少し長めの序章 1.主人公による前口上
新連載の開始です。
どうやらあたしは生まれ変わり、小難しく言やぁ輪廻転生ってやつに巻き込まれたらしい。……そう気付いたのは、あたしが五つになった頃だった。
背中に緋牡丹の紋々背負って、女だてらに斬った張ったの莫連渡世を送ってた筈が、気が付きゃ五つのガキに生まれ変わってんだから、そりゃ驚いたさね。
けどまぁ、これだって神仏の思し召しってやつだろうと思って、素直に二度目の人生を生きる事にしたってわけさ。諺にも〝郷に入っては郷に従え〟って云うし、素直にこっちの流儀に倣おうってね。
尤も、生まれ変わった先の人生ってやつも平穏じゃなくて、ド田舎で獣や魔物や悪党相手に斬った張ったをやらかしてたんだから……所詮あたしにゃこういう渡世が似合ってるって事なんだろうね。
新しいお父っつぁんとおっ母さんは、あたしの事を可愛がってくれた。まぁ、前世の両親もそこは同じだったけどね。
前世の記憶――享年? 女の歳を訊くんじゃないよ――が蘇ったせいで、歳の割に変にこまっしゃくれたガキに育っちまったし、そのせいで隣近所のガキんちょどもの面倒を見る羽目になっちまったけど……まぁ、総じて悪い暮らしじゃなかったね。素寒貧で、いっつも腹を空かせてたけど、田舎じゃそんななぁ当たり前だったしね。
おっ母さんが魔法で薪に火を着けるのを見て、歳相応に大人の真似ってやつをしたくなってこっそり頑張ってたら、【火魔法】なんてものが生えちまったのは、ありゃあ七つの頃だったかねぇ……
あたしゃてっきりおっ母さんと同じだと思ってたんだけど……おっ母さんが使ってたなぁ【生活魔法】ってやつで、あたしの【火魔法】とは違うんだって教わった。お父っつぁんとおっ母さんは凄い凄いって褒めてくれたけど、あたしにゃあおっ母さんの【生活魔法】の方がずっと凄く見えた。何しろおっ母さんは火を着けるだけじゃなくって、灯りとか水とかも出せた上に、汚れまでバーッと落としちまうんだからね。
九つになって、畑仕事の手伝いをさせてもらえるようになった時、あたしの世話した畑の方が作物の出来が良いんじゃないかって言い出したやつがいた。まだちゃちなもんだとは言え、あたしが【火魔法】持ちなのは皆知ってたから、こっちにもひょっとして魔法が関わってんじゃないかって話になった。【木魔法】か、そうじゃなくても【土魔法】とか【水魔法】とかね。
ただ、村には鑑定水晶なんて大層なものは無いし、来年「祝福の儀」を受ければどうせ判るんだし、それまでは放って置くしかないって事になった。ま、あちこちで畑仕事の手伝いを頼まれて忙しかったけどね。子供心にちょっぴり誇らしかったのも本当だった。
で……あたしが十になった時に、隣の隣の村――グノア村っていって、あたしたちのレック村と違って大きいんだよ――にある教会で行なわれるっていう「祝福の儀」に、不肖このあたしも参加する事になったってわけさ……




