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26.
萌はこうべを上げて女帝を見据えている。
「御剱の執事は全て、ここにいる天河の旗下にある。ゆえに全ての行動は妾に筒抜けじゃ。仮に舞が自分付きの執事に独自の命令を下そうとも、最高権限を持つ妾が命じれば、そちらが優先される」
「つまり、今回の件は御剱に関わる者や執事による犯行ではないと?」
「そなたとて、それが分からぬわけではあるまい。第一、リスクを負って竿を得たところで、御剱に利は一つもない。とても得策ではあるまいよ」
「そのようね」
女帝は重々しく頷いた。
「とはいえ、あなたが自らここへ来たということは、何かつかんでいるのでしょう?」
舞ははっとして萌を見た。
「御剱の情報網を舐めてかからぬことじゃ。日向野と違ってこちらは悠久の昔から、この地に根をおろして生きてきた一族。調べようと思えば一粒の塵さえ漏らしはせぬ」
「で?一体どこの誰の仕業なの」
萌は不敵な笑みを浮かべると、人さし指を立て、
「これは貸しじゃ。いずれ返してもらうからの」
女帝は喉元で言葉を飲み込み、軽い溜息をつくと、
「……好きになさい」




