配信19枠目 友人と旅行に行ってみた。
今は朝だ。それも、超が付いてもおかしくない早朝。そう、『チョウ』だけにね(激うまギャグ)
はい。場が冷める様な冗談はさておき、今は本当に早朝である。太陽も顔を出してはおらず、深夜に比べれば僅かに明るいか?となるくらいの空の色だ。
この1、2週間は特に騒がしかった記憶がある。弟の転校手続きが終わり、無事に転校したりとか。俺がガワを手掛けた新人達が、2回目の配信を終えたとか。そんなところである。
まぁ、そんな話。今は置いておくとしよう。今日はゴールデンウィークの開始日なのだ。年によっては10連休やら、休みの量に、そこそこの差がある事で定評の時期。まぁ、ニートの俺には関係の無い話だけども。
でも、今年に限ってはそうもいかない様で、何故なら、俺もリア充よろしく旅行に出掛けるからだ。俺は、そこそこリアルが充実しているので、元からリア充なのだが、今回の事で更にリア充度が増した気がする。
目的地は草津。予定では4日間になっている。そして、残念だが弟はお留守番だ。なんせ、予定を立てた時点では、この家の住民では無かったからね。コレはどうしようもない話である。
と言う事で、俺は今からこの家を後にする。合鍵は元々理由も無く作っていたものがあるので、それを渡しておけば良いだろう。て言うか、普通に差し上げよう。この先、無いと何かと不便だろう。
だが、弟はまだ眠っている様だ。当然と言えば当然、何せまだ5時を視界に捉えたくらいの時間なのだから。とりあえず、リビングの机に置き手紙を用意しておこう。昔から字の綺麗さには、高評価だから自筆でね。
嗚呼、旅行には始発に乗って行く。恐らく、めちゃくちゃ混んでんだろうなと言う気持ち。
そして、満員列車の中は、顔がバレない様にしなければならない。その為に、帽子を2つ持っていこう。1つは俺。もう1つは、身バレした事がある癖に、対策を一切講じようとない馬鹿な脳筋プロテインに。
後、5月にしては日差しがあったかいからな。少し前まで長袖必須な気温なのに、今は半袖で十分なのだ。恐ろしい物である。コレも、地球温暖なんたらの所為なのだろう。老後は茹で蛸かな?
まぁ、そんな事言っておいても、俺は年中長袖一択なんだけどね。俺は日焼けに弱いんだよ。日焼け止めも一応常備している。当然、夏でも長袖を着る派。分かる人にはこの気持ちが分かるだろう。肌が赤くヒリついて大変なんだよね。やはり茹で蛸か。
さて、俺の長い長い身の丈話はこの辺りにしよう。そろそろ家を出ないと電車に間に合わないかも知れない。因みに、脳筋プロテインとは駅で合流予定だ。そして、俺の勘が正しければ……
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「アイツ。絶対に5時までに来ないよね」
はい。俺は駅に着いたのに来る気配がしません。知ってた。既読は付いたし、返事も帰って来てるから寝てたりはしてない筈なんだけどね。
「そうだね〜。どうする?賭けてみる?」
さて、この俺の隣にいる青髪のイケメンですが、このイケメンは脳筋プロテインの同級生です。この前、脳筋プロテインに『青』って呼ばれてた人だ。
そして、青くんは不敵な笑みで「賭けてみる?」なんて言っているが、別にギャンブラーな訳ではない。ただ冗談やおふざけが好きなだけである。
曰く、軽口とはベッドで寝る相手。おちゃらけとは常に抱き合って居るのだとか。一体、どんなプロフィールなんだよ。自分から名乗る事じゃないよね。どう考えても。
「何を賭ける?いや、先生なら何を賭けれるかな?」
おい。どうして青くんがその呼び方を使うんだよ?いや、言うまでもなく脳が理解をした。脳筋プロテイン。テメェだな?
「始発に間に合わない。それに『旅費』を賭けますね」
どうせ、元から脳筋プロテインのお金であり、俺のお金ではない。例え、そのお金がどんな風に消え去ろうと、俺の心は痛まない。それに、俺には『保険』が存在している。
「へー、面白いね。賭けに乗った。僕はアイツが間に合わないに『所持金』を賭ける」
「何故に!?何処が″俺は″なんですか…?″俺も″の間違いでしょ。俺と同じのに賭けてどうするんです?」
同じ奴に賭けないのは、こう言う賭け事の基本だろうが!そっちから賭けを持ち掛けておいて、それはないだろうよ!何で、そんな「やれやれ」と言った風に呆れる事が出来るんだよ。
「はぁ…。良い?後輩。よく聞いてよ?僕は勝てない賭けをするつもりは無いんだよ。俺はいつだって、安全ギャンブラーだ」
「だっさ」
思わず口に出たわ。安全な賭けの時点でギャンブラーを名乗るなよ。それに、ミカくんはミカくんで信用ゼロじゃねぇか。どう見ても、親友相手のそれじゃなかったぞ。
「酷いなぁ〜僕のイケメンな顔が歪んじゃうよ?」
「………」
青くんがイケメンなのは同意しよう。それは、紛れも無い事実だ。否定でもしようものなら、俺の感性がおかしいと言う話になる。
だからこそ、沈黙。それが正解なんだ。
「何か言ってよ〜。アイツが来るまで暇なんだからさ〜」
「ん?俺がどうかしたか?」
「なんでお前が!?」
思わずデカい声が出た。なんで居るんだ?どこからともなくひょっこり出て来やがって!この遮蔽物の無い場所で、どうやってここまで?
「なんでって…旅行に行くからだろ?」
「あまりまともな言葉を吐かないでよ。まるで、僕が異常みたいだ」
うわぁ。青さん。それは親友に掛ける言葉じゃないですよ?遠回しにお前は異常って言ってる様な物だしさ…
「そうか…それは残念だったな。俺はお前の事、別に異常じゃないと思うぞ!」
やはり、馬鹿。言葉の意味が通じない。それどころか、煽ってきた相手を慰めている。ほら見ろ。青くんが感動のあまりに、口を押さえて小刻みに震えてるぞ。
つまりは、笑われてんだよお前は。
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「電車って暇だなぁ…」
ガタンゴトンと、定期的に小刻みに震える電車。その中で脳筋プロテインがしみじみと呟いた。
「満員電車の中でする会話か?それ」
そう。今、この電車はめちゃくちゃに混んでいる。それはもう、お腹を抱えて笑えるくらいに。こんな狭さじゃ、抱える余裕なんて無いけどね。
「まぁまぁ、別に良いでしょ?ラギもソラも、心の余裕が足りてないんだよ。ほら見て?俺の顔。余裕がいっぱいでしょ?」
いや。どう見ても、苦しい人のそれなんですけど?荷物を上に置かなかったのが悪い。4日分の着替えを手に持って満員電車は、どう考えても疲れるに決まってるだろ。
後、なんで『ソラ』って呼ぶんだよ俺の事。どこで知ったんだ?その呼び名。その苗字を知ってる人って、マジで限られてる筈なんだけど?
あっ、既になんとなくわかってると思うが『ラギ』は脳筋プロテインの事です。コレは『ミカくん』と違って、ちゃんと本名から来ている。偉いぞ!
「ははっ!イケメンが良いツラだなぁ!?もしや、筋トレが足りてねぇんじゃねぇのか!?この俺が、1からテメェの命日まで。全部を教えてやろうかぁ!?」
「電車内で喧嘩を買うな馬鹿。でも、声を抑えているのは高評価」
流石に声がデカいと、ただの痛い人だからな。そんな奴と知り合いだと思われるのって、実はかなり苦痛なんだよ。俺にまで飛び火する。
その点、今回は俺達にしか聞こえない様な声だ。これには、俺も高評価ボタンを押さざるを得ない。気持ちが良く伝わる様、更に3回もクリックしてやるよ。感謝しろ。
「うるさいねぇ。テレビ裏のチリカスごときが…まさか、この俺に指図でもするつもり?そんなんで一本取れると思わない方が良い。恥…かくよ?」
「はっ、お前の一本なんて興味ねぇな。それは便所のスッポンにもならねぇ…正に″ゴミ″じゃねぇか?ええ?そうだろ?」
「ふふっ。中々、面白い事言うね。もしかして、笑いで一本取るつもりだった?だとしたら、実にナンセンス。才能無いよ?諦めたらどうだい?」
色々と喧しいなコイツら。静かにする事は出来んのか?いや、静かは静かなんだけども。俺の頭上で変な会話を繰り広げないでくれ。お前ら身長高いんだよ。ほら、この混雑の中から1つ頭抜けてるし。180超えた男達がさ、あまり変な会話するなよ。
「ぐへっ!」
「…?」
そして、コレが怒りのダブルエルボー。静かなのは良いが、少しくらいは静かにしろ。後、脳筋プロテイン。お前はダメージを受けてくれ。
「そ、ソラくん?今の、かなり強かったよ?」
「気の所為ですよ。俺が青くんに暴力を振るうとでも?それに、訴えられたくないんですよね。俺。つまり……なんて言うか、俺がやる筈がない。あっ、荷物持つ?」
そう言って、俺は脳筋プロテインの手を差し出す。少なくとも、青くんにはすり替えているのが見えていない筈だ。
「惚けるのが上手い後輩を持ったね。僕は」
溜め息と共に、脳筋プロテインの手だとはつゆ知らず、青くんは差し出された手に荷物を持たせる。脳筋プロテインは馬鹿なので、渡されたそれをきちんと受け取った。
「え?なんで俺?」
「笑」
悪いな。俺は青くんよりも筋力が無いからさ。後1、2時間近くも荷物なんて持てないんだわ。スマソ。
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「よっしゃ!着いた!草津!」
いつにも増して、テンション高いな?このお馬鹿さん。コメント欄に『人類の退化』と表されただけはある。確か、IQがお猿さんと同等なんでしょ?比べるのも、お猿さんに申し訳なくなるけど。
「それで。最初はどこ行くんだっけ?」
「その前にコレ」
そう言って、俺に手渡されたのは1つの一眼レフカメラ。かなり高画質の正に動画撮影用だ。相変わらず、良い機材を使ってますね。コレでは豚に真珠だ。因みに、他意はない。実写動画撮らないから勿体無いなぁ…って意味だ。
「じゃ、パパッと撮ろうぜ。どうする?青は出る?」
「気持ちだけは受け取るよ。全世界にこの美顔を晒す訳にはいかないんもんでね」
「よし。写そう」
「はっ倒すぞ」
良いツッコミだね。だが残念。既に録画は始まっているんだぜ?まぁ、編集する時にモザイク入れるんだけどね。←自分で自分の仕事を増やすバカ
「よし。じゃあ、始めちゃって」
「残念始まってます。どうも。絵師兼、配信者兼、編集者こと、先生で〜す」
一応、俺も写っておこう。これでまた仕事が増えたぞ。さては、俺は間抜けだな?
「誰のチャンネルだと思ってんだ!ミカくんだぞ!」
「え?俺も挨拶するの?友人Aで〜す」
あっ、挨拶はするんだ。なんだ。青くんもよく分かってるじゃん。3人でグループ系配信者にでもなる?できれば、俺は辞退の方向で頼みます。
「と言う事で、身バレ防止の為。顔モザイク2人と、声モザイク1人でお送りします」
こう言う事言うと、編集時に凄く楽。一々さ、字幕を入れるのって面倒なんだよね。まぁ、話したところで字幕は入るんだけども。
「僕、モザイク掛けられるんだ」
「そりゃ当然ですよ。ついでを言うと、周りの人は全員モザイク。俺の負担がデカ過ぎますねぇ…」
まぁ、わざわざ景色を映して、編集の負担を増やしてるのもは俺なんだけどもね!まぁ良いじゃんいいじゃん。ちゃんと、俺が編集するんだからさ。
「なぁ、コレ俺のチャンネルな?後、本題入ろうぜ?」
それはそう。確かに、いつまでも駅の前に居る訳にはいかないよな。さっさと、移動しよう。
「はい。映ってる通り、此処は草津の何処かですね。温泉へ入りに来ました。よし。本題終わり」
「それじゃ、遊んで行くか〜」
さて、楽しい楽しい旅行の幕開けだ。
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弟side。
今日の未明。兄が3泊4日の草津旅行へ旅立った。いつも、騒がしいと言う程では無いが、そこそこ会話は交わしていたが為に、あまりに静かな今の状況は、何処か変な気分になってしまう。
それこそ、兄が仕事と称して、部屋で配信している時も同じなのだが、案外、部屋の中から声が聞こえて来ることもあり、ここまで静かと言うのはこの家に来てから、実に初めての経験かも知れない。
丁寧な置き書きと共に、机の上に置かれた家の合鍵。無くても困った経験は無かったが、それはあくまでも兄が家に居たからであり、兄が居ない今では非常に助かる物だ。この辺りの配慮は素晴らしい。
とは言え、僕はこの4日の間。何処か外に出る予定はない。今は特に外へは出難い状況だし、何より外に出てもする事が無いのだ。外をブラブラするのも、そのリスクに見合うリターンがあるとは思えない。友人に誘われない限り、外に出る事は有り得ないだろう。
僕は、何と無くスマホを手に取った。さて、兄が向かったのは草津だったか。初めて聞いた時は「何処か、聞き覚えのある話だ」そう感じたのは、まだ記憶に新しい。いや、正しくは、そんな話について、見覚えがある。その表現の方が正解かもしれない。
確か、その見覚えと言うのは、とあるSNSで見たのだが、僕にはあまり関係の無い話だろうか。気にする必要もない様に思う。だが、その事が引っ掛かっているのは事実だ。
いや。もしかしたら、またしても僕は何かを見落としているのかも知れない。天才だの、秀才だの、色々と持て囃されて来たが、案外、馬鹿馬鹿しい評価であると思わざるを得ない。何せ、僕は何でもないただの一般人なのだから。
そう考えながら、僕はスマホのメモ帳に何と無く思い付いた文章を綴ってみる。これは、所謂、小説の部類に入る物なのだろうが、内容の半分以上が日記の様な物であり、ただ自分の人生を客観的に綴った物なので、正直言って、人を楽しませる事の出来る物ではない。
だが、もしかしたら、いつかは人を楽しませれる様な展開になるのかも知れない。そんな事を、願うにはあまりに弱い想いを胸に、僕は今日も文章を綴っていく。いつか、この物語の題材が決まる時まで。




