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13話 全部我のじゃ〜!

さて、あの戦場へ着いたぞ。


変わらず餓鬼共が凍っておるわ。


これを置く事で他の森の餓鬼共が寄らなくなれば言う事ないの。


見せしめとして貴様らはそこで氷の“おぶじぇ”として飾られておれ。


「ぴぃ!」


こら、またぬか。


子竜が産まれた巣へ走って行きよった。


仕方のないやつよ。


草木で作られた竜の巣に子竜は丸く収まっておる。


ふむ、何か感じるものがあるかもしれんの。


「ぴぃ!」


うぬ、お主の親竜達は勇ましかったぞ。


お主もそのように育つのだ。


「ぴぃ!」


ふむ、子竜が中々離れてくれぬ。


気に入ったのであれば我が持ち帰ってやろう。


何、持ち運びに都合のいい鞄があるのだ。


─キュイン


「ぴ!?」


ふふ、目を丸くしておるわ。


さて、では行くとする──なに!?


「ヒュイ!?」


巣の下から様々な色の綺麗に輝く石があったのだ!


そういえば竜は光り物が好きで集めると聞く!


そうか!


つまり、これは全部我のじゃ!!!


─キュインキュインキュイン


「ヒュルルル!」


ふははは!


「ぴ、ぴぃ」


全部我のじゃ〜!





い、いかん。


思わず興奮して夢中になってしもうた。


子竜を怖がらせてしまったのだ。


我怖くない、我美しい。


「ぴぃ!」


尻尾で戯れてやればすぐ機嫌が良くなる。


分かりやすく素直で我は嬉しいぞ。


さて、ではどうするか。


ここから更に奥には行った事がないの。


森の奥とは我の拠点の方であるから、この場合は森の浅いところへ向かっておるのだな。


近くに水の匂いもすることも考えれば、恐らく川がある。


向かってみるか。





─バシャ


うぬぅ。


川についてみたが、どうやら先客がいたらしい。


あれは、熊か。


ただ随分と大きい。


我より少し小さい程だ。


うぬ、どうしたものか。


「ぴぃ!」


これ!


ぬぅ、幼子に静かにしろとは無理か。


「ガァ!?」


バレてしまっては仕方ない。


我は伝説の獣。


滅多に姿を晒してはならぬが、どうしようも無い時もあろう。


そして見つかったならば、荘厳且つ優美な姿勢で威厳を振る舞おう。


なんたって我は、伝説の獣じゃからな!


無論、演出は考えておる。


先ずは『氷雪絨毯(ホワイトカーペット)』を前へ展開!


そして姿勢を正し、ゆっくりと歩みを進めるのじゃ。


一歩ごとに周りの物を白く凍らせるのも大事!


そして真ん中で止まり、奴へ向けて一つ鳴いてみせよう。


「ヒュゥイ!」


「グ、グルァ」


その一鳴きと共に我を中心に吹雪を振り撒く!


ふ、ふふふ。


完璧じゃ!!!


そして奴から目を背けず、彼奴が引くか仕掛けるまで待ってやるのだ。


なんたって我は伝説の獣じゃからな。


我の足元にも及ばぬ獣にも慈悲を与えてやるのが上に立つ品性の高い獣となろう。


さぁ、どうするのだ熊よ。


「グ、グルァ!」


ふふ、尻尾巻いて逃げて行きよったわ!


素晴らしい!


完璧じゃ!


“ぱーふぇくと”じゃ!


「ぴぃ!」


おお、子竜よ。


ちゃんと見ておったか?


真の強き獣は戦わずとも相手を引かせる物だ。


お主もこの高みへ来るのじゃぞ!


「ヒュルルル!」


ふはははは!

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