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竿斬りの舞  作者: 凪子
第六夜

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59/146

59.

舞は最初、鉄が冗談を言ったのかと思った。


だが彼の顔は、からかうどころか大真面目だった。


「社長が?」


形式上の雇用主であるとはいえ、今まで鉄は竿斬りの指令に関して一切口を挟まなかった。


標的ターゲットの詳細を握り、舞に細かい指示を出していたのはいつも女帝であった。


復讐を請け負うビジネスというのは、いかにもやり手である女帝の考えそうなことだ。


てっきり女帝を主体にこの事業は動いているのだと思っていた。


竿を破棄せず保管するのも、女帝の収集癖か何かだと高をくくって、今まで気にも留めてこなかった。


竿塚から竿が忽然こつぜんとなくなった、あの日までは。


物問いたげな舞の視線をするりとかわし、鉄は朴訥ぼくとつとした口調で話しだした。


「前にも言ったろう。日向野は男への制裁を秘密裏に請け負い、報酬と引き換えに復讐の手助けをしている。だが実際は、それは建前たてまえにすぎない。竿を斬ることが重要なんじゃない。切り取った竿の有用性ゆうようせいこそが真に重要なのだよ」


「有用性、ですか」


一体、竿にどれほどの価値があるというのだろう。


舞にとっては、それは忌むべき異物でしかない。


悪趣味な人体収集家に闇ルートで売り飛ばすくらいしか、活用する方法がないように思える。


だが鉄は、あくまでも真顔で頷いた。


「そうだ。といっても、君は決してこのような話を信用しないだろうが」


「社長は竿を使って、一体何をしたいのですか」


「それが人間の寿命を大きく延ばす特効薬だと言ったら」


舞は目をみはり、やがて腕を組んで冷笑した。


「何を言い出すかと思えば……ふざけるのも大概にしてください」


社長はファンタジーにでも耽溺たんできしているのだろうか。


そうだとしても、とんだ悪趣味な妄想だ。


舞は軽蔑を込めて鉄を見下した。

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