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竿斬りの舞  作者: 凪子
第二夜
14/146

14.

自家用車で屋敷に戻った舞は、帰るやいなや萌の居室へ出向くよう求められた。


「藤城。その顔は」


廊下を歩きながら、舞は藤城の左頬を指さした。


痛々しく腫れたあとがあり、大きな湿布が張ってあった。


「見苦しいものをお見せして申し訳ありません」


「殴られたのね。天河に」


藤城の沈黙は、何よりも雄弁に真実を物語っていた。


「ひどいことを」


「いいえ。身分をわきまえず、天河様に逆らったわたくしが悪いのです」


「待っていなさい。いずれあなたを筆頭執事にしてあげるから」


萌が当主の座を降りれば、天河の地位も筆頭執事から上位執事へと格下げになる。


筆頭執事の地位は、新たに当主に立った人間の執事が継ぐことになる。


つまり舞は、萌に代わって当主の座につくと言ったも同然なのであった。


「いいえお嬢様。わたくしはお嬢様が気にかけてくださった、そのお心遣いだけで十分でございます」


「欲がないのね、藤城は」


「はい。永久に舞様のおそばに置いていただくことだけが、わたくしの願いでございますから」


よくそんなことが言えるものだ。このような異能いのうを持った化け物に。


誠実な表情の青年を、舞はめた目で見つめた。

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