17.
時折萌は、予知とも予言ともつかぬ意味ありげな言葉を舞に投げかけることがあった。
当座は意味を理解できないことでも、振り返ってみると必ず的中するのであった。
この奇異で禍々しい力を得てから三年が経つ。
誰に言われるまでもなく、自分には敵が多いことを舞は十分に自覚していた。
だが朋子だけは舞のそばを離れていかなかった。
その唯一の安らぎさえ無惨に踏みにじられる未来が、萌には視えているのだろうか。
彼女の口から出たもう一つの単語、狭山コーポレーションについても気にかかる。
いかにも高級そうな車が歩道に寄って停車し、音もなく窓が開いた。
「御剱のお嬢さんじゃないの」
女帝は大胆に襟を抜いた黒地に金の刺繍が施された着物を着こなし、その上に豪奢な白い毛皮を羽織って、まばゆいばかりの笑顔で言った。
「奇遇ね、こんなところで会うなんて。ここにいるってことは、お仕事は引き受けてもらったと思っていいのかしら」
「はい。これより任務に向かうところです。御前はどちらへ?」
白い耳たぶに流星のようにきらめくダイヤに目をとられながら、探るように尋ねた。
女帝は軽く肩をすくめると、
「交渉よ。最近、業界内でシェアを伸ばしている企業があってね。おかげで夫婦で過ごす時間もないのよ」
いたずらっぽく微笑む女帝から、舞は思わず目を逸らした。
「じゃあ、私は行くわね。終わったらいつものように鉄に引き渡しておいて」
「了解しました」
「今度一緒に食事でもしましょうね。子猫ちゃん」
堂に入ったウインクをよこすと、女帝を乗せた車の窓は閉まり、走り去った。




