表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

裏世界初任務!〜特変体討伐〜⑥

〜特変体討伐任務開始から1日前〜


リクはギルドの受付カウンターで任務受諾書に

サインを書きながら小さい受付嬢のルドに話しかける。


「やっぱ俺この任務受諾するの速いと思うんだけどルドもそう思うだろ?」

「うーん…でもパーティーとしての受諾条件は満たしているノコですし大丈夫な筈ノコですが…


「やっぱ・・・そうだよね・・・・・・・・・」

「おやめになられますノコか?」

「いやっいい・・・受諾しないで戻ったらセフィーに何言われるかわかんないし」

「それでは、この欄にサインしますのこ」


「ルドちゃーん任務受諾のサインしに・・・って、先客か」



背後から聞き覚えのある男の声がリクの耳に入った。

反射的に声が聞こえた背後を振り向くと

そこには、このギルドで知り合った冒険者の1人、ギアーヌが立っていた。


「あっ!ギアーヌさん!」

「よっ!リク!【特変体討伐】受けるんだってな!」

「あ…あぁ…、セフィーに言われて仕方無くね・・・」


「何だぁ?あーんま乗り気じゃねえ見たいじゃないか」



「だって!俺まだレベル55なんですよ!それなのにいきなりSクラスの任務を受けろなんて!あの人はスパルタ悪魔だよ!」


「 確かに…レベル55ならSクラスは飛ばし過ぎだな」

「でしょう!?やっぱり早いですよね?」


俺はギアーヌと話しながら、任務受諾書にサインを書き記す。


―――――――――――――――――――――――――――



なんやかんやで表向きは俺が表世界と引き続きリーダーという事になった。


冒険者ギルドではパーティーメンバーの合意があれば

レベル順関係無くパーティーリーダーとして認められるらしい。


「なら、リーダーは同じで良いだろ」

「うん」

「じゃあ決まりね」

「ええっ!?」

「というか・・・リクがリーダーにならないなら、私、リクのサポートしないから」

「はい!!リーダー引き受けます!!!!」



アニーの提案にセフィーも賛同し、そのまま流れで俺はまたパーティーリーダーとなった。(半ば強引に)


―――――――――――――――――――――――――――




「だが、パーティーにLv90以上が居るんなら別だな」


「シーラさんから聞いた話、あの2人はとっくにLv90を超えてるらしいじゃねえか、2人もLv90が居るなら何とかなるっしょ〜〜〜はっはっはーー・・・・・・多分・・・・・・」


「多分って・・・・・・!こっちは命懸けなんだよ?」


「はい、確かにサイン確認しましたノコ!お手続き完了ですノコ!」


「あ…あぁ、ありがとう、ルド」

「命懸けなのはここにいる奴らみんな同じだろ?」


「それにリク、お前は魔王の使者と戦って生還したんだろ?これもシーラさんから聞いたんだが・・・」


「まともに戦闘したら俺らでも無傷では済まない相手だったらしいぜ?」


「そ、そんなにぃ!?」


「あぁ、だからお前さんには”特変体”と戦えるポテンシャルは備わってると思うぜ?」


「まだ高い攻撃力をだせなくて決定打に欠けるってんなら2人のどっちかに任せれば良いんだよ、任務遂行で大事な事は二つ!「瞬時の適応力」と「連携」だからな!」


ギアーヌの話を聞いているリクは唖然とした顔で彼の顔を見ている。


「ん?なんだぁ?その顔は 」


「いや、急にリーダーみたいな事言い出したなって…」


「俺は列記としたパーティーのリーダーなんだぜ?だから、こうして受諾書にサインしに来たの 」


ギアーヌは片手に持った任務受諾書をリクに見せる。


「まぁほぼジェラルからの受け売りなんだが…」


「あのーーー……」


「ん?どうしたんだ、ルドちゃん?」


「他の方が並んでいるので、お話なら別のトコでやって貰えるノコですか?2人とも…」




ギアーヌとリクが後ろを向くと

そこには2人の後ろに受付の順番を待つ冒険者の列が出来ていた。


「あっ・・・・・・・・・・・・」


目算十人は超える各パーティーの代表者達が自分の番を待ち「まだかまだか」と最前列の2人に視線を向けていた。



「わ!わりぃ!ルドちゃん!すぐ書いて避けるからよ!」

「俺もごめん、気づかなくて」

「次から気をつけてくれれば良いノコ!でも、ギアーヌさん?貴方はもう何回目ノコ?前から受付前で話込まないでって言ってるノコですよね?」

「わりぃって!チャッチャッと書いて避けるから」

「じゃあ、俺もこれで…」

「あと、リクさんよ、最後に一つだけ…」

「ちょっとギアーヌさん?」

「わかってる、一言だけっ、一言だけね?」


飄々とした顔で今まで話していたギアーヌであったが

次の一言を言う瞬間、真剣そのものの表情へと変わった。


「このギルドの先輩から一つアドバイスだ 特変体に化したデモさんはほぼ確実に正常に戻る事はない、だから、容赦せず、殺せ」


飄々としていたギアーヌの声色が一瞬重い響きに変わった。


「意識が一瞬正常になっても躊躇うじゃねえぞ〜?

そうやって躊躇った後、殺された奴を俺は何人も見て来たんだ・・・」



〜 現在 〜



デモトロンの少年が訴える声を耳にしながら

俺は昨日のギアーヌの言葉を頭の中で反芻する。


確かに、一瞬でも油断して攻撃をまともに食らったら一発でヒトは死ぬだろう。

運良く気絶してる今のうちに殺しきるべきだ。容赦なく。


だけど・・・・・・


俺は心を「鬼類」の如く鬼にして目前の討伐対象に向けて大剣(バスタードソード)で斬り伏せる為の構えを取る。 必死に俺の行動を阻止する声を耳にしながら。

「お願いやめてええええ!!!!」

「はああああ!!!」


俺は気絶し、倒れている"特変体"の巨体に向かって構え上げた大剣で縦一線に振り下ろした。


だが、大剣を振り下ろすと同時、あるいは極僅か寸前のタイミングでデモトロンの少年が俺と"特変体"の間に飛び出した。

「ああっ!」

「うわあっ!!」


デモトロンの少年が目の前に飛び出してきた瞬間

既に大剣を振り下ろしていた俺は咄嗟にブレーキをかけたが、勢いがついていた事により間に合わず、デモトロンの少年まで大剣を振り下ろしてしまった。


大剣の刃が当たったデモトロンの少年は後ろに倒れている特変体の方向へと飛んで行き、壁にぶつかって、そのまま床へと倒れた。


まずい・・・殺しちゃったか・・・?

いや、待てよ・・・?

確かに当てたけど、切り応えは無かったから・・・


俺は恐る恐る攻撃を当ててしまったデモトロンの少年の方に駆け寄り、状態を確認すると


腕に嵌められている手甲にヒビが入っていた。

恐らく剣の刃はここに当たったのだろう

死んでない事がわかり、俺はひとまず胸を撫で下ろした。


「うぅ・・・・・・・・・」


「2人を・・・・・・殺さないで・・・・・・・・・」


少年は倒れた己の上体を肘を使って起こし、再び俺に訴え掛ける。



「もう、良いんだ…ギャン…」


「え?」


デモトロンの少年は声が聞こえた自分の隣を振り向いた

俺も少年の隣の特変体から声が発せられた気がしたから同じく少年の視線の先と同じく所に目を向ける。


「ヌー!?意識が!意識が戻ったんだね!」


「あぁ、最後に、君と・・・・・・話せ・・・・・・て・・・・・・・・・・・・・・・良かったよ・・・・・・・・・・・・」


「さ、最後なんて言うなよ!」


「俺はきっとまた暴れてしまうだろう・・・その時に君を食い殺してしまったら・・・俺は・・・あの世で自分を永遠に恨み続けると思う…そんなのは御免だ・・・だから・・・・・・」


「アンタ、俺達を殺しに来た。ギルドの人だろ?」


「・・・そうだよ」


”特変体”に聞かれた俺は言い淀みながらも頷いた。


「なら、また意識が飛ぶ前に…俺達を殺してくれ…」

瞬間、再び脳裏にギアーヌの一言が過ぎる


「「そうやって躊躇った後、殺されたヤツを俺は何人も見てんだ・・・」」


「させない!殺させない!!」


デモトロンの少年が”特変体”の前に立ち塞がる


「そこをどいてくれない?」


「どかない!!」


「ギャン!どきなさい!わかったろう?ヌーも覚悟しての事だ…!」

族長が俺から”特変体”を守るデモトロンに呼び掛けるも

デモトロンの少年は首を横に振ってから、族長の顔に視線を向け直して

「いやだ!本当は族長だって2人に死んで欲しくないんでしょ?」

「そ…それは……」

「ほら!!やっぱりそうなんだ!!」

「リクさん!早く!!!」

族長は眼を瞑り、これから起こるであろう現象と己の視界を断絶しながら叫んだ。


ーーー忠告ありがとう。ギアーヌ。でもダメだったみたいだ・・・


俺はアニーの方を向いた。


アニーは黙って俺に視線を返した。


続けてセフィーの方にも向いた。


同じくセフィーも黙って俺に視線を返した。


その後俺は討伐対象の”特変体”へと視線を向け直した。


「セフィー、アニー、今からとんでもない事を言っていいか?」


「あぁ」

「どうぞ」


「”特変体”が元のデモトロンに完全に戻る事は無いってんならさ…無理矢理戻す方法を探さないか?」


「リクさん!な…何を行って!」

「そ…そうです…俺の意識もいつまで保てるか…わからない…!」


「族長さん」


俺は族長の方を向いて真っ直ぐに顔を見ながら発言を続ける。


「ウチには創造魔法が使える魔法騎士様が居るんだ

デモトロンの腕力に耐えうる檻を彼女なら創造出来る」


「アンタねぇ、私の創造魔法にも限度があるんだけど?」


「出来るでしょ?セフィーなら…」


これは賭けだ。セフィーの創造魔法技術を信じての賭け・・・。だけど無理ならば、もう次こそは本当に目の前のデモトロンの少年の制止を払ってでも”特変体”を殺さなければならない。


「出来なくはないよ。でも、時間が掛かる」


「どれくらい?」

「多分、2分はいると思う」

「じゃあ」


「だ…ダメだ…!い…今すぐ……!殺してくれ…!うっ……また……ああ!!…あ”あ”!ウ”ワ^ア”ア”ア”ア”ア””””!!!!!!!!!!!!」


「ヌー?うわあっ!?」


"特変体”は叫び苦しみながら、己の事を”ギャン”と呼んでいたデモトロンの少年を片腕で払い飛ばした。


直後、"特変体”の巨大な拳が俺の目前へと迫っていた・・・!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ