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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまと剣山の大蛇3

 

「なにコレいい匂い。ちょっと食べて行かない?」


 焼きトウモロコシ屋台の前に通り掛かったら、見事にメリーが香ばしい醤油の匂いに引っ掛かった。

 皆呆れるように振り返った。コレが魔物罠だったら真っ先に死んでるぞメリー(お前)


「ねぇっ聖女さまっ買って!」


 自分の金で買わないのかメリー?


「……一本680円お高いですわ……」


 値段を見た聖女さまの眉根にシワが寄った。確かに観光地価格で高いけど、金持ちの聖女さまならなんてことはない金額だ。

 ただ彼女はケチだから、トウモロコシ一本に680円は無駄金と感じ、払うのに躊躇(ちゅうちょ)してしまうんだね。


「……食べたければご自分で買いなさい」

「え〜っ聖女様のケチーッ!」

「ん……」


 その指摘合ってるぞメリー。

 結構メリーが自腹で焼きトウモロコシ一本買ったが、俺も付き合わされ自腹で竜神さまの分を入れて二本購入することになった。ちなみに軽薄な友人の分は知らん。

 しかし、頑なに奢らない聖女さまのケチ精神は揺るがない強い意志として見習うべきであるな。


 俺は買ったからには歩きながら焼きトウモロコシを齧った。


「うん。うみゃい♬」


 甘塩っぱい焼き醤油の風味とトウモロコシの濃い旨味と甘味が口一杯に広がった。

 これは懐かしくもあり童心を揺さぶる大好きな味だ。


『ほう〜祭りの味じゃ美味いのう……』


 竜神さまも喜んでいる。あ、でも芯は食べちゃダメですよ。


 俺たちは入場料を払ってゲートを潜って入山した。周りには冒険者たちが笑顔で通り過ぎて行く。それはまるで楽しげなピクニックだ。

 冒険者達の狙いは剣山固有の蛇型魔物と、どこかに隠されているソロモン王の聖剣だ。まぁ、聖剣に関してはしょせん伝説だから本気で探す奴なんかメリー位なもんだ。


「ねえねぇっ聖剣どこにあるのかな?」

「お前っそんなのマジで信じてんの〜バ、ぐえっ!」

「アンタに聞いてないわよっ!このモブ風情がっ!」


 メリーが松川の顔面を殴った。

 自業自得とはいえ、彼女はヤケにモブ男に厳しい。


『聖剣か……確かに匂うぞい……』


 立ち止まった竜神さまがクンクンと匂いを嗅いだ。まるで竜神さまの嗅覚は犬みたいだな。


「マジでっ!?」

『おうっメリー。聖剣か分からぬが、確かにタダならぬ剣の気配がこの山から感じるゾイ』

「だったら早く探しに行くわよっ!」


『にゃっ!』魔物討伐クエストから脱線してるだろメリー。


『まぁ、落ち着くのじゃメリー。どうやら聖剣はそう簡単には見つからない場所に隠されているらしいのう……じゃが、ワシに掛かれば……ん!』


 竜神さまの目の前をデッカイトンボが横切った。恐らくオニヤンマだ。


『トンボじゃトンボッ!』

「にゃっ!?」


 トンボを追って竜神さまが走り出した。激レアのオニヤンマを前にだから気持ちは分かるが、子供かとツッコミを入れたい。

 俺たちは暴走する竜神さまの背中を追って走り出した。


『なんじゃ……トンボ見失ってしもうたゾイ……』


 結局オニヤンマを取り逃し立ち止まった竜神さまが周囲を見渡した。


「もうっ!トンボなんか捕まえようとして竜神様は子供なんだからっ!」

『なんじゃメリー違うぞ。トンボは焼いて食べると海老みたいで美味いゾイ』

「ちょっ……」


 竜神さまはトンボ捕まえて食う気だったのか……。


「もうっしょうがないわね〜聖女様っ……て……いないっ!」


 振り返ったメリーが話し掛けたが聖女さまの姿はなかった。


「あ、あれっ……聖女様どこ行ったの……?」


 それは聖女さまも同じことを言ってると思うぞ。

 しかし気がつくと、俺とメリーと竜神さまと親友の松川しかいなかった。要するに俺たちはトンボを追って走ったために、聖女さまと紅蜘蛛とはぐれてしまったんだ。


『なんと……困ったゾイ……』

「にゃっ!」


 腕組んで偉そうにしてるけど、アンタのせいではぐれたんだよ竜神さま。


「仕方ないわね。あたしたちだけで先に進むわよ」

「にゃっ!聖女さまたちと合流しにゃいのかメリー?」

「うるさいちびっ子ね。あたしたちだけでも出来ると聖女さまに知らしめるチャンスじゃないの?」

「にゃっ!にゃんと言うポジティブ精神っ!」


 とはいえコレは遭難する駄目なパターンだ。

 山に関して素人の俺たちがグイグイ登って大丈夫なのか心配になってきた。

 せめてガイド役が居れば……。


「どうやら困ってるみたいだな?」


 背後から見知らぬ男性が声を掛けて来た。

 腰に剣を帯刀しリュックを背負ったソロの冒険者だ。年齢は三十代後半くらいで顔は三枚目で無精髭を生やした野暮ったい印象だ。


「アンタ誰よ?」


 早速メリーがニヤニヤする男にツッコミを入れた。


「俺か……俺は、この山を知り尽くす常連のシン・中島ってんだ。よろしくな」

「あっそ」

「……」


 やけに慣れ慣れしいシン・中島の差し出した握手を、メリーは興味なさげに無視した。


「コイツは参ったぜ。しかし、この山を知り尽くした常連の俺の手を借りるのは悪くない手だと思うがなぁ?」


 フラれても諦めないポジティブな男だ。


「なにが目的なの?」

「おいおいっなにがって俺は親切心でお前たちに声を掛けたんだぜ? それを不審者みたいに警戒するなんて侵害だぜ」


 いやいや、中年おっさんが女の子に声を掛けるなんて充分怪しい案件だろ。


「とにかくお前たちは聖剣の……話しはあとだっ!」


 草陰から『ガサッ』と音がして一早く気づいたシン・中島が剣を抜いた。


『シャー〜ー』


 草陰から全長6メートルで丸太並みの胴の大蛇が現れ威嚇した。


「ここいらでは馴染みの魔物のビックスネークかっ!」


『にゃっ!』山の常連のシン・中島が言った。どうでもいいけどアンタも馴染み(同類)だろうが?


「やだっ蛇っ!」

「にゃんと!?」


 蛇は苦手かメリー。しかし、幼女()を盾にするな……。


「ここは俺に任せろっ!」

『シャーッ!』


 果敢にも剣を構えたシン・中島がビックスネークと対峙した。

 自信気だけど本当に大丈夫か?


「スキル発動っボディストップ!」

『ジャッ……』


 シン・中島が発動したスキルでビックスネークの動きが止まった。

 ボディストップって名前からして時を止める系のスキルかな?

 でも停止してるのがビックスネーク一匹のみで、俺たちは普通に動けるからターゲット限定時間止めスキルか?


「俺のスキルは狙った生き物の体内時間を十秒だけ停止させることが出来るんだ」


 シン・中島がそう分かり易く説明してから、ビックスネークが止まっているスキに剣で斬って倒した。


「俺のスキルに掛かればチョロいもんよ……」

「へーっそのスキルについてもっと詳しく教えてくれませんか?」

「んっ……別に構わないが……」


 まただ。離れた場所で見ていた松川がシン・中島に聞いて来た。

 松川が何故そこまで他人のスキルに食いつくのかは不明だ。


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