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僕の絵本日記  作者: 高冨さご
9月

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9月13日 『慣れ』

 日本人は実に働きすぎであるという。それに関して今まであまり重きを置いていなかったのだが、この度まさにその通りだと感じざるを得なかったので、このご意見に賛同させていただくことにした。


 僕はしばらく家庭の事情で仕事を休んでおり、家事・育児に専念していた。しかし家にいてもやる事はたんまりあるので、あまり自分の時間はとれなかった。


 そんなある日、同じ職場で働いている友人に会った。気さくで常に明るい彼女が顔を曇らせ、放った言葉は「忙しくてしんどい」の一言だった。僕はその時休んでいたこともあり、とてもじゃないが頑張れなどと他人事の科白も言えなかったし、今の現状がどれほどのものか把握できてはいなかった。


 家のことがひと段落した僕は仕事に復帰した。そして初日で彼女の言葉を理解した。なんと過酷な世界だろうか。休みの間少ないと感じていた自分の時間など、ないに等しかった。仕事から帰り家のことに追われ、泥のように眠った。多少気合を入れて復帰した僕は、2日目にして仕事を辞めたくなった。


 それを何日間も彼女は耐え忍んでいたのだ。そりゃあ疲弊して当たり前だ。仕事に戻り彼女に会った。今まで本当に辛かっただろう、大丈夫かと声をかけると、彼女は苦笑いをしながら僕に対して


「慣れるまで大変だね」


と言った。生きていく限り、やらなければならないこともある。我慢せねばならぬことも。けれど自分の気持ちを全て蔑ろにし、それを『慣れ』という形で収束させる。なんと悍ましい言葉だろう。


 咄嗟に僕は、何も言い返せなかった。


 心を忘れかけている人がこの文章を読んでいるのだとしたら、ぜひとも思い出していただきたい。君の心が苦しいのなら、それは君の望む世界ではない。すぐにでも捨てて良しだ。心が壊れてしまう前に、今すぐ逃げて。今すぐに。


 いやあ、慣れとは実に恐ろしい。

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