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竿斬りの舞  作者: 凪子
第六夜

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61/146

61.

「まさか御前は」


鉄は、飲みたくないものを無理やり飲み込まされたような表情で頷いた。


「原因不明の奇病だ。分かっているのは、このままでは長くないということだけ」


ぶつりと言葉を切って黙りこむ。


沈黙には、これ以上語りたくないという意思が明確に込められていた。


あの女帝が――タフで美しく、およそ何にも負けそうにない、彼女が。


「竿は、誰のものでもいいというわけではない。およそ一千万に一つの確率で、その効力を発揮する伝説の竿があると言われている。確認には十ヶ月ほどを要する。SPOが我々から竿を盗んだのも、おそらくその伝承を知っているからだろう」


伝承というより、それではまるで都市伝説ではないか。本気でそれを信じているなんて。


舞にとっては、たかが竿だ。大の大人が、血眼ちまなこになって取り合うようなものだとは思えない。まるで狂気の沙汰だ。


けれどその神話を信じ、現実に持ち込んでいる人間が数多くいるのだ。


それも、社会的地位の高い人間が、そのための団体まで組織して。


「悪夢のような話ですね」


そして最も恐ろしく哀しいのは、自分もその悪夢のような話の、紛れもない当事者であるということだ。


鉄は少し平静を取り戻したのか、いつもの無表情に戻った。


「ともかく君は、今までどおり我々の指令に従ってくれればそれでいい。こうなってしまっては、竿塚から竿を盗み出した犯人を直接たたくしかないからな。そうしなければ、いくら竿を斬ろうと、片っ端からSPOに横取りされてしまう」


「SPOも北山組も、既に調べはついているのでしょう。どうして、Kの正体が分からないのですか」


日向野の情報網ならそれくらい簡単なはずだ。


そもそも、ここまで犯人探しに手こずること自体信じられなかった。

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