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ふてぶてしいが100倍可愛いちびっ子サタンちゃまと異世界冒険記  作者: 大空司あゆむ
日本クエスト編

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サタンちゃまとレストラン

 

 赤坂の駐車場に車を停めて飲食店を探すことになった。今回はクエストではないのでサガネさんも一緒の四人仲良く外食だ。

 ただその行く途中、俺も含め食の趣向違い故に揉めた。


 先頭を歩くメリーが振り返るとイタリアンレストランに指を差した。これはまぁ、高級ではない庶民派のチェーン店だ。


「あたしファミレスって言うコッチのレストラン食べてみたい」

「あらメリー。どうやってレストランを食べるつもり?」

「んっ……質問の意味が分からないわ……」


 聖女さまの質問の意味をイマイチ理解出来ないメリーが首をかしげた。

 まぁ、俺は聖女さまの質問理解出来るよ。メリーが言う『レストラン食べてみたい』って『で』が抜けていてこれでは建物そのものを食べる意味になるんじゃないかな?

 他の例えで言うと『トイレに行きたい』を『に』抜きにすると『トイレしたい』になる。まぁ、単なる揚げ足取りだけど、聖女さまは真面目だから間違いを修正したかったんじゃないかな……いや、聖女さまって真面目かぁ……。


 俺は小さな頭をプルプルと横に振った。

 ここ数日、聖女さまと冒険を共にして高貴で清楚なイメージがもろくも崩れ去った。

 あの女(ひと)金にがめついし、陰では口も悪いしゲンコツするし人を犬呼ばわりするし本当最悪の……。


「あら〜ぁ、顔に出てるわよ」

「にゃっ!」


 聖女さまが俺の顔を覗き込んだ。口を三日月みたいに笑って目はマジだ。

 もしかして読唇術かなにかで心の悪口を聞かれた? 無茶苦茶言ったからなぁ、マジで殺されかねん……俺は青ざめた。


「なに人の顔見て驚いてるの? 全く失礼な犬ね」

「……にゃうっ」


 失礼なのはアンタだろ。


「駄目よ今日は高級レストランに行くのですから」


 聖女さまは肩をすくめ安っぽいファミレスは駄目だと言った。

 なんだてっきり悪口聞かれたと思った。それでホッとした俺は残念そうな顔で落胆し演技した。


「えっ!高級レストランっ? 行く行くっ!」


 メリーが乗り気だ。しかし気分をコロコロ変える忙しい女だ。


 それから俺たちは赤坂周辺を一通り見て周ったが、どこも決定打に欠け決めかねていた。

 すると上機嫌な聖女さまが人差し指を立てて言った。


「仕方ありませんね。この場合裏路地にいい隠れた名店がありますよ」

「分かったわ……なんでもいいから早く店に入りましょう……」


 生気が抜けた表情のメリーが腹を手で押さえ返事した。うるさいこの女も空腹には勝てないみたいだな。


「あらっ」


 聖女さまが足を止めたその先には一軒の小じんまりしたレストランがあった。

 木で出来た看板に『ジビエ料理のまほろば』とそう書かれていた。


 ジビエって確か、自然から狩った獲物を食材にする料理。だから食材は主に鹿とか猪のような肉料理メインだ。

 そうなると俺の好きなハンバーグもメニューにあるよな。だから俺は目を輝かせ賛成した。


「アタチもここがいいにゃっ!」

「あらっ……さっきチュームやったでしょ?」

「にゃっ……!」


 チューム食ってないし猫じゃない。

 そのあと聖女さまはノーリアクションでジビエレストランに入った。コラ!フォローしろっ!


 ジビエレストランまほろばの店内は、木目調の内装と家具で落ち着いた雰囲気だった。


「いらっしゃい」


 やけに軽い物腰のコックさんが出て来た。

 日焼けした肌の筋肉質の身体に、ツーブロックショートヘアにアゴ髭を生やしたワイルドなナイスガイだ。

 しかし彼はどこかで会った気がした。だけど思い出せない。すると彼の方から『あっ!』と言って指差した。


「あの時の聖女様かい?」

「ええ確か、孤児院で出会った料理人の谷川剛さんですね?」

「ああそうだ。しかし嬉しいね〜っこの店に入ったのは偶然かい?」

「ええそうよ」

「そうか。ならば安くしとくから食ってけ」


 谷川シェフが両腕を広げて歓迎した。俺たちはカウンター席に座った。俺が左端で隣には聖女さまが座り、その隣にはメリー、サガネさんの順に座った。


「へへっ丁度鮮度のいい鹿肉と猪肉を手に入れたところだぜ」

「それは全部貴方が狩をしたモノですか?」


 聖女さまが谷川に聞いた。


「もちろん全ての食材は、俺が日本中駆けまわって手に入れた天然モノさぁ」

「へえ、凄いわね。ところで狩の対象は在来種だけ(・・・・・)でしょうか?」


 聖女さまが妙なことを聞いた。すると谷川さんは困ったようにうしろ頭を掻いた。


「いやぁ〜〜あ、確かに魔物も狩りますけど店では出してませんね」

「ではどこに……」

「こいつは困った質問だなぁ聖女さま……あまり大きな声で言えませんが、政府や金持ちや闇市業者などが俺が狩った魔物の肉を高く買ってくれるんです。だから店の分まで確保出来ないんだ」

「……そんなに稼いでどうするおつもりですか?」


 温和な顔で聖女さまは際どい質問をした。金が絡むと真剣になるなぁ彼女。


「いやぁ〜実はねぇ……俺は将来どうしても異世界大陸に行かにゃいけない理由がありやしてね……しかし異世界大陸に行くには結構な金が必要になる。だからこうしてヒマさえあれば魔物を狩ってるんだ……」

「……そこまでして異世界大陸を目指す訳は?」


 何故か聖女さまは食い入るように谷川シェフに聞いた。別に理由なんて野暮なこと聞かなくていいのに俺はそう思った。


「悪いな……理由は聞かないでくれ……」


 谷川シェフは少し淋しげな表情を浮かべ、壁に掛けられた家族写真を見つめた。

 そういえば店内は静かだ。家族がいるなら店の手伝いに顔を出しても不思議じゃないのに彼一人だ。


「じゃあっおまかせでいいかいっ?」

「ええ、任せるわ」

「あいよっ少々お待ちを」


 谷川シェフは肉を冷蔵庫から取り出して調理始めた。

 今から手作りだから料理完成まで時間がかかりそう。その間聖女さまは今回の報酬の話しを始めた。


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