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11月30日 『過去と未来の中間地点』
命が生まれ、命は旅立つ。
家の外にツバメの巣ができた。春先のことだ。少しずつ大きくなっていく巣の中に、二羽のツバメが寄り添いながら暮らしていた。
夏が近づいてくるにつれて、せわしなく動き回るツバメ達。しかし突然その鳴き声が聞こえなくなった。どこかに出かけてしまったのか。ツバメの姿を見なくなった。
それから一ヵ月ほど経っただろうか。忘れた頃に巣の中から鳴き声が聞こえてきたような気がする。巣から顔を覗かせたのは、小さな雛鳥。彼らは生きるために必死に声を上げ、親からの食事を求めていた。何度も往復する親鳥の邪魔にならぬよう、僕はそっと扉を閉じた。
秋。果実が実るようにその小鳥たちは丸々と大きく太った。そして生まれたばかりの頃には考えもしない、何の力も持たなかったその翼で、青空を羽ばたいていたのだ。
家の外にツバメが七羽飛んでいた。もうどのツバメがこの家を選んでくれた子かも分からない。それほど立派になった。
冬。彼らはとっくの昔にいなくなった。ぽっかり空いた巣の中は寒そうだ。長い旅を終えた後、誰かがこの巣へ戻るだろう。だからこの巣は大切に残しておくよ。 命が生まれ、命は旅立つから。




