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その男、執着につき。



声をした方を振り返れば



「か、金城くん…?」



会社の後輩の金城くんだった。

そしてその金城くんの一歩後ろには、彼の同期の子たちが3人ほど。


突然私に話しかけてきた金城くんに同期の子たちはきまずそうで焦っているようだった。


「藤野さーん、今日珍しくおめかしして早く切り上げたかと思ったらデートっすか?」


「…………」



ニヤニヤ笑いながら、私を見下ろす金城くん。

アプリで出会った人と会ってるこのタイミングでまさかの彼に会うとはきまずい…


お相手の人の顔も見れなければ、金城くんの顔も見れない…



どう考えても関係が深いように見えない状況で、空気を読まずに話しかけてくるのはなんなの。



「とういうことで、藤野さんは責任持って僕がお送りするのであなたは帰ってください」


「え、ちょ、金城くん?!」



私とお相手の人の間に遠慮なく割り込んで、そして私の両肩を掴んでお相手の人から離れようとする。



「あなたはここで何してるんです」


方向転換したかと思えば両肩を掴まれたまま押される。


「な、なにって。別に…ってかあの人に何も言わずに帰るのは…!」


「別にじゃないでしょ!どこで話をしてるんですか!!」



そう言った彼は私の肩を握る手に力がこもる。




「ちょ、いった!!何?!どこって別に…!」


「あなたは今から…!」



そう言いかけた私たちはさっきいた場所の方向を、お互いに指差す。



私は先ほどまでご飯していた所のカフェを。


金城くんはそのカフェの向かいにあるホテルを…








「…ちょっと、どういうこと」



「…………。」



「あのね、君は人のこと言えないでしょ。あの時のことを蒸し返すつもり?」



「蒸し返すって!俺は別に…!!」



「…もういいよ、どうせ帰ろうかなとか思ってたぐらいだし。じゃあ、私は帰るわ。君はさっき置いてきた同期達の所に戻りな」




「ちょい、藤野さん…!まってぐたさいって〜!」





はぁーーーー。


疲れた。



踵を返し、金城くん置いて歩き出す。

ヒールをかつかつ音をたてる。

その後ろを長ーい脚で追いかけてくる金城くん。



「藤野さーん、せっかくならこの後僕と飲みましょうよ〜」


「何言ってるの、金城くんはさっきの同期と飲みに行く途中だったんでしょ?」


「大丈夫っすよ、ホラ」



そう言って私の前に立ち塞がる金城くんは、スマホの画面を見せてきた。

そこには


【藤野さん確保したので抜けます】


【おい】


【ふざけるな】





「…全く快諾されてないけど大丈夫?」


「大丈夫っすよ」




画面を見続けても同期2人からは不満が漏れてた。


そして金城くんがスマホをしまおうとするタイミングで見えたのはあともう1人の同期の女の子から。





【金城がいないとつまらない】




「…私のことはいいから戻りな、私は家に帰る」


「え、ちょ、藤野さん?」



私は金城くんを置いて帰ることにした。


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