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サタンちゃまと勇者アシオン一行と再会

 

 丁度いいタイミングで、ちびっ子勇者アシオン一行を乗せた空中ガレー船が公園に着陸した。

 シャクだがカッコいい船だから、ちびっ子たちが大はしゃぎで、俺は騒ぎに乗じてカニグモ食わずに済みそうだ。

 だから今回ばかりは勇者一行に感謝する。


 ガレー船の甲板からちびっ子勇者が飛び出して来た。すると歓声があがり凄い人気だ。

『う〜む』ちょっと嫉妬心が湧くな。


 アシオンがキョロキョロ見渡す。すると俺に気づくと目を丸くして指差した。


「あー〜ーっ! サタンちゃまだぁーーっ!?」


 デカい声で呼ぶなよ。皆俺の方を振り向いたじゃないか……なるべく目立ちたくないんだ。

 けど俺って水色の髪で可愛いから、嫌でも目立つんだ。

 自画自賛じゃないよ。


 アシオンは甲板の上から飛び出し一回転して着地すると、忙しなく走って来た。


「サタンちゃまはいつの間に魔王島に上陸したでありますか?」

「ついこないだにゃ」

「むむむっ、負けないでありますっ!」

「にゃんにゃっ急に!」


 眉根にシワを寄せたアシオンに詰めよられた。相変わらず俺をライバル視してる。こっちはそんな気がないのに、迷惑な話だ。


「姉さんっあまり迷惑掛けてはいけませんよ」


 妹のグレイフルが姉アシオンをなだめるように、うしろから肩に両手を置いた。

 ほぼ大人に成長した妹と、ちびっ子の姉はあべこべ姉妹だな。


「こらっグレイフルッ! 自分はサタンちゃまに迷惑など掛けとらんぞっ!」

「そうでしょうか……お友だちが少し困っている様子だと……」

「『友だちっ!?』」


 俺とアシオンが同時に同じことを発言した。そしてアシオンと顔を見合わせた。


「別に友と思ってにゃいが……」

「あーっ!」

「にゃんにゃっ!」


 また指差した。


「それはこっちの台詞であります。サタンちゃまは自分のライバルであります」

「にゃにゃっ♬ アタチはライバルとは思ってにゃいがにゃ」

「なんですとっ!」


 アシオンが俺の襟を掴んだ。


「ちびっ子同士なにを戯れている」


 ガレー船のタラップからゆっくり降りて来た魔女ドルチェルが言ってきた。そのうしろに英雄ガルドがいる。

 そう言えばコイツら三百年前から生きてるな。

 ドルチェルは魔女だから理解出来るが、ガルドはなんで不死なのか謎だな。

 まぁ知らんけど。


「誰がちびっ子にゃ!」

「ウチの勇者と貴様しかおらんだろたわけが」

「にゃぐっ……」


 澄ました顔でドルチェルが杖の先を俺に向けた。


「ところでまさか貴様も魔王島に上陸していたとはなぁ……でっ、一人のようだが、白銀の聖女はどうした?」

「……海峡の上空ではぐれたにゃ」

「海峡の上だと……なるほどあの空飛ぶ車でか」

「いにゃっ、それは前半で後半は戦艦にゃ」

「戦艦だと……海上か?」

「いにゃっ、空にゃ」


 俺は空に向かって指差した。

 するとドルチェルが首をかしげ、怪訝な表情を浮かべた。


「ふっ馬鹿め、空飛ぶ戦艦などあってたまるか……んっ?」


 巨大な影がドルチェルを覆った。


「なんだっ!?」


 トンガリ帽子を人差し指であげ彼女が空を見上げると、俺たちが乗っていた天使軍の戦艦(レインボー)不死鳥(フェニックス)号が上空に浮かんでいた。

 目を丸くするドルチェル。

 流石の魔女も空飛ぶ巨大戦艦に驚いた様子だ。


「来たにゃ来たにゃっやっと来たにゃっ♬」


 戦艦に恐れおののく市民たちを他所に俺は、ピョンピョン飛んで両手を振った。


「サタンちゃまっアレはなんでありますかっ?」

「にゃんにゃアシオン? 自分らのショボい船と比べて悔しいかにゃ?」

「なにを言うでありますかっ!」


 アシオンが俺の両肩を掴んだ。


「にゃにゃっ♬ 勝ったにゃ」

「フンッ、得意げに話しているが別にお前が所持する船ではないだろ?」

「にゃにっ……」


 いい気分なところをドルチェルが水を差す。


「しかしこの戦艦見覚えがあるのう……確か三百年前、我が先代勇者アルベード様とこの世界に来て、貴様と戦った時に味方した天使の戦艦だな」

「良く覚えてましたね魔女ドルチェル様」


 配下の天使騎士と共に、虹不死鳥号から降りて来たユウト艦長が声を掛けてきた。

 配下はもちろんのこと、ユウトの美貌と凛々しい軍服姿に市民たちが見惚れていた。


「んっ、誰かに似ているが……初対面だな……」

「申し遅れました。僕は虹不死鳥号艦長ユウトと言います。今は亡き初代艦長ユウキの娘です」


 ユウトが敬礼しながら名乗った。


「なるほど、どうりで似ているわけだ。しかしあの艦長死んでいたとはな……おっと、我の名はドルチェルだ。巨大な悪を倒すためお互い協力しおうではないか」


『コッチ見んな魔女め』倒すべきは俺じゃなく、魔王レクイエムだろ。


「ちょっとちびっ子ここに居たんだ……心配したのよ」


 皆と一緒に降りて来たメリーが呆れるように俺に言ってきた。

 しかし、この女が心配していたとは意外だ。


「メリーッ!」

「ちょっと来んなっ!」

「にゃっ!?」


 メリーに駆け寄り抱きつこうとしたら避けられた。こんな可愛い子を避けるなんてあり得ん。


「もうっ風呂入ってる? ばっちい身体で抱きつこうとしないの!」

「にゃんにゃ、二日程度風呂入んにゃくても平気にゃっ」

「信じらんない。アンタね〜毎日入りなさいよ」

「ぐにゃっ……メリーはお風呂好きにゃ」

「それよりこの街はなんなの……」

「にゃんにゃ、知らにゃいで来たのかにゃ」


 丁度聖女さまも来たのでコイツらにことの経緯を話すことにした。


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