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呪いの品

下界の信者が増えてくるとその分様々な人が見えてくる。


基本的には善人が多い気がする。


そりゃ我欲な願いをする人が大半だが、内容を見ればそこまで酷い内容でもない。


人なんて大概がそんなものだから特に気にしてない。力を使って叶えてあげようとも思わないけど。


正直もっと負の感情に任せた願いも来るかと身構えていたが、予想以上に少ない印象だ。


ただ強い負の感情の願いは他の我欲の願いと違って見逃せない。


そういう状態の人は他人に害を与える場合が多いので注視している。


とはいえ大抵の人はいいことがあると負の感情が大幅に軽減される。


単純と言えば単純なので微細な力で幸運を装っていいことが起こるようにしている。


そしてもう一つ見逃せない願いがある。


助けだ。


それこそ神頼みといえる程の助けを求める願いが来る時が稀にある。


そういう人は厳密に言えば信者とは違うのだが、願いが俺のところに届くという事は余程の事なのでやはり見逃せない。


今その稀な状況になっている。


「可哀想なぐらいの不運さだな」


「そう思います」


助けを求めた人物の経緯を見るとことごとく不運に見舞われている。


「サチ、いつものやって」


「わかりました。所持品などの詳細を出します」


何人かこういう人を見てきたが、一つの傾向があった。


「ふむ、やはり呪いの品を持っていたか」


この世界には結構な量の呪いの品がある。


その多くは呪いの効力が切れたただの雑貨だったりするのだが、稀に効力が続いていたり蘇ったりする物が存在する。


今回の人もそれこそ運悪くしてそういう物を手にしてしまったようだ。


「では、いつものように?」


「うん。それとなく解呪出来る者を仕向けよう」


その気になれば呪いのアイテムなんて神力で即破壊する事も可能なのだが、やっていない。


その呪いのアイテムが自然発生したり意図しないで作られてしまったならそれほど気にする事もない。


しかし、それが意図的に作られた可能性が考えられるから迂闊に直接手が出せないのである。


そう、それが魔神に関係する者が作り出した可能性があるのだ。


なので直接破壊すれば魔神側へ気付かれるかもしれない。


それは困る。少なくとも今現在の魔神側を全く知らない状況では。


なのでかなり遠まわしな対応を行っている。


「・・・ふぅ」


「大丈夫ですか?」


「うん」


面倒でもなるべく慎重にいこう。


臆病かもしれないがもう失うわけにはいかないものが出来てしまったからな。

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