2話 誰が悪いのだ! 我だ!!
ふむ、森だな。
周りは木々だらけ。
実にいい。
鬱屈とした洞窟に餓鬼共よりはずっとマシだ。
取り敢えず探索を始めるとするか。
木の実もあるかもしれん。
楽しみだ!
「きゅるぅあああああ!!!!」
「グギャァアア!?」
また貴様かぁああああ!!!
本当にどこにでもいるな貴様らは!!!
景色が変わっただけで出てくる奴らは何も変わらぬではないか。
はぁ、もう奴らの顔見とうないぞ。
すんすん。
お!?
水だ!
水の匂いだ!
近くに飲める水があるぞ!!
これでようやく氷に舌を貼り付けなくて済む。
冷たすぎて舌ごと張り付いた時、生まれて来た今までで一番死を感じたからな。
あんなのは2度とごめんだ。
さぁ!我に水を寄越せ!
!
泉だ!
開けた泉が草木をかき分けた先にあったぞ!
さて、では飲むとするか。
─チロチロ
「きゅん!」
うむ、うまい!
これは良いぞ!
しばらくはここを拠点として活動するとしよう。
さて、ではそろそろ木の実か食える獣でもおらぬか。
もう餓鬼には会いたくはないぞ。
すんすん。
おらぬ。
すんすん。
こっちもおらぬ。
うぬぅ。
なぜ森に獣がおらぬ?
我に恐れをなして隠れておるのか?
それとも餓鬼共が食い尽くしたか?
許さぬぞ餓鬼共。
貴様らは見つけ次第氷像にしてやろう。
「シャアアアアアアア」
お!?
何か上から来よったぞ!
─カキン
ふっ、不意打ち対策はバッチリしておる。
我の内なるエネルギーを身にまとい、異物に反応して氷の膜を張っておるのだ。
名付けて『氷鎧纏い』だ!
ふむ、ただの蛇か。
いや、毒があるかもしれん。
意外と本当に危なかったかもしれんな。
氷に張り付いて身動きが取れなくなっておる。
所詮爬虫類か。
凍れ!
─パキン
ふっ、今何したか知りたいか蛇よ
なに、我の美しい双眸に見つめられ思わず心臓が止まり、氷漬けになっただけよ。
名を『氷眼魅』という。
氷と眼で掛けておるのだ。
我が“せんす”に思わずときめいたであろう。
「きゅるるるる!」
ふはははは!
それはそうと、此奴、食えそうにないな。
毒が怖いのだ。
だが、餓鬼以外の生き物を見れて我は満足だ。
褒めて遣わすぞ。
ではな。
腹が、減った。
木の実は、獣はどこじゃ。
最悪、あの蛇を喰らおう。
氷漬けにしたし、腐ってはおらぬはずだ。
道は何となく覚えておる。
うむ、多分大丈夫であろう。
・・・念のため“まーきんぐ”しておくか。
ふぃ〜。
─ガサッ
「ギュモ?」
「くぅう?」
おお、何と大きな図体よ。
豚ではなく、牛の頭の二足歩行か。
手に持っておるのは棍棒か?
ま、まぁちょっと見ての通り今用を足しとるんじゃ。
ちょいと待ってくれんか?
「ギュモォオオオオオオ」
「キュルルルル!?」
や、やってしもうた〜〜!!
しっかり念入りに丹精込めて“まーきんぐ”しておうたら油断してしまった!
誰が悪いのだ!
我だ!!
「きゅ、きゅる!」
奴の方へ向けて我が新技!
『氷城壁』だ!
分厚い氷の壁を半円に生成する我が城壁よ!
この壁は我でも壊すのに時間を有するのだ!
ふぅ、この間にさっさと用を済ませよう。
用だけにだ!
「ギュモォオオ!!」
─ガコン!
それにしても奴はアレじゃな。
食えそうじゃないか?
良し、用も済んだ。
狩りの時間だ!
「きゅるぅ!」
我が足元に『氷城塞』!
目の前の『氷城塞』より少し高くして上から牛頭を見下ろす。
「ギュモォオオオ!!!」
ふっ、いい景色だ。
貴様は頭が高かったからの、我が自ら高い場所作ってやったのだ。
我が慈悲に感謝するが良い。
そして、氷に包まれ死ね。
貴様は美味ければ余さず喰ろうてやる。
「きゅる!!」
我の最初に見せたブレスを一極集中した必殺技だ!
名は『氷極光線』だ!
一体一体丁寧に餓鬼を処理するのに面倒になって遊んでた時に編み出した必殺技だ!
あまりの威力で洞窟の壁を何枚も貫いてしまったのだ。
崩落が怖くてそれ以降使わなくなったが、外なら問題はなかろう!
「ギュモォオオオオオオ!?」
ふっ、我ながら凄まじい威力だ。
奴の体を貫き、技が通った場所全てが氷尽くしておる。
牛頭も氷漬けになったぞ。
では、卵の殻以降久々の食だ!
「キュルキュルっキュルキュルゥ〜♪」
おっと、思わず鼻歌が出てしまった。
ふふ、それでは早速──いただきます!
─ガキッ
「──ウゥウウッ」
か、かたああああああい!!!
我はバカか!?バカなのか!?
でも自分で凍らせたしいけると思ったのだ。
全く、我の思考は幼児のそれか!
体に精神が段々引っ張られてるのかもしれん。
気をつけなければ。
さて、現実から目を背けるのはそれくらいで、歯、抜けなくなったこれどうしよう。
誰かおらぬか!
助けてたもう!
「きゅうるぅうう!」
─キュイン
「きゅる!?」
何が起きた!?
氷像の牛頭が消えたぞ!
見渡せば我の鞄が光っておるではないか。
まさかこの小さな鞄に?
外す時と同じ感覚で出るか?
─キュイン
おお!出よった!
何とも便利な鞄よ!
では此奴を一先ず鞄へ仕舞うか。
先ほどの様に噛んで誰かに託す様に願えば良いのか?
─キュイン
おお!何とも奇怪だが、何とも便利な鞄よの!
あの時拾うて良かったぞ!
もしやまだこの世には似た様な物が存在するやもしれん。
夢の伝説の獣のついでに集めまくってやろうかの!
“これくたー”という奴よ!
「きゅるるるる!」
ふはははは!
─ぐぅぅ
・・・うぬ。
腹、減ったの。




