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ちびっ子猫口調TSサタンちゃまは悪魔ガチャで頼れる部下を集め、仲間と一緒に異世界大陸を楽しく冒険するにゃん♬  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまと天草市2

 

 東京から出発して熊本県天草市に到着したのは陽が沈んだ時間帯。

 遠いのもあるけど、休憩しながら安全運転で向かったから時間が掛かった。

 運転出来ない俺たちは、車内で遊んだり昼寝したりして本当ドライバーの方々には申し訳ない気持ちだ。


 天草市に入ったエアカーを車輪モードに変形させ港町を走った。

 目的地は温泉宿の霧志多(きりした)亭。江戸時代から続く老舗宿らしい。


 都会と異世界の街並みとは一味違う情緒溢れる天草の街並みを、メリーが窓に張りつき眺めていた。

 まぁ、俺も初めて来たから気持ちは一緒だよ。


「今回は宿に泊まるわよ」

「マジでっ!」


 聖女さまの一声を聞いてメリーが歓喜した。

 確かにこれまでキャンプとか車中泊で女の子には過酷だったからね。

 しかも街中は観光客ばかりで魔物の気配はない。たまに剣を背に背負った冒険者を見かけたけど、やはりここでは違和感しかない。


 エアカーが旅館の駐車場に停車した。


「あのさぁ、本当にこんな街中で魔物が出る訳?」


 ベッドの端に足を組んで座るメリーが聖女さまに聞いた。

 相変わらず目上に聞く態度じゃないな。

 寛容な聖女さまはうなづくと立ちあがった。右手には護身用にも使える十字のロッドを握って。


「政府によるとこの街に魔王の手先が暗躍しているそうよ。ただそれ以外は探ってくれとのことだから時間は掛かりそうよ」

「やった!」


 何故かバンザイして喜ぶメリーは遊ぶ気満々だ。とはいえ、これまでも遊びの延長線で冒険して来たよな。


 車から降りると駆け足で旅館に向かったメリーが立ち止まり振り返ると、俺と竜神さまを手招きして『コレだからお子様は〜』と愚痴を言った。


「早くコッチに来てよ。このちびっ子!」

「にゃっ!」

『そう急かすなメリーよ』


 俺と竜神さまは呆れるように目を合わせた。

 ウキウキでスキップしながら向かったアンタには言われたくはない。


 聖女さまがカウンターでチェックインの手続きをしている間メリーと谷川シェフが会話していた。


「今回の宿代は政府が負担するらしいぜ」

「えっじゃあタダってこと?」


 タダでなくてもメリーが払う訳じゃないのに嬉しそうだな。


「ああ、しかもクエストクリアまで何日も泊まってオーケーらしいぜ」

「マジで……で、でもさぁ、ご飯はどうなるの?」

「お前知らないのか?」

「なっ、なによ」

「いいか良く聞け。日本の旅館はな、朝と晩にご飯が宿泊客に提供されるんだぜ」


 谷川シェフは何故かヒソヒソ声でメリーに教えた。すると彼女の目が子供みたいに輝いた。

 まぁ、十六歳はまだ子供だと思うけど。


「やったあーーっ!」


 凄く馬鹿っぽい会話だったがメリーは素直に喜んでいた。

 気持ちは分かる。宿の次に気になるのがご飯だからね。


 聖女さまがカウンターからキーを持って戻って来た。


「悪いけど谷川様は隣の別室でお願い出来ますか?」

「おうっ構わねぇよ」


 彼は聖女さまから部屋の鍵を受け取ってズボンのポケットに仕舞った。

 谷川シェフが女性に悪戯しない紳士だと分かっていてもやはり

 、男女の部屋は分けるべきだからな。

 それを理解している彼は心良く受け入れた。しかし、元男の俺は女子部屋でいいのか……。


 谷川シェフの部屋に比べ俺たちが泊まるのは大広間だった。そこで全員集合してクエストの作戦会議を始めた。


「政府情報によると天草市内に魔族の秘密施設があるそうよ」

「不確かな情報だな。で、聖女様はどうやって人間に紛れた魔族を見つける気だ?」


 畳の上で胡座をかく谷川シェフが聞いた。

 その問いに対し聖女さまは『分からないわ』とはっきり言った。

 まさかの闇雲ノープラン作戦だ。


「マジか……てことあぁ……俺たちが街をぶらぶらして魔物が仕掛けて来るまで待つのか……」

「一応探りはするけどそうなるわね」

「……時間ねぇんだろ? 大丈夫か……」

「さぁ、何故急ぐのかわたくしはサッパリ……」


 そう言って聖女さまがエイトさんをチラ見した。すると彼女は視線をそらした。

 あの勿体(もったい)ぶった天使本当イライラする。秘密なんか言ってもいいのにさ……。


「で、コレは今回の報酬です」


 頃合いを見て聖女さまが俺以外の仲間に(・・・・・・)報酬の明細が入った封筒を渡した。


「ラッキー!」


 メリーだけ現金支給の封筒を握って喜んでいる。しかし聖女さま。

 誰か一人忘れてませんか?


「中身はあとで確認するようにお願いしますね。では本日は明日に備えてゆっくりしてくださいね」


「にゃっ……」


 報酬を渡し会議を締める聖女さま。

 しかしなんだ……俺を犬扱いするのか……思わずポカンと口を開けて呆然としていた。


「ああ、そうそう忘れていたわ。大活躍してくれているペットにもお小遣いやらくちゃね」

「にゃっ!」


 ペット扱いなんて冗談にしても酷すぎると俺は二度見したら、聖女さまは『ふふっ冗談よサタンちゃま』と訂正して給料封筒を渡した。

 まぁ、ちゃまづけで茶化すのはどうよと思うが、とりあえず初報酬を貰えた。


 少し厚みのある封筒だ。

 聖女さまには俺の口座番号とか教えてないから現金だ。

 しかし、西暦2320年になっても現金が使われているのには理由があると、小学校の授業で習った記憶がある。

 それは三百年前に世界中を巻き込む大災害があって、復旧まで電子決済が使用不要になったため今でも現金が流通しているのはその有事のためらしい。

 それとメリーみたいな異世界人が来ても、現金があればすぐに買い物出来るしね。


「んじゃ〜〜ぁ、俺はしばらく寝させてもらうぜ」

「長い運転ご苦労様です」


 あくびをかきながらゆっくり立ちあがった谷川シェフが、聖女さまに声を掛けると隣の部屋に戻って行った。

 なんだか親戚の家にいるおっさんみたいだな。


「ちょっとちびっ子」

「にゃっ!?」

『なんじゃっ!』


 メリーに声を掛けられて俺と竜神さまが同時に返事した。すると『どっちもよ。今から買い物に行くわよ』と言った。

 彼女は空いた時間を利用して周辺を散策してついでになにか買いたいらしい。

 で、俺を連れて行くのは子守りの仕事と、お金の使い方を教えてもらうためらしい。

 素直じゃない本人から直接頼まれてないけどなんとなく分かった。


 そんな訳で俺と竜神さまとメリーの三人で、夕方の天草市を散策することになった。


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