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竿斬りの舞  作者: 凪子
第二夜
16/146

16.

「この男は女の着がえや風呂を盗撮し、写真や動画をホームページにアップロードしてスポンサーから金を受け取っているようじゃ」


萌はいまいましげに顔を歪め、


「救いようのない外道じゃな。このような劣悪種に竿を所有する権利などないということを思い知らせてやらねばな」


あどけない顔には嫌悪感がありありと滲んでいる。


小さな唇から「盗撮」「外道」などという言葉が飛び出してくるのは、はたから見れば奇異な光景である。


「今回はコンビニ店員として潜伏し、標的に接近するということでしょうか」


「それも良いが、大学と違って潜入の際に面接があり、履歴書や顔写真が残ってしまうという難点があってな。コンビニという小さなコミュニティの中では、そなたの顔も覚えられやすい。リスクの面を考えても、今回は辻斬りの形をとろうと思う」


舞は唇を噛んだ。


辻斬り。それは、男が最も無防備な瞬間――小用や着がえの際など――に音もなく忍び込み、竿を頂戴するということである。


偽装工作の手間が要らない分、リスクも高く、失敗は許されない。


「ターゲットのシフトを入手した。これから一週間コンビニを観察し、川村に最も隙ができ、なおかつ店内が手薄になる時間を狙い撃つのじゃ。できるな?舞」


「承知いたしました」


席を立とうとした舞を、萌の声が呼びとめる。


「ところで舞。ディズニーランドへは誰と行ったのじゃ?」


舞の足がぴたりと止まる。


萌のことだ、把握していて当然だろうに、どうしてこのような質問をするのだろうか。


「大した者ではありません」


萌は扇で口元を隠してころころと笑い声をあげた。


「そうか。大した者ではないか」


舞の目を見つめ、凄みを帯びた顔つきで告げる。


「気をつけるがよい。そなたが気を許してよい相手は、この屋敷の者をおいて他にはおらぬ。そのこと、しかと肝に銘じておくのじゃな」

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