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異世界に転生して虚弱体質の村人になった俺が、唯一頼ることができるのはカプセルでゲットした魔法少女だけだった。  作者: ぢたま
一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話
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一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話12 - 魔法少女の真実

 一章 虚弱体質村人幼児がスライムに出くわして死にかけた後、魔法少女をゲットする話12 - 魔法少女の真実


 俺は前世の記憶中にあったアニメの知識で、魔法少女と呼んでいた。

 その正体を本人の口から聞きたかった。

 ミコはもう一度俺の手を取り、顔を寄せてくる。

 近くから見ても、ミコは間違いなく美少女であったので、まったく悪い気はしない。

 五歳児とは言っても中身はおっさんなので、これほど近くに来られると本能的に反応してしまうようだ。


「アレのことを、あたしたちはリギンって呼んでる。リギンは人を食べるの。食べても消化はしない。引き裂いてぐちゃぐちゃにして、死んだら肉の塊なった死体を吐き出す。どこから来て何が目的でそんなことをやっているのか、誰もわからない。ただ、人にはリギンを見ることはできないし、人の持っているどんな武器もリギンには通用しないの」


 あのモンスターはリギンという言うらしい。

 今聞いたことが正しければ、かつての俺が気がついていなかっただけで、リギンは存在していた可能性もある。

 実際に話だけを聞いたなら、くだらない都市伝説として聞き流していたことだろう。


「ミコ、君はピンク色の光を身に纏っていた。アニメキャラのような服を着て、空を走ってきた。有紗(ありさ)は金色の光を身に纏い、金色の弓から金色の矢を放ち、リギンを斃し僕の左足をぐちゃぐちゃにした……。君たちって、一体何者なの?」


 これこそが、俺が一番確認しておきたかった質問であった。

 俺が、命の危機に晒された時に現れたカプセルは、自分の命を守るためには、なんの役にも立たないそんな代物だった。

 そもそも、一体なんのためのものなのかも分からなかった。

 なのに、そんなカプセルに不可思議なことが起こった。

 今わかっているのは、カプセルの中に有紗(ありさ)が閉じ込められているという結果だけだ。

 そのことを、詳しく検証する必要がある。

 そのためには、カプセルそのものではなく、有紗(ありさ)について……たぶん、彼女たちについてもっと良く知る必要がありそうだと俺は思っている。


「賢吾くん、君ってずいぶん頭良いのね……」


 ミコは違和感を感じているようだ。

 まぁ、実年齢は五歳だが、中身はおっさんなのだから、俺と話していて違和感を覚えるのは当然である。

 ただ、そう口にしたのは、また別の理由からなのは分かっているので、俺は黙ったままミコが話すのを待つ。


「って、それは関係ないわよね。いいわ、賢吾くんには沢山みられちゃったから話しとくね。でも、絶対に他の人に話しちゃだめだからね」


 俺はうなずく。

 もちろん、俺は最初から誰にも話すつもりはなかった。

 そうすることが、俺のためになることがわかりきっているからだ。


「あたしも、有紗(ありさ)ちゃんもリギンを斃すために闘っているの。賢吾くんが見たのは闘う時の姿。あたし達はマルカ・ロウゼと呼んでるの」


 そう話す時ミコは、声をひそめて真剣な顔で話している。


「変身した時の姿ってことか?」


 俺は念押しするように尋ねる。


「ええ、そうよ。マルカ・ロウゼはあたし達が変身した時の姿なの」


 いよいよ魔法少女であった。

 俺は、もう少し突っ込んで話しを聞くことにする。


「どうやって、変身するんだ?」


 少女達がリギンと闘っている理由も知りたかったが、それより大切なのは魔法少女そのものだ。

 原理を把握しておくことが、俺にとって必要なことだった。


「どうやってって……。言って良いのかな……。でも知ってるし、仕方ないよね」


 自分自身に言い聞かせるようにそんなセリフを口にした後、ミコはポケットから取り出したピンク色をした針を見せる。

 俺はそれを見てすぐにピンときた。

 特に考えるまでもなく、それがなんなのか気づいてしまう。


「それが、変身アイテムか。でも、どうやって使うんだ?」


 俺にはある程度使い方の予想はついていたが、あえて尋ねる。


「うん、まぁ君には早いかな? ははは……」


 ミコは乾いた笑い声をたててごまかそうとする。

 やはり、俺が推測した通りのようだ。

 ただ、一応確認しておくことにする。


「自分の体の何処かに刺すんじゃなのか?」


 一切、有縁な言い方はせず、単刀直入に推測を告げる。


「あっ……なんていうか、そういうことなんだけど、キミにはちょっと刺激が強すぎるかなって」


 やはり俺が幼児だから、自主規制を働かせたということだった。


「足を吹き飛ばされる経験をしたからね。針を体に刺すくらい、どうということはないと思わなかった?」


 今後妙な自主規制をされるのは、いちいち面倒くさいのできちんと指摘をしておいた。

 すると、ミコの顔はまた曇る。


「それは……なんて言うか……ごめんなさい」


 結局ミコは何も答えられず、謝るしかなかった。

 十分効果はあったようだ。

 とりあえず、これ以上追い詰めても俺の得にはならないので、ここらで一旦矛を収めておくことにする。


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