表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竿斬りの舞  作者: 凪子
第四夜
42/146

42.






翌日、日向野本社へ向かっていた舞に声をかける人物があった。


御剱みつるぎさん?御剱さんじゃないか!」


明るく弾んだ声でて駆け寄ってこられ、舞は反射的に身構えた。


「誰?」


見覚えのない少年に、鋭く詰問きつもんする。


少年は照れたように頭をかいて笑った。


「そっか、覚えてないか。でもやっぱり御剱さんだ。あのときから変わらない、綺麗なままだ」


舞は顔色一つ変えず、平坦へいたんな声で繰り返す。


「あなた誰?」


「俺だよ俺。くぼっちだよ!」


黒くカールした髪に、Tシャツにジーパンをいている。


笑うとえくぼができ、愛嬌抜群だった。


「もしかして……久保田君?」


「そうだよ、思い出してくれた?六年のとき、同じクラスだった久保田だよ」


舞の顔が警戒から安堵へ、そして切ない色へと変わる。


「俺、みんなと違う中学に入ったから、どうしてるかなってずっと思ってたんだよ。おとなしい感じの子と仲よかっただろ?ほら、あの、石原さんだっけ?」


「石田朋子のこと?」


「そう、石田さん。連絡とろうと思ったんだけど、あのころ携帯とか持ってなかったから、うやむやになっちゃって。こんなところで会えるなんて思わなかったよ。家近くなの?」


「ええ、まあ」


舞は曖昧に言った。


久保田くぼたは小学校のころの思い出話などを嬉しそうに語っていた。


それらは舞が宝物のように心の中にしまっているものばかりで、懐かしさに息が詰まりそうだった。


「ごめんね。話したいことはたくさんあるけど、私これから用事があって」


「そっかそっか。こちらこそ、引き止めてごめん」


久保田はあっけらかんとした笑顔で言った。


屈託くったくない明るさは、舞の心に垂れこめた雲を吹き飛ばす風のようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ