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ふてぶてしいが100倍可愛いちびっ子サタンちゃまと異世界冒険記  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまと剣山の大蛇2

 

 徳島県に到着してから翌日の木曜日の朝。

 俺たちは早速クエスト地の剣山(つるぎさん)に向かった。


 長時間運転した。メイドのサガネさんと谷川シェフとたこ焼き天使のエイトさんを残しクエストに挑むことになった。

 強者の二人を置いて行くのは少々心細いけど、俺には悪魔騎士クレナがいるし、一応天使の紅蜘蛛もついているし、ちびっ子竜神さまもいるから戦力的には十分過ぎるな。


「人が多いわね……て、言うか冒険者でいっぱいじゃない?」


 剣山入り口を見渡すメリーが驚きゲンナリした。

 確かにそこら中に剣山を目指す冒険者チームで溢れ返っていた。

 まるで観光地だな。


「どうやらこの場所だけは一般冒険者もお金を払えば出入り自由みたいですわね」


 聖女さまが俺たちの人数を数えて入場料金の計算中だ。


「大人980円にちびっ子は無料ですか」


『こらこら』聖女さま。俺と竜神さまが無料だからってガッツポーズとるなよ。

 俺たちは相変わらず金持ってるのにケチ臭い聖女さまに呆れていると、人混みの中から知った奴が大きく手を振っていた。


「おーーいっ!」

「松川っ!」


 ボッチになった親友の松川を受け入れるために、ここを待ち合わせ場所に指定していた。


「久しぶりだな神崎っていうか……ずいぶん見ないうちに変わったな……」

「にゃっ!?」


 高校男子だった俺が幼女の姿にTSしたんだ。そりゃ変わるわ……。

 しかし、松川はなんと言うか普通だな。


「アンタがちびっ子の親友?」

「おっ……赤毛のツインテールしょっ少女っ!」


『こらこら』初対面に指を差すな失礼だろ。


「がっ!?」


 指差す相手が悪かったのか案の定、無礼な松川の左頬をメリーが殴った。


「思った以上に最低な男ね」


 吹っ飛ばされ尻餅ついた松川を見下すように見下ろすメリー。殴られた彼は呆けた顔でなにもしなかったが、普通に警察沙汰になりかねないので俺は焦った。


「や、やり過ぎにゃのにゃメリー……」

「なによちびっ子。コイツはレディの顔に指差す最低男よ。殴ってもお釣りが出る位当然よ」

「んにゃっ無茶苦茶にゃ理論にゃ……」


 小さいなりにその場を取り繕う俺に、立ちあがった松川が肩に触れた。


「いいってことよ……それに、勝気美少女に殴られるなんざ……むしろご褒美だ」

「へっ……変態……」


 キモさ百倍とはこのことで、松川を恐れたメリーが聖女さまの背に隠れ退散した。

 なぁ、松川よ。

 友達の俺まで皆に変な目で見られるから普通でいてくれ。


「俺っサタンちゃま(コイツ)の友達の松川っす。よろしくお願いします」


『にゃっ!』友達のことコイツ呼ばわりするな!


「初めまして松川君。わたくしはこの冒険者チームのリーダーを務めますパルムと申します」

「存じておりますっ松川です。いやぁ〜あ、しかし。白銀の聖女様は有名ですし、お綺麗ですね。はは……」

「……」


 脂の乗った中年営業マンのような薄っぺらい松川のヨイショの仕方に、聖女さまは引いていた。


『ほうっサタンの友達か?』

「えっ……サタンって神崎のことか……てっ!」


 話し掛けて来た竜神さまの姿を見て松川が目を丸くした。なにせ角と尻尾が生えているからな。


『男子高校生だったコヤツの真の姿がこのサタンじゃったらしいのう……』

「マジすか……お、俺は知らずにサタンと友達付き合いしてたのか……」


 俺と距離を取る松川。

 サタンと言えば悪魔の総大将で出来れば近づきたくないよな。


「すっげぇ!」

「にゃっ!?」


 松川は一歩引いてから近づき俺の手を握ってきた。


「サタンと友達なんて俺スゲェ〜!」

「にゃ……」


 厨二かミーハーな奴だな。


 聖女さまが皆を集めて松川を呼んだ。


「とりあえずこの松川君をわたくしのチームに入れることにしました」

「本当スか聖女様っ!?」

「え、ええ……」


 陽キャのノリでグイグイ来るなよ。聖女さまが困っているでしょうが……。


「ちょっとマジで言ってんの?」

「あらメリーは彼を仲間にすることに不満?」

「もちろん戦力になるか知ってから判断するわ」


 メリーがそう言って腕組みすると松川のレベルと職業を聞いた。


「俺のレベルはなんと……戦士レベル15だ」

「ザッコ……」

「おいっ今なんつった……」


 正直なメリー言い過ぎ。

 いつもヘラヘラしている松川は流石に不機嫌になった。


「勿体ぶってなんとレベル15とは話にならないわね。聖女チームは英雄に匹敵するメンツばかりよ」

「ちょっと待てよ。だったらこのサタンちゃま(チビ)もそうだってんのか?」


 だから指差すな松川……。


「ええそうよ。このちびっ子はねぇ、スピードと戦闘力はてんで駄目だけど耐久力があって、しかも悪魔ガチャスキルのおかげであたしたちは何度も助けられたのよ」


 なんだかんだ言って口の悪いメリーは、俺の能力を一目置いているみたいだな。

 ちょっと嬉しいな。


「悪魔ガチャスキルか……それ詳しく教えてくれないか?」

「なによ……今話しているヒマじゃないのよ」


 何故か食い入るように俺のスキルについて聞いてきた松川。だけど、ライバルが続々と入山する光景を見て説明を拒否するメリー。


 何故この剣山に冒険者がこぞって集結するかと言うと、出発前に谷川シェフが言っていたことを思い出した。


『太古の英雄王ソロモンが隠した聖剣が、ここ剣山のどこかに隠されている伝説があるんだ……』


 冒険者の狙うのがその聖剣。メリーが焦っていたのはそのためだ。

 まぁ、そう簡単に見つかるモノでないのだけど、これだけのライバルが通り過ぎるのを見ては焦る気持ちは理解出来る。

 例えるなら、人気商品を購入するために開店前に並び、周りにいる客達全員がライバルに見えるんだろう。


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