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竿斬りの舞  作者: 凪子
第二夜
12/146

12.

「こっちだよ!早くはやく」


笑いながら小走りする朋子の手を取り、舞は優しく微笑み返す。


日曜日の東京ディズニーランドは、祝祭しゅくさいの空気に満ちていた。


地上に造られたかりそめの楽園で、人々は浮世うきよの苦しみをつかの間忘れることができる。


道行く人の何とはなしに浮かれた様子を眺め、舞は目を細めた。


ビッグサンダーマウンテンの前には人だかりができ、むわりとした熱気が立ち込めていた。


「久しぶりだね。二人で遊びに来るの」


「朋子、絶叫系乗れるようになったの?」


「それは小学校の時の話でしょ。いつまでたっても持ち出すんだから」


「あの時の朋子ったら、ずーっと私の腕にしがみついて泣いてたね」


「もう。舞の意地悪」


頬を染めている朋子を見て、舞はいたずらっぽく笑う。


「そろそろお昼だよね。お腹すかない?」


小花のあしらわれた腕時計を見て、朋子は言った。


「言われてみれば、ちょっとすいたかも」


「じゃあ私、そこでチュロス買ってくるから待ってて」


「それなら私が」


「いいからいいから。ちゃんと並んでてね」


朋子は舞の肩を押して列に並ばせると、身軽に走り去った。


取り残された舞は、しばし手持ちぶさたにスマホを見る。


独り(ひとり)でいることは、舞の日常だった。


孤独は影のように常にそばにあり続けるもので、改めて苦痛だと感じることはなかった。


しかし今、水が沁みこんでくるように理解する。


見知らぬ人たちで溢れ返ったこの世界で、これからずっと、たった1人で生きていかなければならないのだと。


うつむいていると、背後から突然肩をたたかれ、舞は身構えた。

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