげな少年の声。

 早く起きてあげたくなったけど、最初に寝たフリをすると決めてしまった。だから止められません。

 それと、見て欲しいものとは何だろう。

 いや、これは少年の作戦なのかもしれない。物で釣れる少女では無いということを証明しておかないといけない。

「そうか、起きないつもりか。いいよ。もう見せてあげないから」

 高校生の発言だとは思えない子供っぷり。

 自分と対等に話そうとしているのか、小馬鹿にしているのか分からないが、どっちかって言うより、両者な気がする。

 いい加減に起きないと、そろそろ実力行使でくすぐりが発動されそうだ。

 仕方ないね。

 体をゆっくりと起こそうとすると、いい香りがする花束に頭を突っ込んだ。

「よし! 成功!」

 花から離れ、何事だと口調を強くする。

 少年は照れたように笑い、花束を渡してきた。

「牡丹の花だよ。……あ、いや、花の名前が牡丹なんだ」

 どうして、と口が動く。少年はその口の動きを読み取り、頷いた。

 約束したから、と。

 少女――藤堂牡丹は、てっきり少年が忘れていたのではないかと不安でしょうがなかった。

 死ぬ間際に交わした約束。

『――が咲かせた花、見たかったなぁ……』

 約束を、ちゃんと覚えていてくれた。

 涙。

 嬉し泣き。

 泣いているのに嬉しいなんて奇妙だけど、抑えきれなかった。

「なぁ、牡丹。泣き顔じゃなくて、笑った顔を……ぐふぉ!?」

 花束を受け取った牡丹は、冗談半分で少年の腹部を思い切り蹴った。

 痛そうにうずくまる少年は、牡丹の方を見続けていた。若干恨めしそうではあるが、気にする牡丹ではないだろう。

 ベッドから立ち上がり、少年に背を向ける。涙を拭くためなどとは、何年経っても教えられない秘密である。

「私を……貴方のお嫁さんにしてくれますか?」

 背を向けたまま、葵に向けて尋ねる少女。

 少年は面食らったように慌てて、でもしっかりとした口調で答えるのだった。

「……俺なんかで良ければ、喜んで」

 ――それから、鬼嫁は振り返って微笑んだ。


上雛平次です。

五話と、短い内容になっている小説です。


まとめとすれば、人生はたった一度ですから、後悔しないように生きて欲しいという思いで作りました、とします。


では、「さる武器屋」の方も宜しくお願いします。

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