5 魔法学院の門を過ぎる
置いていかれちゃったなあ。
どうしようか、これ。
ユナが俺を追い越してから5分程が経とうとしていたが、未だ妙案を思いつくことはなかった。
まあ、あの様子だときっと前しか見てなかったんだろうな。今の俺、少し小さくなるスキルを使ってるし。
クヨクヨしてても仕方ないよね!
こうなったら先回りだ!
その頃ユナは……。
「今日から魔法学院。楽しみだなぁ!」
ミミの事は一切考えて無かった。
俺は【サーチ】で、魔法学院の座標を特定すると、そこへ【テレポート】した。
既に何人か制服を着た生徒が何人か見られる。変に俺を拾ったりしないよう、名前を書いとかないとな。
ちなみに俺の今の姿は小さな小物入れに見えるようにしている。実際の中身は異空間になっていて、いくらでも収納できるんだけどね。
肩掛け紐にミスリルでタグを生成し、"ユナ"と名前を刻む。そしてこれを目立つように金色で縁取って、蒼白く点滅するようにした。
……この点滅は、あとで消しておこう。
しばらくすると、ユナが姿を見せた。
ゆっくりと歩いているな。どうやら途中でバテてしまったらしい。
そこまでやっても俺の事を忘れるのはひどくないか!?
まあ、流石に俺に気付くだろう。
正門の端っこに俺はちょこんと居る。
今度は素通りされる訳にも行かないので、念話で思念を飛ばそう。
やがてユナちゃんが門の前へ来る。
『ユナ、おいユナ!』
「え、誰?」
ユナは周囲を見回すが、声をかけた人らしき影は見えない。
「私の勘違いかな?」
『ちげーよ! おま、置いていきやがって。ミミックのミミだよ。門の端っこを見ろ!』
あ、ユナと目があった。
「置いていってごめんなさい。」
『わかればよろしい。』
「すっかり忘れてた。」
『気がせくのは仕方ないさ、これから気をつけな。必要なものは全部俺が収納してるから安心してくれ。』
「うん、ありがと!」
ユナは俺をヒョイと持ち上げると、肩掛け紐を肩へ通す。
これだよ、これ。
俺はこの瞬間を待ち望んでたんだ。
ユナの母さんに持ち運ばれてから、女の人に運ばれるのが癖になっちまってな。まったく困った性癖だぜ。
まあ邪な想いじゃなくて、なんとなく安心するって程度だけどな。
「あ、私の名前のタグだ!」
『そこに気づくとはお目が高い。』
さっきから目立つようにしてたんだがな。
「うん、すっごく可愛い。ありがとう。」
『気に入ってもらえて良かったよ。』
そして俺たちはユナの教室へ向かう。
着席番号を確認し、席へ座る。
辺りの生徒達はどこか落ち着かない様子でいる。友達ができるか心配なのかな。
だがユナも同様のことを思っているようだ。
『大丈夫だ、友達はたくさんできるさ。』
「そ、そうだよね。ありがとミミ。」
始まりを告げるチャイムが鳴ると、メガネをかけた、いかにも偉そうといった先生が教室に入ってきた。
ダンジョンの宝箱からは、色々なアイテムが出るらしい。鉄の箱からは下級スキルブックや中級ポーション、鉄の魔剣などが確認されている。




