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『女神から授かった権能“模倣”で悪魔ダンジョンを生き抜く』  作者: 近藤セカイ
『第1章 アーム領編』

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『第7話 桜ガ峰鉱山第3層』

7話です。

新メンバー加入か?

 下で俺達を呼んでいた男は腰のベルトに様々な魔法具を付けているように見える。容姿はと言うと髪は短いが、あまり整えていないのかボサボサで、目はたるんでいた。変なやつにしか見えない。


「いや~食べ物までもらってすみませんね。昨日の夜から何も食べてなくて〜。もぐもぐ……」


「あげてないわよ!あなたが……食べ物だ!ってこっちに飛び掛ってきたから!」


「いいじゃないですか〜。先行投資だと思って〜……もぐもぐ……ふぅ〜ごちそうさまでした。申し遅れました。僕、魔法使いをしておりますゲンマです。どうぞお見知りおきを。」


「魔法使い?珍しいな。俺はマコトだ。」


「そうなんですよ。魔法は珍しくて、なんとこの魔法具を使って――」


「――知ってるわよ。そんなこと。私はユウリよ。」


 話を聞くと、どうやらゲンマを名乗る男は2層と3層の間でどうやら迷子になっていたらしい。


「聞いてくださいよ。僕は近くの冒険者とともにフレア領地のダンジョンに向かってたんですよ。そしたら誰もいなくなってて。おかしくないですか?」


「フレア領?全然違う場所じゃない!」


「え?フレア領じゃないのならここはどこですか?」


「アーム領の桜ガ峰鉱山よ。」


「ええ!じゃあ、僕は一歩も故郷から出ずにダンジョンを彷徨っていたというわけですか!?」


「どうやらそういうことになるようだな。あー、ゲンマはなんでダンジョンに潜ろうとしたんだ?」


「僕は新しく仕入れた魔法具を試そうと思って、難易度がちょうどいいフレア領に行こうと思ったのですが……どうやら方向を間違えたようで。」


「どうやったら北と南を間違えるのよ。そもそも関所すら出てないわよ……。」


「そういう御二方はどうしてダンジョンに?」


「ああ、それがギルドの依頼で桜鉄を採集しに来てな。2層を探していたんだが見つからなくてな。」


「そういう話でしたら2層には、既に存在していないと思いますよ。取り尽くされたといいますか、開拓されきったといいますか。」


「何よ、じゃあ私たちは無駄足だったってこと!?ダンカンめ!」


「2層にはないですが、3層ならあると思いますよ。何なら先ほど彷徨っていたときにそれらしきものを見つけましたし――」


「――それを早く言いなさいよ!行くわよ!マコト!ゲンマ!」


「僕が言うのはなんですが、ずいぶんと強引な方ですね。」


 ゲンマがこちらに来て耳打ちしてくる。


「そういう前向きなところに助けられているからありがたいんだ。」


「ん、何か言ったかしら?」


「いや、何もないよ。」


 俺たちはゲンマが桜鉄を見たと言っていた方角へ歩いていった。


「ないわね。もしかして嘘なんじゃないかしら。」


「そんなことないですよ。僕はこの目でしっかりと見ましたよ。ピンク色の鉱石を。」


 ゲンマに先導してもらいながら、歩いて早くも20分ほどが経過した。いや、待てよ。確か話に聞いたゲンマは――


「なあ、案内してもらっていて悪いが、お前って方向音痴なんじゃないのか?さっきから同じような道をぐるぐるしている気もする。証拠に俺がさっき落とした投げナイフが落ちてる。」


 俺は投げナイフを二人に見せつける。ユウリはゲンマを顔を見て怒りをためている。


「あなたね!方向音痴のくせになんで道案内を買ってでたのよ!」


「仕方ないじゃないですか!言われるまで僕も自分がぐるぐるしているなんて気づかなかったんですから。それに気づいたマコトさんならまだしも、僕と一緒にぐるぐるしていたユウリさんには言われたくないですよ!」


「ぐぬぬぬ……。ぐうの音も出ないわ!」


「出てるじゃないですか……」


「まあまあ、二人とも落ち着いてくれ。早めに気づけたからよかっただろ?それに案内をさせていたのは俺もだ。ゲンマ、桜鉄があった場所の特徴とかは覚えてないか?」


「ちょっと待ってくださいね。いま思い出します……。えーとな……、確か……あ、そうだ!僕のリュックを近くに置いてました!」


「は?」


「だから僕のリュックをその石の近くに置いていたんですよ。重かったから人が見つかるまで置いておこうって。それで――」


「待て待て、そのリュックの場所はわかるのか?さっきまでの言動的にたどり着けるとは思えない。」


「安心してくださいよ。こんな時のために僕はタガモさんからいいものを買っているのですよ。」


 そういうとベルトに付けていた魔法具のナイフの一つを外す。


「――愛しき姫よ、その護り手よ。その手綱を戻し、赤き糸を結べ!――“マーキン”――」


 すると、ゲンマのナイフの先から赤い線が伸びる。それは延々と続き、まるで道案内をしているようだ。


「これは“マーキン”の魔法具です。対となるナイフの場所を示してくれます。効果時間は1分ほどなので急ぎましょう!」


「なっ、時間制限もあるのか!切れたら終わりじゃないか!」


「先に行ってるわよ!マコト!」


 ユウリは俺たちよりも倍ほど速く走り、赤い糸を辿っていった。俺たちはと言うとゲンマの足が遅く、俺とユウリが速いだけだが、制限時間以内に目的地にはたどり着けなかった。


「あっ、終わりましたね。もうスペアはないので終わり……というわけではないんですよ。」


「ん?魔法具は一度使えば壊れるとタガモさんが言っていたぞ?」


「それは僕以外の場合ですね。僕の権能を見せましょうか。権能解放“破棄複製(はきふくせい)”」


 すると、壊れたナイフが修復されて真新しい使う前の形に戻った。


「……直った……のか?これは」


「僕の権能の“破棄複製”は僕自身が原因で壊したものを複製する権能です。さて、もう一度いきましょう。――愛しき姫よ、その護り手よ。その手綱を戻し、赤き糸を結べ!――“マーキン”――」


 再び赤い糸が繋がり、目的地を照らしてくれる。


「その詠唱は毎回やらないといけないのか?」


「ええ、詠唱は安全ロックの役割もあるので外れると危険なものが多いのですよ。これとかは別になくてもいいんですけどね。タガモさん曰く規格は揃えたほうがいいらしいです。」


「なるほどな。安全ロックは確かに重要だ。暴発とかしたら危ないからな。」


「ですです。」


 その後、2回のマーキンの発動をしてようやく開けた場所に出た。そこにはゲンマのリュックとユウリ。それに壁全体がまばらでピンク色になっていた。


「遅いじゃない!さっきから何回も赤い線が出て、びっくりしたんだから!」


「ごめんごめん。それで桜鉄は見つかったか?」


「ええ!ここにあるピンク色の石はすべて桜鉄の鉄鉱石よ。」


「これが……全部か圧巻だな。」


「これが桜鉄なんですか……。じっくり見ると綺麗ですね。」


「さ、必要な分だけ掘りましょ!こんなとこさっさと出たいわ。」


「そうだな。終わらせようか。」


 そして、桜鉄の鉄鉱石を一欠片ほど採集して任務を完了した。ゲンマもリュックを見つけたから一度外に出るらしい。

 3層の来た道を戻っているところだ。


「帰りましょうか。帰り道の案内はお願いしますね。」


「わかってるよ。ついてこいよなゲンマ。」


「ええ、あなた方についていけば間違いないでしょう。」


「調子いいわねこいつ。」


「だな。」


「ひどいですよ。ユウリさん。マコトさん。」


「ド……ウモ……。」


 なんだこいつは!いつの間に横に経っていたんだ!?

 姿からして俺たちと同じくらいの人間サイズだ。モンスターなのか……。


「あ……悪魔よ……、」


以前出た“スピーカン”や“テレポ”に“チャッカ”の詠唱は存在してますよ。タガモさんが省略しているだけで。

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