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異世界自転車浪漫譚  作者: 珈琲肉
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小人の集落

「へっきし!」


寒さから目を覚ますと、そこは見慣れない森の中。

辺りを見渡しても全く見覚えのない場所。

地べたで寝た為か身体の節々が痛い上頭痛までする。

これと言って低血圧という訳ではないのだがこれは気分が良いものではない。

そんな不機嫌さが顔に出過ぎているであろう俺に陽気な声がかかった。


「起きたか、人間の兄ちゃん」



腰近くまで蓄えられた大層な白髭。肥満体系に見紛う程膨れ上がった筋肉。そして何よりそのサイズに見覚えがあった。

そう、昨夜酌を交わした小人の老人である。


「あ、おはようございます」


一日の始まりは挨拶からなんて言葉があるが、ここ数年そんな挨拶を交わす相手もいなかった俺ではあるが流石にその言葉は意外とすんなりと出てくれた。


「おはよう。飯、食うじゃろ?」


この手の誘いは相手の好意によるものが大きい。この場合断ることは返って相手に失礼に当たるので受けるのがマナーである。


「はい、頂きます」

「なら手伝うとくれ」


あ、できている訳ではないのか。と一人納得して老人の後を付いていくことにした。


━━しかし、身体のサイズの違いもあって随分と進むスピードが遅い…。

俺が手に持つか肩に乗せれば今よりは格段にスピードが上がるのは間違いない。

問題はどうやってそのように持って行くかである。

散歩する犬が歩くのが遅ければリードを引っ張り無理やりにでも走らせるのだが相手は小人、しかも確実に俺より年配者である。

小人に日本人特有の年功序列の概念が適応されるか否かは定かではないが、礼儀を重んじていたことも考えると無きにしも非ず。

さてどうしたものかと悩んでいると小人の老人は足を止めて振り返った。


「着いたぞ」


さっきいた場所から10メートルも離れていないのは触れないでおこう。

小人の老人の視線が指し示しているものは一本の木であった。

そこかしこに生え散らかっている木々と比べても何の変哲もない一本の木。その木を


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