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11月13日 『蝶々』
洗濯物を干しに外へ出た。今日は天気がいい。特段洗濯物が乾きそうだ。そんなことを考えながら濡れた衣類を持ち上げていると、季節外れの蝶々が一匹。フラフラと飛んで、ベランダの柵に止まった。
その蝶は人が近くにいても怖がることもなく、ただそこにいた。随分と高い位置に飛んで来たんだな。鳥に狙われないようにしないとね。
ただそれだけのこと。だが私は自然とその蝶に独り言をこぼし始めたのだ。
「最近ね、なんでも上手くいきそうな気がするの。周りの人が言っている贅沢っていうのは私にとっては物足りなくて、もっと華やかで輝かしい未来が待っている。そんな気がするの。普通なんかじゃ満足できない。それが出来るのが私だもの。私って傲慢かしら」
蝶は旅立つでもなく、ずっとそこにいた。ある一説によると、ご先祖様が蝶の姿をして会いに来てくれたりすることがあるらしい。結局私が部屋に戻っても、その蝶は私の姿が見えなくなるまでそこにいた。
夕方に覗くといなくなっていた。あれは一体、誰だったんだろう。




